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【旧作】私は異世界で自由に生きる〜子供達に癒される〜  作者: 春爛漫


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アイーラ領 エネス街

 私は手の甲の印を隠すのはやめた。ノアとルークが隠してないんだ。私が隠すのはおかしいと気づいた。でも長袖だけどね。紋様は途中までしか見えない。まぁ、盛大に晒すものでも無いしね。


 今はルークとノアと、アイーラ領のエネス街に来ている。いろいろあって遅れてたけど、私のマジックバッグを買いたいと言ってくれた商人さんがいる店の前に来ている。会った時、馬車も荷物も多かったからな。大店だ。


「すみません、カヨと申しますが、ニットラーさんいますか?」


「お会いになる、お約束はされていますか?」


「してないのですが、ニットラーさんがマジックバッグを欲しがっていたので、持って来たのですが」


 店員はマジックバッグと聞いて慌てて確認してきます。と店の奥に入って行った。

 あのやり手っぽい商人さん、ニットラーさんて名前なんだ。名前を忘れやすい私でもわかりやすい名前だなって聞いた時思った。


 ノアとルークをあやしていると、店の奥から懐かしのニットラーさんが現れた。


「カヨ殿!もういらっしゃらないかと思いましたぞ。心から待っておりました。さぁ、お連れ様も一緒に中に入って下さい」


 遠慮なく3人でニットラーさんの後を着いて行く。木の自然な匂いがして素敵。

 応接室のような部屋に案内されて、座ってくれと促される。ノアと2人で座った。ルークはノアが抱っこしてるからね。


「お茶を用意しましたが、その、赤ちゃんはどうしましょう?何か食べれますかな?」


「お構いなく。ルークはまだ母乳しか飲まないんですよ。すみません紹介していませんでしたね。私の旦那様のノアール・カーマインと子供のルーク・カーマインです」


「貴族様でしたか!これは失礼を致しました。わたくし、ニットラーと申しまして、1代でこの店の店主をしております。よろしくお願いします」


 名前を聞くと立ち上がって丁寧な挨拶と自己紹介をしてくれた。


「畏まらないで下さい。私達は気にしません。商談をしましょう?来るのが遅くなったお詫びにデザインだけは、沢山揃えて来たんです。出すので選んで下さい」


 お茶を隅に寄せて、マジックバッグの特大ばかり出していく。何とか用意した分は机の上に乗りきった。ニットラーさんは驚いている。


「マジックバッグのすべて特大で時間経過無しです。お代は1つ虹貨1枚で普通の家くらい入りますよ」


「マジックバッグなど、最近で回らない商品をこんなに沢山……しかも、時間経過無しなんて、凄いものを……」


 ちょっと放心気味なので、お茶をいただく。ノアもルーク片手に飲んでいる。

 ニットラーさんは正気に戻り、商品を検分している。

 お気に入りのカバン屋さんの物から、地球のブランドバッグまで沢山デザインがあるから、好きなだけ見たらいいよ。買い物は楽しくなくちゃね。


 バッグを全部見たニットラーさんが話しかけてきた。


「カヨ殿、このマジックバッグ全て買い取らせていただきたい」


「販売するつもりですか?」


「そうです。値段は虹貨1枚とミスリル貨1枚を予定しています。仕入れの値段は変えません。それと、今後、継続したお取引きをさせていただきたいのです。他にも容量が少ないマジックバッグの説明もされてましたね?在庫はお持ちですか?お持ちなら、そちらも、買い取らせていただきたい」


 おお!ぐいぐい来るなぁ。さすが1代で大店にされた方。でも、余り手に届きにくい商品には、したくないなぁ。でも、今でも魔道具屋で販売しているマジックバッグ転売されているみたいなんだよね。それなら問題無いかなぁ。


「良いですよ。今後もお取引しましょう。基本的には私が商品をこの店に持って来ます。それで良いなら」


「良いですとも!持って来ていただけるなんて、嬉しい事です。今、容量違いのマジックバッグもお持ちなら、買い取らせていただきますよ」


 ニットラーさんは元から商品を入れる箱だったのだろう、隅に置いていた箱にマジックバッグ特大を丁寧に入れていった。

 私は魔道具屋の在庫用に持っていた、全サイズを混ざらないように出した。ニットラーさんのテンションが爆上がりで、ちょっと怖かった。「他にも何かお持ちでないですか?」と聞いてきたけど、ニットラーさんのお眼鏡にかなうものは無いと思って「無いです」と答えた。

