表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【旧作】私は異世界で自由に生きる〜子供達に癒される〜  作者: 春爛漫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

110/195

ペタンゴンの皮と熊肉

 ここ1ヶ月、季節風邪でカーマインの領地を回っていた。

 ありがたかったのが、視察で私の顔を覚えてくれていたから、スムーズに治療出来た事と、ルークがあまりぐずらなかった事だ。

 とりあえず今年の季節風邪は終息に向かった。

 何故カーマイン領だけ、乾いた風が来るんだろう。不思議。まだ行ってないだけで、他の領地も季節風邪があるんだろうか。


 お父様も仕事に戻ったので、男性陣は仕事だ。


 私もペタンゴンの皮を王城に持って行かないといけない。ルークが一緒でいいかな?ダメなら帰ってこよう。


 ルークにお乳を飲ませて、お腹いっぱいにさせる。抱っこひもで固定して、王城前まで瞬間移動すると、門番さんが「あれ?久しぶり」みたいな感じで出迎えてくれた。覚えていてくれた。良かった。

 用件を伝えると、適任者を呼んで来ますと駆けて行った。


 少し待つと、王太子殿下の執務を一緒にしているメイソンさんが来たので、挨拶してついて行く。

 素材が置いてある辺りに来たのだろう、色んな匂いがする。ルークに匂い遮断の結界を張る。

 ルークが色んな物に興味を示している。おんぶにした方がいいかも。


 素材を検品する場所かな?少し広い場所に出た。メイソンさんが中に声を掛けて人を呼んでいる。

 沢山の人達が来た。「素材を出して下さい」と言われたのでペタンゴンの皮を中央に置いてある大きな机の上に出すが、1回じゃ置ききれない。検品の人が素早く皮を見ていく。

 空いた側から出して行く。検品の人がそれを見る。何回か繰り返して、ペタンゴンの子供の皮は終わり、親の皮を出す。検品の人、全員で皮を広げるが大きすぎて検品出来ない。


 場所を変えるようだ。後をついて行く。前に素材を出した場所に来た。親の皮を広げて見ているが、意見がまとまらないようだ。皮の値段で悩んでいるらしい。

 声を掛けて「献上します」と言えば、ホッとした顔をされた。精算してもらい、ミスリル貨4枚とプラチナ貨2枚貰った。皮だけでこの値段、結構いいんじゃなかろうか。


 メイソンさんに声を掛けて、ヒュドラの素材はどうするか聞けば、準備が出来たら手紙を出すと言われた。


 出口まで送ってもらい、メイソンさんと門番さんに挨拶してカーマインのお屋敷に帰った。


 ルークがうとうとしてたので、屋敷の周りを散歩して日陰に寝かせた。敷物を敷いてその上のお昼寝マットの上で気持ち良さそうに寝ている。


 お昼近くなったら、ルークを起こして、マットなどを片付けて食堂に行く。無理に起こしたので、ちょっとぐずっている。よしよし、機嫌なおして。

 食堂に行ったらまだ早かったみたいで、レインとカノンだけ居た。床にクリーンを掛けてルークを寝かせると、レインが近づいてきてルークの匂いをふんふん嗅いでいた。ルークは「うぁきゃう」と言いながら、もふ毛をつかもうと腕を伸ばしている。カノンも寄ってきてルークの匂いを嗅ぐ。ルークは大きい生き物に興味津々みたいだ。目をくるくる動かしている。2頭とも離れたら抱っこしてから高い高いをする。機嫌は直ったみたいだ。


 ベビーベッドに寝かせると、身体をよじろうとする。寝返りか?頑張れルーク!踏ん張っていたが、まだ筋肉が足りないのか「やったけど無理だったぜ」みたいな顔で元に戻った。

 家族みんなが来た。ノアが私とルークに挨拶してくれる。ルークはノアの顔をじっと見ていた。


 昼食が始まって、私だけみんなと別メニューを食べる。美味しいんだけど、他の人が違うごはんを食べてると気になる。料理長には感謝してるけどね。食い意地が張ってんなぁと思うが、食べれる時に食べんといかんのです。食べ物に苦労した人はみんなそうだと思うが。教訓。お腹に入るだけだが。


