柿とブルーベリー カーマインは16
そうだ、ブルーベリーを育てよう。
フルーツミックスジュースにしてもいいし、ヨーグルトに混ぜても美味しい。体を若くする作用があるから家族にはいいだろう。
柿も育てたいが、干し柿が好きなんだよね。そうしたら、渋柿を育てないといけないし、創造魔法に任せて甘い柿と渋柿(干し柿)を作ろうか。
柿も生活習慣病や風邪に効果がある。カーマイン領には季節風邪があるから、いっそのこと柿をカーマイン領に植えようか。夢が膨らむ。
でも柿の木ってすごい大きくなるんだよね。創造魔法で小さく出来るかな?2mくらいが理想的だけど、実の着き具合に影響があるかも。安く普及したいから、販売は借金奴隷に任せようか。
まずはお屋敷の裏の畑、もう、果樹園て呼んで良いか。果樹園に植えて、創造魔法で良い果物に育てよう!
地球通販で苗を買って、まずは甘い柿から。
地面に植えて、創造魔法の魔力を出して、虫や菌がつかずに甘くて種のない、風邪を予防する成分を含んだ、2mくらいの魔木になれ!
魔力を込める。木がメキメキと大きく開く。緑の実が着き大きく膨らみオレンジ色に色づく。成長が止まった。硬いのより、少しじゅくっとしたのが好みなんだけど、どうかな?
収穫する。硬いな。収穫して食べ頃になるまで置いておく方がいいか。また、熟成箱作るかな?
次は渋柿!これは、もう、イメージに頼るしかない!だって、干し柿を実らそうとしてるんだもの。
地面に植えて創造魔法の魔力を出す。虫や菌がつかず、ねっとりと熟成されて甘い粉が吹いた、身体に良い2mくらいの干し柿の木よ魔木になれ!
魔力を込めるとメキメキと大きくなり、白い粉の吹いた美味しそうな干し柿の実がなった。収穫して齧る。っっっ!お〜いし〜い!凄い凄い!理想的!あんま〜い。
あっ、ルークが匂いにつられて起きちゃった。ルークはお昼寝マットの上でお昼寝中だったのです。
ルークに少しだけ干し柿の中の甘くて柔らかい部分を口の中に入れてやる。ルークのまあるいほっぺが落ちそうだ。顔色も一気に色づいた。もにゅもにゅと食べている。好きか?そうか〜。口を開けるからもう少しだけ口に入れる。
あとはブルーベリーだ!甘い品種がいいよね!地球通販で選ぶ。うん、これだ!苗を買って、地面に植える。
創造魔法の魔力を出して、虫や菌がつかない、甘くて栄養のある魔木になれ!
魔力を込めると苗が大きくなった。ブルーベリーの実がたわわについている。一房収穫して、期待しているルークに一粒食べさせる。少し大きいかな?大丈夫そうだ。歯で噛んでいる。
ルークが目を輝かせている。可愛いなぁ〜。私も一粒食べよう。おお!これは美味しい!味がしっかりしている。ルークはおかわりか、ぽいと口に入れてやる。手でほっぺを押さえている。カメラでパシャリ。ルーク、ブルーベリーデビュー!可愛いの撮れた。
3種類を適度に収穫してルークをおんぶして、マットを片付けてから、厨房に行く。
料理長に新しく果物を植えた報告をして、実物を出していく。甘い柿はバナナの熟成箱に入れて、若い柿と味比べをしてもらう。
料理長が感心して食べているので、リンダの所へ行きブルーベリーがお菓子に使える事を教える。実際に食べさせると、驚いたようにこっちを見た。そう、ベリーのケーキとかに使えるよ。私はうんうんと頷く。
他の料理人は自分達も食べたいから、収穫に行った。
そう、結局リンダは1ヶ月経っても辞めなかった。パティシエを続けてくれているのだ。
お母様やライラさんの王都でのお茶会に好評だと言う。贅沢に果物もチョコも使ってるからね。
