リンダ カーマインの厨房で働く お母様とライラさん鑑定
翌日、朝食を食べ終わったらリンダの部屋に行ってドアをノックする。もちろんルークはおんぶしている。
「おはよう、リンダ!準備出来た?」
リンダが部屋の扉を開けてくれる。
「はい、おはようございます。準備は出来ましたが、どうやって行くのですか?」
「瞬間移動扉で行くの。リンダの部屋に入らせてもらうけど良いかな?」
「あ、はい」
リンダの部屋の壁が空いているスペースにアイテムボックスから瞬間移動扉を出してセットした。特別なハサミで自分の髪を切って、扉の横に付いているポケットに髪を入れる。これで私は通れる。
「リンダの髪の毛を2本ちょうだい」
慌ててリンダが髪をぬく。痛くないかな?髪を貰った私は瞬間移動扉2つにリンダの髪を入れた。
「これでよし!リンダ、この扉の向こうはカーマインのリンダの部屋に繋がってるの。一緒に行きましょう?」
リンダはよくわかってないみたいだったが、荷物を持って私が先に扉を潜り、リンダが付いてきた。部屋の向こうに部屋があることに驚いている。
「リンダ、私は部屋から出てるから、そこのベッドの上にある服に着替えてね」
「え、あ、はい」
リンダは戸惑っているみたいだったけど、制服は分かったみたいだし、1人で着れるかな?難しくはないはずだけど。
待っていると、部屋の扉が開きリンダが出て来たが何か戸惑っている。
「カヨさん、これの付け方を教えて下さい。わからなくて」
「コックタイね。ゆっくり結ぶから覚えてね」
中学生の時に5日だけ結んだ事のあるコックタイを懐かしく感じながら、リンダに結ぶ。うんかっこいい。コックさんみたい。でも女性用だから、少しかわいい。髪が落ちないように帽子を被ったら出来上がりだ。
「この部屋はリンダの為に借りている部屋だから、リンダの好きに住んでいいからね。もちろん今までの部屋も家も瞬間移動扉から行って朝食を食べに帰ってもいいから。昼食と夕食はこちらでも準備されるみたいだけど、口に合わなかったら家の食事も食べていいよ」
「は、はい!分かりました」
着替え終わったリンダを連れて外に行き、部屋の鍵をリンダに渡して鍵をかってもらう。案内しながら、厨房の料理人について話す。もちろん屋敷裏の果物も自由に使って良いことを伝える。飛行魔法が付与された指輪も渡した。
屋敷に着いたら裏口から入り、厨房に行く。リンダは最高潮に緊張しているみたいだ。
厨房に入ったら、料理長に挨拶させてリンダの為のスペースに案内してもらう。他の料理人との兼ね合いもあるから、少しこじんまりとしているけど作業台は十分だ。
地球通販で、チョコをテンパリングするのに大事な魔道具化した温度計や大理石の台、ヘラやボウルや型、ケーキなどを作る時に大事な道具を買い物カゴに入れて、チョコのテンパリングの手順ののった本や、ケーキやお菓子の作り方の本を翻訳して購入すると、作業スペースがいっぱいになってしまったので、料理長の許可を取って、急遽作業用の道具置き場を作った。
ここがリンダの作業場だ。
オーブンの位置も教えて、新しいチョコの実が入ったマジックバッグを渡して、チョコの種類を教える。もう1つマジックバッグを渡して、作ったお菓子を入れる用にしてもらう。作った全てを入れるんじゃなくて、味見なんかはどんどんしてくれていいと話す。
準備している間に、リンダの緊張も取れてきたみたいだ。
リンダに「いつでも欲しい物は相談してね」と言って厨房を後にした。
私は中途半端な時間をどうしようか考える。昨日行った使用人の子供部屋に行こうかな?ルークの相手してくれそう。
来た道を戻り、使用人の子供達がいる部屋に行く。
ノックして扉を開けると、大きな子供達が勉強していた。「間違えましたー」と声を出しながら扉を閉める。もう1つ隣の部屋に行くと、小さい子供達が遊んでいた。
中にいる大人に挨拶して、自己紹介すると恐縮されたが、ルークの遊び相手を探していると言えば乳児さんがいるスペースに案内してくれた。
おお!小さい獣人の子供達がちょこちょこしている。お母さんらしき人が面倒を見ている。
挨拶して、ルークを背中から下ろして仲間に入れる。ルークは不思議そうな顔をしていたが、ハイハイで近づいて行った。
乳児と戯れるルーク、かわいい。
泣いている子供にお乳をあげている人もいる。ここでは自分の子じゃなくてもお乳をあげるのだろう。
私ピーンチ!神の母乳を他の子にあげられない。その子の将来が変わってしまう。私は地球通販で乳児の粉ミルクと哺乳瓶を購入してアイテムボックスに入れた。
さぁ、いつでも泣きなされ乳児諸君。ミルクを準備したぞ。ルークは乳児の間でもみくちゃになっている。やっぱりかわいい。他の獣人の子供もかわいい。天国はここにあったんだ。
座っていると乳児が構って欲しそうに近づいてきた。身体を撫でたりくすぐったりすると嬉しそうに声を上げる。かわいい。
ルークが私に向かって来た。お乳の時間かな?抱っこしてお乳を飲ませる。他の子が羨ましそうに見てきた。みんなお腹空いてるの?それとも見てるだけ?