 食事が終わったら、ノアとお別れ。ハグをしてルークに声を掛けてから仕事に行った。

 私はルークにお乳を飲ませて、ルークをおんぶ紐に固定してインビジブルを私とルークに掛ける。

 瞬間移動で前回行った場所に出て、飛行魔法で飛んで行く。背中のルークが「うあぅあぅ」と言ってご機嫌だ。


 村に着いたら、インビジブルを解いて、歩いていき、村長を探す。

 行商していいか聞いてから、商品を出す。ルークはアイテムボックスから出したベビーベッドに寝かせる。


 今日の目玉は、熊肉300マル1銅貨!硬いんだけどね。

 そんな事関係ねぇとばかりに、奥様方は買って行く。たくましい。

 ちょうど、熊肉を買いに来た奥さんに熊肉は美味しいのか聞いてみた。手間がかかるけど、美味しいようだ。奥さんに熊肉を無料であげるから、明日料理した熊肉を食べさせてとお願いした。「いいよ」と言ってくれたので、家の場所を聞いて、また明日と別れた。奥さんは熊肉を持てるだけ持って行った。


 治療は、目玉が片方だけ無い人が来た。創造魔法と治癒魔法の同時治療だ。繊細な部位だから、ちょっと時間はかかったが、無事治った。男性は両目で見る景色はいつぶりだろうと感激して、私と握手までしてお礼を言って帰って行った。

 その他の治療の人は、いつもと同じ怪我か病気だった。早く終わった。


 今回は家が1軒売れた。お客さんがいないから、家の配達に行こう。商品を仕舞い、ルークをおんぶして、ベビーベッドもアイテムボックスの中に入れて、家を買ってくれた人の家まで歩いていく。


 まだ家の中の荷物を外に出していたが、私が来たらベッドだけ出すのを手伝ってくれと言われたので、アイテムボックスにしまった。「便利だなぁ」と言われた。家は雨が降ったら怖かったろうなぁと思うくらい、年季の入った家だった。

 荷物を出し終わったみたいなので、家をアイテムボックスのゴミ箱に入れて、スライムをバケツに入れる。いつもスライムのこと忘れて大変な思いするので、今日は忘れなかったと思い、地面を圧縮して平らにならす。

 新しい家を出して、ベッドの設置場所を聞いて出す。家から出ると、奥さんと子供達が嬉しそうに、片付けていった。お父さんに代金を貰って、世間話しで、この領地にはダンジョンがあるから、旅人が食料を買ってくれるので結構裕福らしい。


 ダンジョン。お金や魔道具が出て来るって言う、あのダンジョンだ。ちょっとわくわくする。

 お父さんに挨拶して去る。


 村を出て、丁度良い時間になるまで次の場所に向かって飛んで行く。ルークも楽しいのか、キョロキョロしている。


 夕方になったので、カーマインの屋敷に瞬間移動する。

 子供部屋に行くと、子供達とレインにカノン、お母様方が居た。挨拶して中に入る。ルークを背中から下ろして、ソファに横にならせる。とお母様が来てルークを連れ去ってしまった。早い。

 私がソファに座ると、メイドさんがお茶を入れてくれた。ありがとうと飲む。熱いが飛んで居た身体では、ルークと接していた背中だけ暑かったので、ちょうどよく感じる。


 お母様方に熊肉は美味しく無いのか聞くと、ちょっと嫌そうな顔をして、処理がちゃんとしてあれば美味しいらしい。お母様方の様子だと、ちゃんとされてない肉を食べたんだなと分かる。同時に美味しいのも食べた事があるのだろう。明日が楽しみだ。


 ウィル君はレインに乗って満足そうだ。ティモシー君は羨ましそうに見ている。ちょっとティモシー君が乗るにはレインは小さいね。ティモシー君ならもうすぐ馬かな?レインは私を見て近づいてくる。