生クリームの変わりはある。ボウの乳の上澄みだ。濃くなっているミルクを泡立てると生クリームみたいになる。砂糖はいるけどね。
そういや、ハンドミキサー渡してないや。可哀想な事したな。地球通販で良さそうなハンドミキサーを魔道具化して、リンダに使い方を教えると嬉しがってくれた。良し良し。
ルークがお乳を欲しがったので、椅子と哺乳瓶に入れてある母乳を出して飲ませる。体勢だけ気をつけてやれば、自分で哺乳瓶を持って飲むから楽でいい。哺乳瓶を使っているルークも可愛い。頑張って飲んでるのが可愛くてきゅんとくる。私の膝の上で支えてるけど。
珍しかったのかリンダが、ガン見していたけど、そうだよね。この世界、哺乳瓶が無い。ミルクを飲ますには乳児は布に含ませるか、コップで飲ませるかダイレクトにおっぱいで飲ませるかだ。
さて、ルークも飲んだし、げっぷが出るなら出してあげて、部屋で母乳を絞ろうかな。
さてさて、私とライラさんも早くも妊娠9ヶ月。臨月まで、もう少しですよ。ルークがお兄ちゃんかぁ。早いなぁ。
ライラさんのお腹はぽんぽこりん。多分私も同じだと思う。どちらが先に産まれるかな?
私もライラさんも健康診断したから大丈夫。体力万全で出産に挑める。
冬になる前に各村や街町に柿を植えて、商売に乗せたいな。プラス収支は望まない。カーマイン領の助けになればいいんだ。季節風邪にかからない子が出れば子供や老人が死なないで済む。
カーマイン領は12個の村と2つの町と1つの街と領都だ。奴隷を1箇所に2人としても、32人は人がいる。
カリオンの奴隷商だけで、そんなにいい人いるかなぁ。不安だけど行かないと。
ルークをおんぶして自宅に行き、エレベーターで1階に降りて外に行く。
カリオンを歩くの久しぶりだなぁ。そんな事もないか?いつもいろんなところに行ってるから忘れちゃう。
奴隷商についたからルークに匂いを通さない結界を張る。
ノックして、いつものやり取りで中に入る。
商談室で待っているとハリーさんが来た。
「いつも、ご利用ありがとうございます。カヨ様。今日はどのような奴隷をお望みでしょうか?」
「真面目で素直な奴隷が欲しいです。案内していただけますか?」
「分かりました。その後に治療をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「大丈夫です」
「それでは、ご案内いたします」
読心と真偽判定を使えるようにして、後について行く。いつもの地下1階だ。男女関係無く選ばないと人数が集まらないぞ。
出来るだけお話して良い人を選んでいく。覚えてられないので、購入を決めた人には付いてきてもらう。ここの奴隷商は食事と掃除はきちんとしてあるからいい。
全員で21人だった。人数が足りない。この後は怪我人と病人の治療だ。
ハリーさんについて行き、治療していく。
今回は借金奴隷の方が、犯罪奴隷よりも治療が必要な人が多かったな。怪我や病気が元で借金しちゃうんだろうな。
後は奴隷契約。21人でも多いぞー。
もう1人の女性・エリザさんが契約手続きをしてくれた。この店はハリーさんが店主なのだろうか?そんな話しないからなぁ。
契約が終わった奴隷の治療をしていく。結構感謝された。
一旦奴隷達と別れて商談室だ。奴隷達は手で持てるだけの自分の荷物を貰いにいく。私は購入した奴隷の支払いをする。ハリーさんが来た。
「お待たせ致しました。計算しましたところ、治療費を引いて、奴隷21人で金貨9460枚になります」
「虹貨1枚でお願いします」
「いただきます。おつりが金貨540枚になります。プラチナ貨5枚と金貨40枚でよろしかったですか?」