ルークがお乳を飲み終わると、乳児が私のおっぱいを狙って来た。ダメダメ、ストップをかけると泣きそうになる。
私は粉ミルクを入れる手間を惜しんで、ボウの乳を哺乳瓶の中に入れて人肌に温めた。泣きそうな乳児を抱き上げて腕の中でボウの乳を飲ませる。泣きそうだった子がうぐうぐと夢中で飲んでいる。
お母さん方が哺乳瓶に興味津々だ。何と説明したものか。
結局、お母さん方に哺乳瓶1人1本と粉ミルクをプレゼントした。粉ミルクと哺乳瓶の翻訳はしてあるので、使い方は大丈夫だろう。
ルークは沢山の同年代と楽しかったようだが、私はお乳を狙う乳児との戦いだった。素直に飲ませられたら良かったんだけどね。神の母乳だからね、やたらめったら振りまけないよ。
屋敷で昼食を食べた後にデザートが出てきた。リンダだ!料理長に認められたんだ!良かった。デザートはもちろん美味しかったよ!今度、ちょっと難しい本でもあげようかな。
ティモシー君とウィル君が嬉しそうに食べていた。基本的にこの屋敷、間食しないもんね。多分これからは食べれるよ。
お昼からは、やっぱりお母様が「ルークと遊びたいわ」とルークを子供部屋に連れて行った。
私は自由になったので、ダンジョンでも行こうかな?何階だったかな?確か12階で、デリバーが出て来たのが最後だったと思うんだけど。瞬間移動出来た所から始めたらいいか。
バリアを掛けて、地下12階に瞬間移動!階段降りてすぐの所に瞬間移動された。そういや粉がドロップされたんだ。なんとなく思い出してきた。
デリバーがひゅんひゅんと体当たり?爪で攻撃しようとしてるのかな?バリアで弾かれてるからわかんない。即死魔法で倒すと複数ドロップされた。
ドロップ品を見るのは楽しい。どんな品があるのかが興味深い。鑑定!