『カヨ、果物ちょーだい』


 レインは私を見たら、果物を食べれると思うのだろうか?あげるけど。リュリュを取り出して食べさせる。


『ん〜ん、いちごってのに少し似てるけど、美味しい!もっと!ちょうだい!』


 ウィル君が動かないレインにご立腹だ。背中をペシペシ叩いている。そんなに痛くないからって、叩かないでくれや。手癖が悪くなるぞ。

 レインにリュリュのおかわりをあげる。夕食前だからか、それで満足したようだ。ティモシー君はカノンを撫でている。

 我が子はお母様の上で足を弾ませている。そんなかわいい事どこで教わってきたんですか!我が子よ!お披露目するなら母が先ですよ!ルークめ。


 夕食になったので、食堂に移動する。ルークはお母様が抱っこしている。腕が寂しい。


 待っていると男性陣が来た。ハグしてお出迎えする。その後はルーク。ルークは平常だよー。


 夕食を食べた後はリビングへ。ノアがルークを抱きかかえる。親子ってすぐ分かる。私がルークのほっぺを触るとイヤイヤする。かわいい。ノアはルークの耳を触る。ルークが気持ち良さそうにしている。撫でテクがあるのか?獣人特有の?母を除け者にしないでくれ。

 ノアはお父様にルークを渡してた。お父様でれでれやん。ノアが私を抱き寄せてくれる。母から嫁に戻る。ノア好き。肩に顔を寄せて、近づく。頭からほっぺを撫でてくれる。ノアの撫でテクがすごいんだ。気持ちいい。ルークもメロメロだね。


 いい時間になったので、解散して部屋に帰る。ノアがルークを引き取ってくれた。ノアの尻尾を握って歩く。ノアちょっと尻尾に力が入ってる。今日は元気っぽい。尻尾で判断するのもおかしいけど。


 クリーンをみんなに掛けて、着替える。寝る前にルークにお乳を飲ませる。お腹空いてたみたい。長いこと飲んでる。横からノアが覗いてくる。マジマジ見られると恥ずかしい。やっと口を離した。上手く飲めたねぇ。ベビーベッドに寝かせる。


 ノアが私を抱き寄せてベッドに寝かせてくれる。

 おやすみ、ノア。ごそごそ。え、おやすみじゃないの?夫婦のスキンシップね。





 朝はルークの泣き声で目が覚めた。お腹空いたねー。ルークにお乳をあげる。いっぱい飲むんだぞー。ノアも起きたみたい。おはよう。ちゅうしてくれる。外国人になったみたい。異世界人だけど。子供にお乳飲ませたままちゅうするとは思わなかったよ。大胆になったな私。

 ルーク、今日はかわいい格好にしましょうねー。


 ノアがルークを抱っこして、食堂まで歩いてくれる。貴重な父子の触れ合いだ。私はノアの尻尾を握る。ノアが困った顔して見てくる。寂しいんじゃないぞ。ヤキモチもやいてないやい。ちょっとだけ疎外感はあったけど。

 そのまま挨拶して食堂に入ったら、お父様が目を剥いてお母様が「あらあら」って顔してた。お兄様達はまだね。

 お兄様達が来た。ライラさんが「その手どうしたの?」と聞いてくるので「丁度いい場所にあったので」と言えば「人族って面白いのね」と笑って椅子に座った。私とノアも椅子に座る。尻尾はもう握って無いよ。


 朝食を食べる。ティモシー君がレインに乗りたいとお兄様に言っている。お兄様は「小さい馬なら、大人付きで乗っていい」とおっしゃった。ティモシー君は嬉しそうだ。ウィル君はよくわかってないな。お兄ちゃんが馬に乗っている時は離れて遊ぶんだぞ。


 ノアをルークとお見送りする。熱烈なちゅうをいただいた。ルークもほっぺにちゅうされてた。今日はキス魔人のノアだ。「あぁぅっ」ってルークが喜んでる。よだれよだれ。クリーンを掛ける。


