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【旧作】私は異世界で自由に生きる〜子供達に癒される〜  作者: 春爛漫


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懐かしい子供とペタンゴン

 それからは、いろんな村を巡っていった。


 村の中を散歩していると、人族の村と違い、農地がある町みたいだなと思った。魔物から守る壁はないが、その分、自由に自然と調和した生活空間を作っているようだ。


 村に常駐している領兵やカーマイン領では少ない冒険者が、厄介な魔物を討伐してくれているから、戦える村人は小さな魔物と戦い、肉など素材を手に入れているらしい。


 私の事を覚えてくれていた村人もいたので、嬉しくなった。レインの事は魔物と妖精の区別がつかない人ばかりで、紹介すると「なるほど」と納得する人が多かった。

 子供は物怖じせずに、レインと遊んでくれた。


 冒険者ギルドのギルドマスターが、魔物のパクティーの事を言っていたのを思い出した。


『悪辣な魔物。子供が知らず可愛い魔物ゆえ被害にあう』


 魔物と妖精の違いを、伝えていこうと決心した。魔物とパクティーによる、子供の被害が出ないように。



 1ヶ月経った頃には、視察団に仲間意識が出来てスムーズに仕事も移動も出来るようになって、予定よりちょっとだけ早く視察が進んでいた。




 私がカーマインで初めて来た村に着いた。人族も多く居るので、この領のお偉いさん達を見ようとする人族が多かった。動物園のパンダの気持ち。


 着いた時は、人垣が出来ていたが、村長が村人達をちらしてくれた。

 昼食を食べてから視察を始めるようで、マジックバッグの中の食べ物を食べた。


 ノア達視察団を送り出して、レインと一緒にいつもの見回りに行く事にした。

 インビジブルを掛けて、飛行魔法で飛び、広範囲を探知して行くと、小さな魔物が多かったが、領境の為か中型の魔物も居たので退治する。


 アイテムボックスに肉のストックが沢山、出来ている。今まで食べれない魔物に出会った事は無い。全ての魔物は食べられるんじゃないかと考えたが、そういや海の魚は食べられないのが居たと思い出した。

 アイテムボックスに入っていた食べられる魚を取り出して、レインに差し出したら『くさい!』と嫌がられた。なんか私が言われたみたいでショックだった。


 見回りが終わったので、村をレインと散歩していたら、人族と獣人の子供が混じって遊んでいた。私達に気づいて1人の獣人の子供が走ってきた。

 見覚えのある子供だった。インビジブルを掛けた私に気づき、私の夜泊まる所を心配してくれて最後にメロンをあげた子だ。


「姉ちゃん!久しぶり!魔物なんて連れてたら危ないよ!」


「よく私だってわかったね。この子は魔物じゃなくて妖精だよ。目の色が違うでしょ?魔物は目が赤いから」


「姉ちゃんの匂い覚えたから!本当に魔物じゃないの?」


「魔物じゃないよ。目が虹色でしょ?妖精の証だよ」


『僕、魔物じゃないよ』


「うわっ!喋った!」


「念話で話しかけてるんだよ」


「あっ!ほんとだ!魔物の目じゃない!綺麗な色だ!」


 他の子供達が寄ってきた。


「ダリアン、大丈夫?」


「魔物じゃないのかよ〜?」


 ダリアン君がみんなに説明してくれている。恐る恐る近づいて来た子がレインを触る。レインが子供に触られて満足の鼻息を出す。子供は触り心地に喜んだ。


「すっごい手触りいい〜!もふっとしてる〜」


 他の子供も近づいてきてレインを撫でる。みんなきゃーきゃー騒ぎ出した。ダリアン君も触っている。レインは子供達に囲まれて嬉しそうだ。


 私はしばらく、その風景を見ていた。


 子供達が満足した所で、子供達に別れを告げて、レインと散歩の続きをする。

 子供達は可愛いかった。この村は獣人と人族が一緒に暮らしている。子供達の仲も良い。いい村だ。


 村人はレインが怖いのか、家から覗くようにこちらを見ている。あの子供達が特別、人見知りをしなかったようだ。

 少し居心地が悪くなったので、集会所に帰ることにする。


 振り返ると、子供達が後ろに付いてきていた。どうしたのか聞いてみると「まだレインと遊びたい」「姉ちゃんのお腹を触りたい」と言ってきたので「集会所の前でレインと一緒に遊んでいいよ」と言ってみんなと集会所に行った。

 ついたら、レインに好きにさせて、私は椅子に座りお腹を触りたいと言った子供にお腹を触らせてあげた。

 「おお!」と驚きながら触っていた。女の子も興味があるのか、お腹に話しかけていた。かわいい。子供がお腹に入っている事は知っているようだ。「私も子供出来るかなぁ?」と言っているので「旦那様と仲良くしたら出来る」と答えておいた。まぁ、嘘ではない。


 今はリラックスしているからだろうか、子供が動いている感じがする。触っている子も感じたみたいで「赤ちゃん動いてる?」と聞いてきたので「動いてるね。きっと触られて嬉しいんだよ」と返した。触っている子は喜んでお腹を撫でた。

 胎動は私がリラックスしてる時に多い気がする。何か関係があるのかな?