 それぞれの売値も教えてくれたので、安心してお任せ出来る。


 それから、お茶を飲んでる間に会計してくれて、マジックバッグ特大で虹貨36枚、大で虹貨7枚、中で虹貨1枚とミスリル貨4枚、小でミスリル貨6枚。しめて、虹貨45枚になった。大金だ。売るつてがあるのだろうか?ニットラーさんはホクホク顔でお金の準備をしてくれている。このお店、財力あったのね。

 お金を貰った。毎度あり。大金。


「次は、いつぐらいに来たら良いですか?」


「いつおいで下さっても良いですよ。明日でも良いくらいです」


 毎日はつらいので、月1くらいにして貰った。ニットラーさんが、買い付けに行っている時は、奥さんに言えば良いと紹介された。綺麗な人だった。金で買ったと言ったら心外だろうが、金のある所に美女ありと思ってしまった。

 私?私は一般人で顔が良いなーって位だよ。この部屋の誰にも、負けてたね。もちろんルークには可愛いさで負けている。


 店の前まで送ってくれた。

 人影が無い場所で、瞬間移動でカーマインの屋敷に帰った。そういえば、カーマインの屋敷も領主館も豪華だよな。もう慣れて来ちゃったけど。古いけど格式が有るって感じ?王城ほど豪華じゃないけど。王城はキラキラしてるからね。キラキラ〜。


 本当は私とノアは待機だけど、部屋ばかりも疲れるのさ。気分転換に約束していたけど、いけなかったニットラーさんの店に寄らせてもらった。


 今は午前でもうすぐ昼食だ。ルークにお乳をあげる。少し我慢してたみたいだからね。いっぱい飲んでよー。もう少ししたら乳歯が生えてくるだろうけど、今から怖い。噛まれたら、治癒魔法で治せばいいんだけど、痛みに弱いから。

 ルークが誘拐された時は大怪我だったけど、ルークに気を取られすぎて、痛みを感じなかった。瞬時に治癒してたみたいだけど。後から思い出すと怖くなるね。でも、本能的にルークを優先して良かったと思ってる。今も可愛いルークと一緒にいれるからね。


 飲み終わったルークの口を外してあげる。満足そうだ。服を直して、ルークを抱っこする。最近抱っこされると分かると「にこぉ」とするんだよね。好きなのかな?かわいいからいいけど。ノアが後ろから抱きしめてくる。ノアもスキンシップ好きだよね。私も好き。親子サンドだ。具は私。ルークが気持ち良さそう。寝るかな?


 寝たルークを抱っこして、ノアと食堂に向かう。ノアがルークの抱っこ変わろうか?と言ってくれたけど、今はこの重さが心地いいから断った。


 食堂に着いたら挨拶して、ルークをベビーベッドに寝かせた。かわいい顔して寝てー。ほっぺを触る。むにっとサラッと触り心地がいい。赤ちゃんの肌の神秘ー。


 お父様とお兄様が来たので席に座る。料理長にお願いしたとおり食事量が増えました。今日はきっと熊料理のはず。美味しそうな匂い。早く食べたいな。


 もりっと、煮込み料理が出てきた。期待値がやばい。神に感謝していただきま〜す。

 おいひい〜!今度から熊肉絶対売らない。全部食べる。なんだよ、料理長も美味しく作れるじゃんよ。警戒しないでよ。悪い肉持って行った事なんてないんだから。

 家族みんなも満足そうだ。嫌そうにしていた、お母様とライラさんも美味しそうに食べている。子供達なんて、ほっぺがぷくりとしている。どれだけ食いしん坊なんだ。可愛いなぁ。あっ、ライラさんにティモシー君が気づかれて注意されてる。やっぱり貴族だな。


 私は食事、だいたい箸で食べてる。スープなんかはスプーンだし、ステーキなんかはナイフとフォーク使うけど。文化が違うから良いんだって。正式な場ではダメだけど。

 料理長もいつも部屋の片隅で、配膳したりして私達家族の好みを把握しようとしてるから、気遣いが凄い。箸がいらない時用意されてないからね。貴族の家に勤めるって事は頭が良くないといけないんだなぁ。


 食後に家族に時間を取ってもらって、みんなを神官に出来るか試させてもらったら、全員出来たー!これで、守りは万全だ。お揃いも嬉しい。カーマイン家族がいい人だって証明できたね。

 みんな不思議そうに印を見てたよ。ふざけて、神託と言う世間話をしたら、みんな驚いていた。私は神託の練習になって良かった。


 お父様とお兄様は仕事に行った。

 ほかの人は子供部屋に行く。ティモシー君とウィル君は神官の印を見せ合って、格好をつけている。ごっこ遊びしたい時期かも。

 ノアとお母様はルークを絨毯に下ろして、ずりばいの練習を見守っている。

 私はレインに久しぶりに抱きついて、癒されていた。あったかもふい。そして果物をねだられる。何だねレイン君。タダではもふらせん気かね。適当な果物を口に放り込んでやる。レイン、ちょっと横にならんかい?レインを抱き込む。寝てやるぜー。カノンがレインの隣に横になった。愛だね〜。ぐぅ。