 お見送りした後はルークをおんぶ紐でおんぶする。インビジブルを私とルークに掛けて、昨日進んだ道まで瞬間移動する。飛行魔法で飛ぶとルークが「うきゃうあう」と言ってご機嫌だ。インビジブル掛けると私も見えなくなるもんな。ルークの目の前に広がっているのは、どこまでも続いていく道と森。気分が良いだろう。風よけの結界を掛ける。これで快適だ。通行人や馬車が通れば、高い場所を飛ぶ。プチジェットコースターだ。ルーク泣かないからすごいよな。興奮して「あきゃゃゃあ」って叫ぶときはあるけど。通行人やびっくりしないでくれよ。すぐに去るから。


 次の村に着いたけど、熊肉料理をご馳走になるにはまだ早い。次の目的地にも行こう。


 10時頃、町に着いた。1つ目の村に戻ろう。瞬間移動する。インビジブルを解いて結界も解く。ルークにクリーンを掛ける。興奮してよだれがすごかったからね。

 昨日の奥さんの家に行く。扉をノックすると出てきてくれた。


「中途半端な時間に来たね。昼食じゃないのかい?」


「間食なんですよ。どうしても熊肉が気になったんで。量は少しでいいですよ」


「そりゃあ助かるけど、入ってちょっと待ってな」


 ルークを背中から下ろして、ダイニングの椅子に座る。田舎の家って感じだ。悪くない。どこか懐かしい感じ。ルークにお乳あげないと。誰もいないから、服をまくり、ルークにお乳を飲ませる。素直に飲んだ。興奮してお腹空いたかな。いい匂いがしてきた。奥さんが料理を温めてくれてるんだ。

 ルークが飲み終わったので、服を直す。ルークと目を合わせて、小声でお話しする。ルークは私の目をじっと見る。かわいい。


「かわいい赤ん坊だね。旦那が獣人かい?」


「そうなんです。獣人って伴侶を番いって呼ぶでしょ。捕まってしまって」


「旦那からアタックされたのかい。熱烈だねえ」


 笑った。今思い返せば、熱烈だったかもしれない。当時は一目惚れした不審者だ。綺麗だから得したねノア。


「はい、熊の煮込みだよ。食べな」


「神に感謝を。いただきます」


 用意してくれた匙で熱い煮込み料理を掬う。匂いは美味しい。味は?パクリといただく。ん!脂が美味い!甘い!全然不味く無いじゃん!美味しいじゃん!

 私が食べている横で奥さんが話し出す。


「あんたのとこの熊肉、上手く処理してあるから美味しくてさ。旦那にも子供にも昨日喜ばれたよ。ありがとうね」


「いいえ、私こそ、熊肉をこんなに美味しくしてくれてありがたいです。本当に美味しいですよ、これ!」


「ははっ、嬉しいねぇ。まだ肉あれば買いたいんだけど、いいかい?」


「いえ、こんなに美味しいのご馳走してもらったんで、いろんな肉差し上げますよ。実は行商人、趣味でやってるんですよね。だから、遠慮は無用ですよ」


「趣味かい!そうかい!あんた綺麗な結婚の印出た服着てるもんね。旦那が嫉妬深い訳だよ」


「そんなふうに見えます?」


「見える見える!よく見りゃ顔もかわいいじゃないか。普通の行商人とは見る人が見りゃ違うって分かるよ」


 かわいいって言われた。温かい料理じゃなくって顔が熱くなる。うぅ、熊肉美味しい。ルークが触りたそうだけど触っちゃダメだからね。


 ご馳走様して、奥さんに色んな肉を紹介していく。奥さんは目の色変えて「本当にいいのかい?貰うよ?」と確認してきた。最後にとっておきの、マウンテンドラゴンの肉をだせば、飛び上がりそうなほど驚いていた。ヒュドラの肉も出そうか?


 奥さんは気持ちいいほど、遠慮しなかった。あの熊肉は鑑定を信じていた私の常識を変えたからね。硬くても薄く切って煮込めば美味しくなる。味付けも上手いんだろう。


 奥さんとは笑顔で別れた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