ーテントの魔道具ー
スイッチを押せば1人用のテントが張れる。結界付き。
ー解毒ポーション小ー
軽い毒状態を正常に戻す。
ーびっくり箱ー
中からデリバーの作り物が飛び出てくる。
1番最後のいる人いないでしょ!ルークにプレゼントしようかな?びっくりして泣いちゃうかな?う〜ん、悩ましい。こうして考えるとデリバー見た目は可愛いから、需要あるかも。
12階をどんどん進んで行く。デリバーがまとまって攻撃してきたら、即死魔法で倒す。
ドロップ品を見て、いるのといらないのに分ける。うん、楽しい。何が出るかわからないのが面白い。
13階への階段を見つけた所でルークのお乳の時間が近くなったので、瞬間移動で屋敷に帰る。
子供部屋に行くと、ルークがお母様と遊んでいた。今日は間に合った。
ルークがハイハイで私の所に来た。はい、お乳ですね〜。ルークが落ち着いて飲んでくれる。かわいいね。
異空間住居で動画を見てたら、お母さんのおっぱい飲むのすごい嫌がっていた子がいたから、ルークもそうなるのか心配したんだよね。あのお母さんも大変だ。
お腹いっぱいになったら、けぷっとさせて、また下に下ろすとハイハイで動き出した。
そうだびっくり箱をルークに見せよう。アイテムボックスから箱を取り出してルークに近づく。ルークが、ん?と私を見てきたら、箱をルークの前に置いて様子を見る。ルークが不思議そうに箱を触っているが、開けるまでは出来ないみたいだ。ゆっくりと箱を開けるとムササビのようなデリバーがルークに向かって飛び出した!紙みたいな物で作ってあったから痛くは無いと思ったけど、びっくりしたみたいで泣いちゃった。お好みでは無かったか。子供部屋の隅に置いておく。また誰かが引っかかるまで。
お母様に怒られた。初めてかもしれない。お母様がルークをあやしてくれる。びっくり箱、恐怖症にならなければいいけど。私は少し楽しめた。ルークごめんよ。こんなママで。
すごすごとソファに戻ると、フランカがフルーツミックスジュースを入れてくれた。「ありがとう」お礼を言ったら笑った。さっきの見てたのかな?ちょっと恥ずかしい。
うん、バナナが入るとまろやかになって美味しい。
食事を出して食べる。間食は贅沢だ。私のお腹が欲しているのだよ。燃費が悪いね。もぐもぐ食べる。
純粋な祈りが聞こえる。「神様、助けてください」と。私はバリアを張り瞬間移動で声に導かれるまま行く。薄暗い。地下みたいだ。目の前には男性がいる。
「私は希望と破滅の神、貴方が私を呼んだの?」
「神様!?い、祈ってい、いました……」
「何を助けて欲しい?教えてくれる?」
男性の話は、違法な借金奴隷を何人も売り飛ばしていると噂の奴隷商に捕まってしまったらしい。この男性は借金もしていないし、保証人にもなっていないが、借金の書類と共に捕まってしまったらしい。
文書偽造か。男性には「待っていて、助けるから」と言ってインビジブルを掛けて、見つけた階段を飛んで行く。足音が聞こえるとまずいからね。
見張りか体格の良い男性が1人いた。読心と真偽判定を使えるようにする。心の中は『あ〜疲れた』だった。従業員にもブラックなのか。神の目で見たが男性に犯罪歴は無かった。
探知を使って奴隷以外がいる場所を探す。2階の奥に人が集まっている。
階段を飛んで上がっていく。扉は透過ですり抜けた。
「……の件はどうなっている?」
「書類は正規の物を使用しているのでバレません。目はつけられているみたいですが」『誰だよミスったの』
「この街もそろそろ撤退しどきか……明日にでも別の街に行く準備しておけ」『街長に目をつけられては敵わん』
中で話し合っている数人というか、全員は犯罪者だ。とりあえずボスっぽい真っ黒な人には神の怒りを落とす。それに周りが騒ぎ出すのでバインドで捕まえる。
マップでこの場所をチェックして外に出て、兵士を呼びに行く。詰所があった!インビジブルを解いて中に入る。
「どうしたんだね?」
「犯罪者を見つけたのですが、人数が多くて助けを借りに来ました!1人は神の怒りの印がついています!」
「何!?何人くらいだ?」
「詳しくは取調べしてもらわないと分からないのですが、違法奴隷を扱っている奴隷商で人数は8人です」
「分かった!人数を集める!君はそこまで案内を頼む」
「分かりました」
兵士の人がテキパキ動き、15人ほどの兵士を集めたので、言われるまま案内する。
奴隷商について、鍵がかかっているので開いていたと言わんばかりに開錠して中に入り、兵士に2階の奥にいると告げると数人を残して2階に行った。残りは1階を調べるそうだ。ついて行く。
階段を守っていた男性に喧嘩腰で兵士が捕まえようとするので「その人は雇われているだけで無罪です!」と叫ぶ。
えっ?そうなの?って雰囲気になってしまったので「私、犯罪者が分かるスキルを持っています!」と伝える。「そんな珍しいスキルが……」と兵士の人に目をつけられた感じがした。仕方ない。無罪の人が捕まるのが嫌だ。
1階にいる人が犯罪者か選別しながら兵士についていく。
1階は制圧し終わったみたいだ。2階に行く。2階も制圧したらしい。2階は犯罪者しかいなかったから口を出すまでもない。
兵士が書類を探しているので、知ってそうな犯罪者の思考を読んで書類の場所を兵士に教える。ハンコが偽造されているらしい。
犯罪者を連行しない兵士が奴隷商の入り口で怪しい人がいないか見張っている。私は地下1階に行き、私を呼び出した男性の元に行く。
「兵士が来てくれたから、もう大丈夫だからね。もう少し、ここで待っていてね」
「神様!ありがとうございます!」
頭が床につかんばかりに下げられた。慌てて男性を止める。「神殿に行きたい?」と聞けば、妻も結婚した子供もいるから、この街に居たいらしい。良い男性だよ。
生活魔法のスクロールで魔法を使えるようにして、虹貨1枚をスモールボックスに入れるように渡すと、また頭を下げて来た。
私、ここにいない方がいいみたい。
男性に別れを告げて「神の助けが欲しい時は純粋に祈りなさい」と教えて、カーマインの屋敷に瞬間移動で帰った。
自身にクリーンを掛けて、子供部屋に行く。私がたびたび瞬間移動でいなくなるのは、この屋敷では普通だから「あ、帰って来た」って目線でなんとなくわかるので挨拶して部屋に入る。
食事は終わってから行ったから、机の上には何にもない。フランカがまたミックスジュースを入れてくれた。ありがたい。仕事終わりの1杯と、グイッと飲む。美味し〜い!
