嵐の後は静かに
アスケイオス王国の魔物の氾濫を終えてカーマインの屋敷に帰って来た。
ルーク。ルークはどこだ?探知する。子供部屋だ。
子供部屋に行くと、お母様がルークと遊んでくれていた。まだ断乳してないから、絞っていた母乳をお母様に渡しておいたのだ。
「お母様、ルークのお世話をありがとうございます。おつとめは無事、終えました」
「あら、おかえりなさい。大丈夫ですよ。ルークは可愛いから退屈しなかったわ。いい子でしたしね」
ルークがハイハイで近寄って来た。歩くよりハイハイの方が早いんだよね。
抱っこして1日ぶりのルークを抱きしめる。ルークも私の事が分かるのか、ぴっとりとひっついて声を上げる「かぁか」と。嬉しい!
お乳が欲しいみたいだ。ソファに座ってルークにお乳を飲ませる。あー、私も小さい頃、お母さんのおっぱいを姉妹で取り合いしてたなぁ。1日いないだけで懐かしくなるものかな?
ルークが飲み終わったら、お母様がルークの相手をしたがったので、お任せする。
私は徹夜だったので、仮眠を取る為にノアの部屋に帰る。
身体にクリーンを掛けて、寝巻きに着替えてベッドで横になる。あー、安心する。魔物の相手を1日中するのも楽じゃ無いね。
昂っていた感情が落ち着いたら眠くなってきた。おやすみなさい。
カヨは夕方まで寝ていた。それだけ疲れていたのだ。
ルークの食事に間に合わなかった。自分のお腹もペコペコだ。
身なりを整えて、子供部屋に行く。
お母様が変わらずルークの相手をしてくれていた。
「お母様すみません。寝過ごしてしまいました」
「あらあら、いいんですよ。ばあばがルークの相手をしていましたからね。ルーク?」
「ばぁばぁ」
「はい、ルーク。よく出来ました」
いつのまにか、ルークが「ばぁば」と言えるようになっている。母の危機だ。でも母はお腹が空いた。
アイテムボックスから食事を出して食べる。くぅ〜、おいしい!
ルークがハイハイで近寄ってきた。ハイハイ、お乳ですね〜。ルークを膝に乗せてお乳を上げる。お腹が大きいから飲みにくそうだけど、我慢してね。
いっそのこと、毎回お乳絞って哺乳瓶で飲ませるか。その方がルークには楽でいいかもしれない。あまりお腹を圧迫するのも良くないだろうからね。
飲み終わったルークを床に下ろすと、高速ハイハイでお母様の所に行った。誰が相手をしてくれるか分かっているんだ。お母様も嬉しそうに迎えている。
私は食事の続きを。お腹が減りすぎている。おかわりを食べる。
目の前のソファでライラさんが呆れたように見てきた。だって空腹には勝てないもん。
食後にバナナも食べる。ライラさんも欲しがったので渡す。子供達も欲しがった。渡す。ルークも足元に来て私の膝に縋り何か訴えている。お母様が隣にいるけど、見向きもしない。
お皿にバナナを少量取り分けて、ルークにかじらせる。歯が生えてるからもう潰さなくても食べられる。
ルークが幸せそうだ。お母様にも1本渡す。バナナは人気だ。
ルークがまだ食べたそうだけど、お乳を飲んでバナナを食べたら夕食が食べられなくなってしまう。今日はここまで。
そして食べられないと悟ったルークは泣く。泣くなよ〜。お母様が慰めている。おいしい物食べたら笑顔になってくれよ〜。案外すぐに泣き止むけどね。
夕食。ルークのよちよち歩きに合わせて食堂に行く。
たまに頭からこけるから油断出来ない。
食堂に着いたらルークを褒める。ルーク嬉しそう。歩くの好きになってね。
ルークの席には手づかみで食べれる食事が用意されている。
ルークを椅子に座らせて食べこぼし用のエプロンを付けて食事を見守る。
興味が赴くまま食べ物を手に取り口に運ぶ。たまに大きなかぶりつきをしたら、喉に詰まるといけないから取り除いて半分にしたりする。
ポロポロと食事を溢すけど子供だから仕方ない。ほとんどテーブルやエプロンに落ちてるから掃除は楽なはず。はずだと思いたい。
食事の途中で水分も取らせる。素直に飲むから楽だ。
ルークは食いしん坊だから、自分がこぼしちゃった食事も食べる。まあ、子供の食事としては綺麗な方だと思う。
食べ終わったら褒めてあげる。お食事シリコンエプロンを着けているから、取ってメイドさんが持って行ってくれる。ありがたい。
ルークにクリーンを掛けてルークを椅子から下ろして、ベビーベッドに座らせておもちゃを置くと1人遊びしてくれる。
他の人が来たらレインを構う。相変わらず良い毛並み。もふっとしてる秘訣はなんですか?知らんと?ちょっと最近冷たいんじゃないですか?レイン君。
レインに抱きついていると、男性陣が来た。ノアが近づいて来る。レインから離れてノアに抱きつくと抱きしめてくれた。ルークが興奮して「ぱぁぱ、ぱぁぱ」とノアを呼ぶ。呼ばれたノアは嬉しそうにルークを構う。ノアがルークを抱っこすると、さらに興奮する。
お父様に注意されて、席に行くとルークの悲壮な声が聞こえる。心が痛い。ノアも同様のようだ。ルークをチラリチラリと見る。
神に感謝をして食事をいただく。間食したからペコペコってほどじゃないけど、美味しく食べれる。
ルークからの声はいつのまにかしなくなっていた。
食後はリビングでお父様がルークに構っている。いつのまにか「じぃじぃ」と言っている。お父様もルークに教え込んでいたのか。
私はノアにピッタリ張りついている。ノアも抱き寄せてくれる。幸せ。昨日から今朝の事を話す。帰って来れなくてごめんね。
そういや、アイテムボックスに氾濫で来た魔物の死骸がどっちゃりと入っている。仕分けしないと。最後に竜が来たからね。私が間に合ってなかったら、あの街壊滅してたんじゃない?私は在庫がほくほくだけど。どこから来たんだ、あの大量の魔物は。見たことないのもいっぱいいたし。
まぁ、間に合わなかったけど、ギリで間に合ったからいいか。蘇生魔法使っちゃったけど、私が誰か分かっているのは、たぶん王様だけだと思うから問題ないかな?
子供達が眠くなってきたら、お開きにして部屋に帰る。ルークはノアが抱っこしている。ルークが嬉しそう。パパ好きだもんねぇ。
全員にクリーンを掛けて、ベッドの上で家族水入らずでルークを構う。主役のルークは嬉しそうにノアに突進する。ノアも笑顔で構うから、かわいいルークの声が楽しそうに響く。
程よいところで、ルークの歯にクリーンを掛ける。寝る前のお乳をあげて、ベビーベッドに寝かせる。ルークを落ち着かせて布団を掛けて、おやすみする。
ベッドに行くとノアが着替えて待っている。私も着替えてベッドに上がる。最近は子供の胎動がはっきりとわかり楽しい。ノアも期待してお腹を触る。
2人目だから気持ちに余裕がある。ノアもだろうけど、期待する気持ちはなくならない。生まれてきたら大変だろうけど「早く生まれておいで」とお腹を撫でたくなる。
ノアは愛情深い人だ。安心して出産に挑める。2人目は楽だって言うから、気持ちも楽なんだけどね。
ほどほどのところで、ノアもおやすみ。
でも、私の匂いを嗅ぐのはどうにかならんもんか。




