ロザリー ハルトさん 初めての収穫
ルークをおんぶして、ロザリーとハルトさんに会う為にバナナ農園に訪ねてみると、2人共見事に空を飛んでいた。
今月分の金貨30枚をそれぞれ渡して、もうそろそろ収穫の練習をしてもらうことにした。
ハルトさんが下でマジックバッグを広げて、ロザリーが鎌を持って飛行魔法で飛んでいる。2人共、初めての収穫に緊張しているようだ。
「ロザリー!切ったら汁が出てくるから触らないようにしてね!汚れるから!」
「わ、わかった!」
ロザリーが緊張しながらバナナの房の上の茎?の部分を鎌ですっと切る。下に落ちて来るバナナがマジックバッグに入っていった!成功だ!
ロザリーとハルトさんが喜んでいる。
2人が初めて収穫したバナナだ。切り取って、バナナ熟成箱に入れて、熟成したら取り出してみんなで食べる。ルークも食べるが、バナナをペースト状にした物だ。うまうま食べている。
ハルトさんとロザリーもずっと飛ぶ練習をしていたから、感無量だ。自分達で収穫したバナナを食べている。
食べ終わったら、これからは2人にバナナとチョコの収穫をお願いする。2人の魔力の問題もあるから、無理しないように言って、一週間に1日は好きに休みを取るようにと言えば喜んでいた。
コナーさんのお店で刺繍してもらったマジックバッグはバナナ農園の家の1階の釘を打った部屋に吊るしてある。扉の鍵は全員が持っている。
バナナの種類を間違え無いように、農園にはバナナの名前が書かれた木の看板を創造魔法で造って地面に打ち込んである。これで収穫する時は間違えない。
ある程度、収穫したらキノクニー街で屋台を出して1本5銅貨で売って良いと伝えてある。房で購入する場合は銀貨3枚だ。
もちろん、商業ギルドで売っても良い。その方が高く売れるけどね。街の人とも交流したいかなぁと思って。
チョコは1つ金貨1枚だ。商業ギルドに卸す値段だから安くしてあるんだけど、街の人は高いと感じるだろう。
初めは売れないだろうから、バナナは切って、チョコは1人1粒、試食に使っても良いと許可してある。
まぁ、楽しめればいいのだ。
そういう訳で、バナナとチョコの収穫は2人に任せる。2人がお世話になった孤児院にはタダで持って行ってもいいと許可はしてある。
ほどほどに収穫してくれ。私は収穫してあるバナナとチョコを手に入れるのだ。
バナナチョコが食べたくなった。地球通販で買おう。チョコが甘いから、ほどほどのバナナで十分美味しい。
さっきから背中がやかましい。バナナを食べたくてルークがぐずっている。何事も食べすぎは良くないので赤ん坊のルークには少しだけだからね。
使用人の子供部屋に行こう。ルークの機嫌が治るかも。
ロザリーとハルトさんに別れを告げて、瞬間移動で使用人の住居にきた。
子供部屋に入ると、それぞれが好きに遊んでいる。乳児がいる場所にルークを下ろす。
ルークは違う場所に来て少々戸惑っているようだ。少しずつハイハイする。バナナの事は忘れたな。よしよし。
今のうちに、粉ミルクを数本作っておく。赤ちゃん、わーって来るからね。ミルク出したら、もう来た。抱っこして哺乳瓶でミルクを飲ませる。かわいいなぁ。獣人の赤ちゃん。いろんな耳と尻尾の子がいる。
他のお母さん達は動けない乳児の世話をしている。少量だけど、凄い頻繁にお乳がいるからね。すぐ泣くし。すぐ寝る。ルークも最初はそうだったなぁ。数ヶ月前か。早いな時が過ぎるのは。
他の赤ちゃんと遊んでいたら、ルークがハイハイして私の所に来た。お乳ですねー。ルークを抱っこして飲ませる。
なーんか他の赤ちゃんの視線を感じるんだよねぇ。私のお乳が美味しいって分かるのかな?獣人、鼻が良いんだよねぇ。
ルークが飲み終わったら、服を正す。ルークを床に下ろすと他の赤ちゃんが突進してくる。
1人ずつ哺乳瓶でミルクを飲ませる。他の子が私に縋り付いている。誰か助けて。
