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孤児院で生活 5

 昼食に間に合った。よかった。


 カルロスさんが帰って来て、金貨を返してくれた。

 わたしは何かあると困るから残りは持っていてくれと渡した。アイテムボックスは誰も取らないと。


 カルロスさんにフランさんを会わせたら「あの、おばあちゃん!?」とびっくりしていた。内緒にしてもらうようにお願いしたら、神妙な顔をして了承してくれた。


 勉強の時間も終わった様だ。普段は昼食を食べないだろうから子供たちを呼びにいき食堂に座ってもらう。院長も来たので、軽く奴隷達を紹介してから、子供たちにお話してもらう。


「みなさん!今日から、一緒に暮らす大人がきてくれました!1人ずつ紹介してもらいます!4人の方どうぞ」


 奴隷のみんなが無茶振りされていた。


 フランさんが最初に、

「フランです。料理と他のこともお手伝いできる様に頑張ります」


 次は唯一の男性だ

「名前は、バズと言う。料理の事しか自信がないが、みんなに美味しいものを提供したいと考えている。よろしくたのむ」


 中年女性の元先生だ

「みなさん私は、ルンカと言います。学校の先生をしていた事があるので、勉強でわからないことは進んで聞いてください」


 次は冒険者さんだ

「私は孤児の元冒険者だ。名前はルイーネと言う。慣れないが、孤児院の仕事を頑張っていきたい。剣の使い方は教える事が出来る」


 最後に院長が

「みなさん、この4人には頼っても大丈夫です!新しい仲間に拍手を!」


 子供たちが、わぁと喜んだ声をあげ拍手した。

 孤児院の子供が頼れる大人は、限られている。まだまだ、大人に甘えたいだろう。


 私とモニカさんとフランさんでサツマイモをカートに乗せ、1人ずつ配って行く。小さい子には小さいイモを、大きい子には大きいイモを。

残りは大人組に渡す。それでもいっぱい作ったから、まだ残ってる。カートを前に置いて、


「サツマイモ、まだ、お代わりあるから自分で取りに来てね!」


 ちぃさく「はい」って聞こえた。みんな食べるのに夢中だ。普段は2食だもんね。






 奴隷4人は院長に任せて、子供たちは畑に行く。今日はカルロスさんが居るから心強い。元農家だ。


 私とモニカさんは昨日の続きの散髪と服などの支給で、年長さんに2人呼んできてもらう。

 モニカさんも1人で散髪できる様になったからね。


 来た子にクリーンをかけて、作業開始。


 そういやミーチェちゃん見なかったなあ。子供達にうもれてたか?すっかり馴染んで。やっぱり同じ年齢くらいの子の中でいるのが楽しいのかな?





 今日は8人終わった。昨日が6人だから、作業に慣れてきたかな。

 今から夕食の準備だ。モニカさんと2人で行く。


 厨房に行ったら年長組と、バズさんがいた。もう食事を作り始めている。


「バズさん、手伝い要りますか?」


「ご主人様、人手は足りていますよ。料理は子供達が、手伝ってくれています」


「ご主人様は、やめて下さい。カヨと呼んで貰えますか」


「分かりました。カヨさんと呼ばせていただきます」


 ああ、びっくりした。ご主人様って……。奴隷商で教育させられたんだろうな。子供達の教育に悪いんだけど。


「食事の量は、子供達が満足に食べれるように。理想を言えば、お代わり出来る位作ってくれますか?バズさん達もしっかり食べるように」


「分かりました」


 元料理人さんなら安心だ。モニカさんも聞いてたから、


「モニカさんこの後、どうしますか?」


「時間が出来たから、ミーチェの所へ行こうかな。カヨさんは?一緒に行く?」


「私は食堂に居ますね」


「分かった。また、後でね」


 食堂から畑のほうへ歩いて行った。


 さてと、私は食堂の椅子に座るとハリーさんから渡された、書類に目を通す。

 書類は、奴隷達の生活の決まり事と、購入金額が書かれていた。


 フランさんは初老にかかってたから購入金額が安かった、金貨300枚。

 バズさんは腕が動かなかったので、金貨400枚。

 ルンカさんは目が見えなかったから、金貨350枚。

 ルイーネさんは片腕が無かったから、金貨380枚。


 人1人の値段からすると、安いって思う。4人合わせたら、結構なお値段だけども。ハリーさんが、この金額を無料にしてくれたってことは、治療した人達の価値が高かったということだ。もしくは、治療した事で高くなったってことだろう。