「結構です。プラチナ貨でいただきます」
ハリーさんに書類をも貰っていると、扉がノックされた。
「奴隷達の準備が出来たようです。このまますぐにお帰りになりますか?」
「帰ります。今回もありがとうございました」
「いえ、またのご来店をお待ちしております」
扉を出るとエリザさんが奴隷達を案内している。私に先に行くように促してくれた。玄関にいる男の人に挨拶されて奴隷商から外に出た。
奴隷達が全員外に出たら、奴隷達を私の魔力で包みクリーンを掛けた後、カーマイン領都へ瞬間移動した。
奴隷達は驚いてざわざわしていたが、次第に大人しくなった。
「私は貴方達の主人のカヨ・カーマインです!貴方達には今から生活必需品の買い物をしてもらいます!ついて来てください!」
まずは服屋へ行く。お店の人が沢山の人に驚いていたが、私を見ると安心したように店内を案内してくれた。全員に上下3着ずつ下着と服を選ぶように言う。この店には靴下もあったので、追加で靴下も買うように!と伝える。
大人数じゃあ、言いたい事を伝えるだけで大変だ。
選び終わった人から順番に会計してもらう。買う物を全員分、机に出されたってあとから仕分けるのが大変だ。自分の分は自分で持ってもらう。
ああ、ルークがお乳の時間だ。店の隅で椅子と哺乳瓶を出してルークに飲ませる。
だんだんとお会計を待つ列が繋がっていく。
ルークが飲み終わったら、椅子と哺乳瓶を片付けて会計に向かう。
次は鞄屋さんだ。いつもは行かない所を服屋の店の人に教えてもらったから、そこに行く。
全員に荷物を入れる鞄を買うように伝える。鞄屋さんも驚いていたが、私が謝りに行くと「商売繁盛ですな」と冗談混じりに言ってくれたので、今度からここの鞄屋さんも贔屓にすることにした。
今までは高級住宅地の方の鞄屋さんにしか行っていなかったのだ。理由はただ近かっただけ。ちょっと奇抜なデザインを置いている所だ。
ここの鞄屋さんは実用重視な鞄を販売しているようだ。いいね。気に入った。雑貨屋と靴屋を紹介してもらい、マップにチェックを入れる。
会計が全員終わったら、靴屋へ行く。
靴下を履いてから靴を履くように注意して、決まった人からお会計。
次は雑貨屋さん。男女でいる物が違うからね。ここも決まった人からお会計。
お店の人に、この人数が入れる食事処を聞く。「人気店だから席は多いけど。全員入れないかも」と言われたが、そこしか頼りが無いのだ。
お昼よりちょっと早めに食事処に来れた。まだ空いている。
店員さんにプラチナ貨を渡して、21人分の食事を提供してくれるように頼む。大部屋を貸してくれたので、奴隷達に「迎えに来るまでここにいるように!」と言い残して、屋敷に瞬間移動で帰った。
ルークと私にクリーンを掛けて、食堂でルークを椅子に座らせる。
ルークの離乳食は出来ているから、エプロンを着けて食べさせる。
一見食事で遊んでいるようだが、食いしん坊のルークは楽しみながら食事をしている。
その証拠に落としてしまった料理を拾って食べている。食いしん坊は私に似ちゃったね。
上手に食事が出来たら褒めて、ルークをベビーベッドに寝かせる。お腹がいっぱいになったら眠くなったみたいだ。
可愛いルークが寝るまで静かに歌を歌う。
家族が食事に来たので、席に座る。ルークを覗いてきたノアが私にちゅうして席に座る。なんだか機嫌が良いな。
食事が終わったら、ルークをおんぶして果樹園に行く。
甘い柿の枝とクリムの枝を16本ずつ切って異空間住居にしまう。
ぼうずになった甘い柿とクリムの木に魔力を送ると元に戻った。よし!