気づいたお母さんが助けてくれる。「人気ですね、カヨ様」と笑顔で言ってくれるが、ちょっとだけ怖いんだぞ。赤ちゃんに突進されるの。
だいたいの赤ちゃんの食欲を満たせたようだ。赤ちゃんかわいいけど、突っ込んでこないように。怖いから。赤ちゃんに言っても仕方ないけど。
ここには、屋敷の使用人の子供だけでなく、領主館の人の子供も預かっている。
本当は雇われている人が2人ほどいるらしいが、手が足りないから、アルバイトみたいにお母さん方が働いているらしい。自分の子供の面倒も見れるし結構人気のようだ。
大きい子供達は先生を雇って、勉強させているみたい。
将来、領主館で働くかもしれないからね。
まぁ、今じゃ分からんが。番い次第ってね。
昼食を食べて、最近行って無かった行商に行く。もちろんルークも一緒だ。
インビジブルを掛けて街道を飛んでいく。ルークの機嫌は良い。後ろで声をあげている。
商人さん、護衛の方、すみませんね。奇声を上げているのは我が子です。空から抜かして飛んでいく。
村についた。村人に村長の場所を聞いて、行商の許可を貰いに行く。ダンジョンで潤っているのか、村人の服が綺麗だ。
村長の家に行くと、雑貨屋が村にあるから雑貨屋に売りに行ったら確実に儲かると言われたが、儲けに来ている訳じゃないから、広場を貸してもらった。
商品を広げてルークのベビーベッドを出すとルークを寝かせる。興奮した後だからか少し眠そうだ。
試着室やベッドや看板を出して、折り畳み椅子に座る。チラホラ村人が来る。
やっぱり、ビッグウルフの肉が人気だ。
中古の家の事を聞いて来た村人が居た。金貨30枚で販売していると言えば、今日中に設置出来るか聞いて来たので「すぐ出来ますよ」と言えば、購入を約束してくれた。家の中の荷物を出しておくように伝えると急いで家に帰って行った。
怪我人、病人も来なくなったので、商品をアイテムボックスにしまって、ルークをおんぶする。ベビーベッドも片付ける。
家を購入してくれる人の家に向かうと、家族総出で家の中の物を外に出していた。
「アイテムボックスで手伝いますよ」と言えば、大きい家具をしまって欲しいと言われたので、指示されるまま大きい家具をアイテムボックスに入れていった。
家は裕福な村人が建て替えないのが不思議な位のボロい家だった。
話によれば、建て替える資金はあったものの、それまで住む所が無かったらしい。集会所は使えなかったのだろうか?
荷物を出し終わったみたいなので、アイテムボックスの中のゴミ箱に古い家を入れた。
地面の中のスライムを念動力でバケツに入れて、地面を圧縮して平らにする。それから中古の家を出すと、家主の家族から歓声が上がった。まぁ元は富裕層に近い土地の家だから、そこそこ大きい。
リペアとクリーンを家に掛けると家が大分綺麗になった。家主に金貨30枚をもらい、家具を言われるまま設置していく。
排水溝にスライムを放り込めば、完了だ。挨拶して帰る。
村から出たら、インビジブルを掛けて次の村に飛んで行く。
背中のルークが泣き出した。忘れてた。お乳の時間だ。魔法を解いて、バリアを張り、ルークにお乳を飲ませる。顔が赤い。我慢の限界を超えてしまったのだろう。最近は夜か寝起きしか泣かなかったから油断していた。
お乳をルークにあげていると、魔物や野生動物の物音がしない。なんか不気味だ。探知で魔物を調べるとここら一帯に魔物がいない。もう少し探知の範囲を広げると大きい反応があった。多分こいつが原因だ。
ルークが飲み終わったら、服を直してルークをおんぶする。ついでにクリーンを掛ける。さっきちょっと臭かったのだ。
飛行魔法で原因の元まで飛んで行く。なんかイヤ〜な物が見えた。心を無にして奴の上まで飛んで行く。見たらすぐに即死魔法を掛けた。首をもたげようとしていた大きな蛇は地面にその身を落とした。
見たくない物が見えるせいで寒けがする。鑑定してみる。
ービッグサーペントー