 次は、奴隷達の取り扱い説明書。

 知ってる事から、知らない事、人として当然だと思う事まで書いてある。


 借金奴隷には、衣食住を保障しなければならない。

 人として最低限の生活を与えること。

 借金奴隷を、故意に傷つけてはならない。

 一月最低、金貨5枚を支給する事。

 借金奴隷を捨ててはいけない。

 主人が死亡した場合の相続人を決めておくこと。相続人が居ない場合は、奴隷商に引き取られる。

 借金奴隷は、自身の購入金額を主人に帰せば自身を買い戻すことができる。その場合、奴隷商にて手続きすること。


 等々、色々書いてある。私がしないといけないことは、衣食住の保障と毎月金貨5枚の支給と相続人を決める事。

 人の人生を背負うって大変なんだなぁ。雇用主になったみたい。似たようなものか。


 畑の方が賑やかになって来た。子供達がくるかな?私は、書類をアイテムボックスに入れて立ち上がった。

 厨房の様子はどうかな?手伝いに行こう。


「すみません。子供達が来そうなんですけど、夕食の準備出来てますか?」


 バズさんが答える

「もう少しで出来ますよ」


 私は厨房の中にはいり、食器の準備をする。お皿は昨日安全確認したから、今日はお椀を確認しよう。

 棚から取り出し1枚ずつ確認していく。昨日と同じで、欠けたりヒビが入っている物をアイテムボックスにしまい、創造魔法で同じ大きさのお椀を作っておく。

 食器は多めに置いているらしく、人数が増えてギリギリだが、51人分足りた。


 ふと、食事が終わった後の事を考えて、食料庫に行って、地球通販でA4のコピー用紙と鉛筆をまとめて買った。ついでに減っていたじゃがいもを購入して、補充して置く。こっそり、人参も置いて、そういえば玉ねぎも栄養あるし、日持ちがする。購入して、人参の横に置いておいた。


 厨房に行くと配膳が始まっていた。

 子供達が並び終わったのを確認して、最後尾に大人達が並ぶ。今日はバズさんがいたからか、配膳係の子は汗だくになっていなかった。頼りになる大人がいると違うね。


 食事は、じゃがいもをマッシュして塩で味つけしたものと、野菜いっぱいで小麦粉を練ったものが入っているスープだった。プロが味つけしたからか、簡単な料理でも美味しい。今日は食べ終わった年長さんが、「おかわりあるからね」と自主的に配膳していた。


 ここの子供達は、大人に頼らない生活をしていたからか、自主的に動いていて凄い。それか、院長の教育の賜物か。


 大人組に、食事が終わったら話しがあるから残ってもらうように言う。


 食事が終わり、厨房に使い終わった食器を持っていく。他の子が使い終わった食器をまとめてクリーンをかけ、棚にしまっていく。年長さんが手伝ってくれた。




 子供達がみんな部屋に帰った。残っているのは大人達とミーチェちゃんだ。


「残ってもらい、ありがとうございます。昼間伝えれなかった事を、言おうと思い残ってもらいました。

院長、院長の許しなく沢山の奴隷を連れてきて申し訳ありませんでした。ですが、子供達の為にも今の孤児院には必要だと思いました。どうか、奴隷達に孤児院の仕事を教えてあげて下さい。お願いします」


「いいですよ。確かに子供達には大人が必要です。昨日からカヨさんには私が出来なかった事をしてもらい、感謝しかありませんよ」


「ありがとうございます。あと院長には、もし私が亡くなった時の奴隷達の相続人になってもらいたいのです。毎月1人金貨5枚、払えなければ奴隷商に返却してもらって構いません」


 院長は悩みながらも「分かりました」と言ってくれた。


「今日来てもらった奴隷達4人は私が死んだら、院長を次の主人として下さい。それと、私の事は、ご主人様ではなくカヨと呼んで下さい。あとは今月分の金貨5枚を渡します。必要なものがあれば、嗜好品では無い限り、私から支給します。仕事は院長に教えてもらって下さい」


 奴隷達4人の前に、金貨5枚ずつ置いていく。みんな返事をしてくれた。


「カルロスさんは今日みたいに、子供達に農業指導してあげてもらえますか?」


「いいですよ。そのつもりでしたし」


「モニカさんは今日みたいに、手伝ってもらえますか?」


「もちろんです」


「ありがとうございます。私の話は以上です。他に話しのある人はいますか?」


 ルンカさんが手を上げた

「仕事時間を教えて貰えますか?」


「日の出から仕事開始で、日暮れで終了です。でも子供相手なので、病気の子が出たりしたら変則時間になると思います」


 了承の返事を貰う。「他には……」と促しても誰も居なかったので、


「皆さん残っていただき、ありがとうございました。あとは、バズさんだけ残って貰えますか?」


 と言うと、他の人は部屋に帰って行った。バズさんには食事の事で相談がある。


「今の孤児院は足りない事ばかりですが、料理の手伝いに来た子には積極的に料理の作り方を教えてあげてほしいんです。1人で生きていく為に必要な事を。お願いできますか?」


「はい」


「あとは厨房で必要なもの、食材や調理器具でも構いません。必要な時に必要な物を教えて貰えますか」


「分かりました。すみません、ここではパンは焼いていないのですか?」


「焼いてませんね」


「出来ればパン焼き窯を作って欲しいのですが……」


「分かりました。考えてみます」


 話は以上です。と言い立ち上がるとバズさんも立つ。「おやすみなさい」と言い部屋に戻った。


 昨日と同じくカルロス一家が待っていたので、異空間住居を開ける。家に入る前に全員にクリーンをして、中に入る。


 そういやスリッパが無い事に気付く。地球通販で4人分買い、トイレから出て来たところを捕まえて、説明して履いてもらう。ついでにトイレットペーパーの付け替えも説明する。

 トイレの中にはスリッパがあったよ。



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