ルークは寝ているようだ。お母様が優しい顔をして見ている。
乗馬から帰って来たライラさんと子供達もいる。ティモシー君がおもちゃ箱の隣に置いてあるびっくり箱を手に取った。あ、と思ったが、蓋を開けてしまった。
驚いたティモシー君が大声をあげて、ルークが目を覚ました。みんなも驚いている。
私、知りませんよーって顔をしておく。
ティモシー君が種が分かったみたいで、ウィル君に蓋を開けるように言っている。素直なウィル君は蓋を開けてびっくりしているのをティモシー君が笑っている。まぁ平和ですこと。
ライラさんは、おお〜って感じで見ていた。最近ライラさん太ったんだよね。まだ、そんな歳じゃないのに。鑑定してみるか。
名前 ライラ・カーマイン
種族 獣人
職業 貴婦人
年齢 33歳
HP 501
MP 736
適正 生活魔法 火魔法
スキル 生活魔法
状態 妊娠
おお、妊娠している。鑑定!
状態 妊娠5ヶ月
妊娠5ヶ月ぅ!?結構経ってるじゃない!え?私のお腹の子と同じ産まれる予定月?凄い偶然!
「ライラさん!ライラさん!妊娠してますよ!5ヶ月目ですよ!」
「そうね、カヨさんそのくらいよね」
「違いますって!ライラさんが妊娠5ヶ月目なんですよ!」
「ええ!最近太ったと思っていたけれど、それって本当なの?」
「本当ですよ!鑑定で見ましたもん!」
「あら!大変。きつい服をきていたわ。マタニティウェアを着ないと」
「そんな事よりみんなに報告ですよ!お兄様、喜びますよ!もちろん、みんな喜ぶでしょうが。おめでとうございます」
「あら、ありがとう。良い歳して妊娠なんて恥ずかしいわ。嬉しいけどね。最後の妊娠かしら?」
「生理が続く限り妊娠は出来ますけど、そこはライラさんとお兄様次第としか……」
「あら、ごめんなさいね。変な事聞いちゃって。お母様!わたくし、妊娠しましたわ!」
お母様が早足で近づいて確認している。喜んでいるなぁ。孫がいっぱいで嬉しいんだろう。
お母様も鑑定してみようかな?
名前 マレリーナ・カーマイン
種族 獣人
職業 貴婦人
年齢 47歳
HP 408
MP 814
適正 生活魔法 植物魔法
スキル 生活魔法
状態 病気
「お母様ー!!すぐに治癒魔法掛けましょう!病気ですよ!」
「え!そんな、本当なの?え、どうしましょう?」
「治癒魔法掛けますよ!……治りました。ふぅ、焦った」
「カヨさん、色々分かるのね。安心だわ」
「そうですね」
わかりすぎて驚くわ!この、のほほんコンビめ!
夕食にライラさんが妊娠の発表をして、お兄様が喜んで、お母様が食事中に「私、病気だったみたいなの。カヨさんに治してもらったのよ」とお父様を驚かせたり。
ニュースな夕食でした。
その後、みんなを鑑定して健康診断をしましたけどね。