瞬間移動で自宅のルーフバルコニーに行き、石鹸の木の枝を16本切って異空間住居にしまう。石鹸の木には魔力を流しておく。
瞬間移動で食事処に行く。大部屋を覗くとみんなお腹いっぱいになったみたいで、くつろいでいた。
店員さんが声を掛けてくれて、お釣りを渡された。お礼を言って、奴隷達に声を掛けてパクティー屋敷に瞬間移動する。
パクティー屋敷の前庭に着いて、みんなに声を掛ける。
「今から2人組になってもらいます!料理が出来る人は前に出てきて下さい!1人暮らしの時に料理をしていた人でも構いません!」
そろりそろりと前に出てきた。9人か。少ないな。
パクティー屋敷から人が出てきた。ざわめきが聞こえたのだろう。私を見て安心している。ピンと来た。
奴隷達には待機するように命じて、パクティー屋敷に入る。
パクティー獣人達がわらわら来たけど、ごめんねして、お世話係の奴隷達を呼んでもらう。
結構な人数が居た。
「獣人の村で2人暮らしをして、果物の販売をする人を募集します!最低条件は料理が出来る事です!」
数人手を挙げたよし!
「手を挙げた人は私に着いて来て下さい」
希望者を連れて前庭まで行く。
「今から男女別に2人組を作って下さい!料理の出来る人とペアになる事を推奨します!これから、借金の返済が済むまで一緒に暮らす人です!よく選んで下さい!」
奴隷達の交流が始まった。誰でも良い人と組みたいものだ。私は全員いい人だって知ってるけど、性格が合わない人もいるだろう。
ペアが決まらない人がいる。仕方ない。パクティー屋敷のお世話係になってもらおう。
「そこまで!ペアが決まらなかった人は後から仕事を与えます!ペアが決まった人で町で暮らしたい人はいますか!?」
4組出て来た。領都と街と町2つで丁度良い。4組に伝えて、何処がいいか相談してもらう。
他の人には、村で風邪を予防する果物の販売をしてもらうと伝える。ちゃんと『風邪を予防する果物』と宣伝するように念を押す。
それを踏まえて、人族が多い村かいない村を選んでもらう。みんな人族が多い村がいいようだ。
よし、適当に振り分けよう。
1組選んで人族の多い村に瞬間移動する。
村の村長の家に行き、挨拶する。覚えていてくれたようだ。
村で『風邪を予防する果物』を販売したいので、土地を購入したいと言えば、大歓迎してくれた。土地も案内してくれたので「これが販売する柿です」と熟成させた柿を渡した。村長は大喜びしてくれた。
貰った土地の地面を圧縮して平らにしてから、村人サイズの家を出す。創造魔法で少し手直しして、お店になるようにした。
中に入って別々の部屋にベッドを2つ置いてクローゼットを置く。食事をする場所には椅子とテーブルを出して、食器棚を置く。
2人に1年分の奴隷の給料を渡して家の裏に行く。異空間住居から柿とクリムと石鹸の枝を出して、地面に植えて魔力で成長させる。
劣化しない付与をした収穫バサミを1人1つ渡して、収穫方法と果物の名前を教える。石鹸の実の使い方も。
柿を主軸に販売をして、柿1つ鉄貨5枚で売るように伝えるが、他領から仕入れに来た商人には1つ銀貨1枚で売るように指示する。他領に広めたい訳じゃ無いし、その金額でも果物の価値としては安い方だと思うからだ。
クリムは栄養価が高いから、銀貨1枚で販売するように指示する。「本当は貴方達が栄養失調にならないように持ってきた」と伝えて。
家の中に入り、生活費を渡す。金貨200枚だ。この家には足りない物がまだ沢山ある。それを買うように伝える。今日の夕食からだ。明日になったら、洗濯もしないといけないし、なにより排水溝やトイレにスライムがいない。
「今から生活必需品を買って、生活出来る準備をしてね」
言いたい事は伝えたので「生活、頑張って」と応援して、瞬間移動でパクティー屋敷に帰った。
村に移住希望者はみんな同じようにして、送り出して行った。元パクティー屋敷に住んでいた人は荷物を纏めさせて送り届けた。
夕方近くなったので街町希望の4組は明日に回して、ペアが決まらなかった奴隷3人はパクティー屋敷に勤める事になった。生活魔法のスクロールを3人に使わせて、お世話係の奴隷に仕事を教えるように指示する。部屋は出て行った奴隷の部屋を使ってもらう。
4組は領都を歩いていた人に聞いた宿屋に案内して「明日また迎えに来るから」と支払いだけして屋敷に帰った。