 夕方に起きた。レインが身じろぎしたからだ。ちょっと外で飛んでくるらしい。行ってら〜。ウィル君とティモシー君もついて行ったから、ライラさんも外に行く。


 さて、ルークはどうなったかな?お乳の時間だけど。


 ルークは数cmだけ動いたらしい。初ずりばい数cm。まぁいいんじゃないかな。

 ルークを抱きあげて、おっぱいをあげる。よく飲む。この部屋にいるのは、お母様とノアとメイドさんだけだから、恥ずかしくないのだよー。いや、本当はみんなが見てくるから、ちょっと恥ずかしい。ルークを見てるんだろうけど。みんな優しい顔してるもん。赤ちゃんのお乳飲むところ、ちょっと癒されるよね。


 ルークが飲み終わったら、お母様にルークを預ける。お母様は嬉しそうだ。ノアの小さい時にそっくりなんだって。ノアは優しい顔してお母様とルークを見ている。自分を重ねてるのかな?ノアがこっちを見てきた。メイドさんに下がるように言っている。


 ノアとお母様とルークと私になった所でノアが話し出した。


「カヨ、私が人神じゃない時に、一緒に生きていくすべがあると言っていたよね。お母様に話してほしいんだ。お母様はカヨの話しを聞いて判断してほしい」


 えっ、ノアいきなり?いつかは話そうと思ってたけど、今から?


「カヨ……」


 ノアが切なそうに見てくる。心を決める。


「お母様、私は『神の花』と言う、花びら1枚食べれば1歳若返る花を持っています。寿命がきてからでは、お父様とお母様を助けられないので、来る前にお話ししようと思ってました。お母様、お父様と良くお話しになって、使うか使わないかを判断して下さい。花の事は気にしなくても沢山持っています。よくお考え下さい。ノア」


「お母様、私はわがままです。今のカーマイン家が好きです。お父様とお母様、兄様にも長生きしてほしいです。いつか、別れが来るとしても」


「ノア、信じられない気持ちですが、神の貴方達が言うなら本当なのでしょうね。お父様・アルソンとよく相談します」


 お母様の膝の上でルークが機嫌良さそうにしていた。


 あの後のお母様は普通に見えたが、愛情深い人だ。裏では悩んでいるだろう。

 ノアも純粋な人で無くなり、本当は不安なんじゃないだろうか?置いていかれる恐怖がある。私も感じる。神じゃないルークが先に死ぬって分かっているけれど、考えたくない。

 純粋なルーク。大きくなったら、貴方に神の花を使いたいと思っているなんて、知らない顔。いつまでも私の腕の中にいてほしいよ。


 ルークを食堂のベビーベッドに寝かせる。寝返りをすぐする。かわいい。急いで成長しなくてもいいんだよ。ゆっくり成長して?


 お父様とお兄様とライラさんはちょっと暗い雰囲気の食堂に不思議そう。暗いオーラが出てるかもしれないね。そのかわり子供達が賑やかに話している。


 日常がいいよ。夕食が来た。これはボウの肉だ。久しぶりに良いと買ったのだろう。

 神に感謝していただきます。ボウの肉、美味しい。角煮みたいにしてある。旨みが強い肉なんだな。ん〜!味が濃いかと思いきや、自然の旨みが生かされている。ボウ、本当に万能だな。

 久しぶりにノアが給餌して来た。何か不安なのかな?ぱくりといただき、ボウの肉をお返しにあげる。ノアが嬉しそうな顔になった。可愛い旦那様だよ。


 食後にノアがルークを抱っこしていく。私はノアの尻尾を掴む。


 部屋に行って着替えたら、ルークにお乳を飲ませる。かわいいルーク。毎日、愛しい。

 飲み終わったら、背中を撫でてポンポンたたきゲップさせる。抱き上げて、ベビーベッドに横にする。


 ノアに抱きついて「何か不安?」と確認する。ノアは少し沈黙していたけれど、私を抱きしめて「置いていかれるのが怖くなったんだ。カヨと生きていくと決めたのに」と本音を言ってくれた。


「私も怖いよ。でも、他の人の人生はその人の物だから、延命がいらないっていわれても、受け入れるしか出来ないよ。だから、ノアだけは、離してあげない私の旦那様」


 強く抱きしめる。思いが届くように。ノアは私に縋り付くみたいだったが、だんだん覆い被さるようにベッドに横になった。ノアなりに悩んでるんだな。



 その夜のノアは激しく私を求めてきた。


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