毒を持ち、獲物を長い舌で捉えて食べる。暴食。肉は毒袋を取り除けば食べれる。
とりあえずアイテムボックスにしまう。見えなくなっただけでホッとする。すぐに解体して肉と皮だけ残して、他はゴミ箱に入れる。
ああ、気持ちが疲れた。気疲れと言うやつだ。蛇が嫌いな私にはつらかった。今日は帰ろう。よく叫ばなかった私偉い。ルークとノアの部屋に瞬間移動で帰る。
ルークを抱っこしてベッドに横になる。あー落ち着く。
ルークがもぞもぞ動いて私の腕から脱出しようとしている。よいしょと抱え直して離さない。今、癒されてるのに逃げないでおくれよ。
イヤイヤするので、手を離すとベッドの上をハイハイしだした。私はルークがベッドから落ちそうになると念動力で方向を変えてやる。
見てると和む。無防備な所があるけど、危険は今から学んでいけばいい。
ルークを見ながらぼーっとしてると、ルークがちょこんと私の隣に来た。構ってほしいのだろう。ルークと手遊びしたり、くすぐったりすると可愛く笑ってくれる。
おもちゃのガラガラを渡すとお気に入りと言わんばかりに振る。好きだねぇ。
夕食が近くなると、ガラガラをしまってルークを抱っこして食堂に向かう。
用意してくれてある離乳食をルークに食べさせる。お乳をあげてから時間が経っているせいか食いつきが良い。かわいいなぁ。おいしい?
全部食べたら、手を合わさせてご馳走様をさせる。まぁ、こちらの世界ではいらないが。やっている姿がかわいいので、ついついさせてしまう。
ルークをベビーベッドに寝かせて、外から構う。
他の人が来たので、レインを触って癒される。この手触りよ。満足。
ノア達が来たら、ハグして食事だ。
いつものように美味しい食事を食べる。ライラさんが妊娠に気づかなかったなら、ライラさんは悪阻が軽いか無いんだ。羨ましいなぁ。料理長の気遣い料理を食べてやっと無い私も軽いと思ったけど、もっと軽い人を見ると羨ましくなる。
いけない、いけない、私は私。人は人。違う人だから当たり前だ。
食事が終わったら、リビングへ。
お父様とお母様でルークを構う。ルークも楽しそうだ。お座りがちゃんと出来てる。
ノアは私を撫でて、今日の様子を聞いてくるので、お話する。サーペント出たんだよ!サーペント!ゾッとするけど、我慢したよ。ノアが微笑ましそうに見てくる。微笑ましい所あった?
家族の語らいを終えたら、部屋に帰る。ノアがルークを抱っこしてくれる。私はノアの尻尾。るんるん部屋に行く。
寝室に着いたら、クリーンを掛けて着替えて、ルークにお乳をあげる。むふ、かわいい。腕の中の温もりが愛しくてしょうがない。母性出てるなぁ。
お乳を飲み終わったら、家族3人で遊ぶ。もうすぐあと半年もしたら4人だ。嬉しいなぁ。
ノアがルークに「パパだよ」と話しかけている。早いんじゃないかなぁ。でも獣人は成長が早いから話すのも早いかもしれない。油断できん。
パパ大好きなルークは機嫌がいい。喃語?で話してる。話してるのかな?発声練習かな?偶然に私の方を向いて「まんま!」とルークが言った。メシ?私はごはんですか?その後は「まんまんまんまんまんま」と言っていた。初めて話した言葉がごはんか。食欲があるだけある。子供絵本も読んであげたらいいかもしれない。
ルークとノアが満足したら、ルークを寝かしつける。今日も良く動いたね。ねんねころりおころりよ、ルークは良い子だねんねしな。
ルークが寝たら、ノアにぴっとりと抱きつく。安心するー。ノアも抱きしめてくれる。2人でちゅっちゅする。
ノアには髭が無いの?もともと薄い。人神になってから生えてこない?心配してるんだ〜かわいい。顎にもちゅっちゅする。ノアが笑う。なんだか体質変わっちゃったね。2人とも。
ノアが私の体を確かめるように触ってきた。うん、お腹もう出てるの。分かる?お腹に耳をつけてきた。子供の鼓動が分かるかな?
ノアが満足したら、おやすみ。