 夕食が近くなったら、子供達は帰って行った。楽しかったな。レインも途中から思い切り体を動かせて楽しそうだった。子供達とかけっこしてるんだもの。子供達も頑張ってたけど、レインが速いから獣人の子でも追いつけなかったぞ。手加減してあげてたみたいだけど。

 走る姿を見ると、やっぱり魔物だったんだなと思う。無邪気にしてるとわからないけれど。



 ノア達視察団が帰ってきた!ノアにハグしてお出迎えする。ノアも優しく抱きしめてくれた。


 今日の夕食は、肉団子のスープとパンと焼いた肉だった。ちょっと肉肉しい。スープはあっさり食べれるけれど。ノアが給餌してくれたので、お返しする。

 多分肉は私がとってきた肉だな。


 ノアとレインと異空間住居に行き、ベッドでおやすみする。

 最近、お腹の子が夜に胎動して目が覚める。もう、9ヶ月目だ。もう少しで会えるから、今は静かにして?とお腹を撫でる。お腹を撫でていたら、いつのまにか寝ていたみたいだ。



 朝、寝坊して、ノアに起こされる。ママを夜寝かせてくれよ、とお腹の赤ちゃんに言う。今はお腹の中で沈黙している。


 着替えて急いでクリーンを掛けて、朝食に行く。1番最後だったようだ。正しい姿なんだろうけど、1番最後に来ると落ち着かない。

 朝食をサーニャが運んでくれた。お礼を言って、いただく。夜目が覚めたからか、お腹ぺこぺこなんだよね。

 他の人は自分でパージの元に取りに行く。


 満足な食事が終わった。腹八分目くらい。

 ノア達のこの村の視察が終わったら、次に行く場所は開拓予定地。


 午前中はレインと先にそこを見て来ようと思う。下見だね。危険があったら嫌だし。


 サーニャにレインと散歩に行ってくると言って出かける。歩いているとレインが話し掛けてきた。


『村の散歩は昨日したよ?』


「今日は明日行く予定の場所に行くの。魔物がいるかもしれないから、気をつけてね」


『初めての場所に行くんだね!僕楽しみだな〜』


 レインと一緒に、インビジブルを掛けて、飛行魔法で飛んでいく。この村からそんなに遠くない場所だから、大丈夫でしょう。


 飛行魔法で1時間くらいで着いた。目標に看板が立っていたから、すぐわかる。


 広範囲で魔物と人を探知する。人はいない。魔物は不自然なまでにいなさすぎる。きっと何かいる。魔物探知をもっと森の奥に伸ばす。大きな反応と、人くらいの大きさの反応が沢山ある。


「レイン、魔物がたくさん居る所に今から行くから注意してね」


『うん、わかった』


 空を飛び、魔物の反応がある所まで飛んでいく。目的地に着いたけど、地表にも上空にも魔物はいない。でも確かにこの場所に魔物が居るはず。地面の中かな?どうやって攻撃しようか。

 土魔法で地表を引っ剥がす。大きな巣穴みたいなのが見える。探知で地中の中まで魔物を探して、そこから上に球状の結界をはる。結界の中の空気を抜くようにイメージして魔法を使う。

 うじゃうじゃと、人くらいの大きさのヤモリに似た生き物が出てきた。結界の端まで行くが、結界に阻まれて外には出れない。

 大きな反応があるんだけどなぁと考えていると、巣穴から8mくらいの同じ魔物が出てきた。1体だけだ。お母さんかな?のたうち回って苦しんでいる。子供達はピクピクしている。鑑定してみる。


 ーペタンゴンー

 土魔法を使う魔物。土の中で生活し、獲物を巣穴にいる仲間と分け合う。成体のメスになったら、お腹に卵を抱え新天地へ行き巣を作る。肉は柔らかく美味。



 魔法を使うのか。使う前に倒しちゃいそうだけど。虫の息になってきた、成体のメス?を見ながら思う。多分他の魔物がいないのは、この魔物のせいだろう。


 そういや、レインはどこだろう。


「レイン?居る?」


『どうしたの?カヨ。僕ここに居るよ』


 すぐ隣に居た。よかった。結界の中に居なくて。声が聞こえた辺りを触る。もふっとした感触がした。安心する。

 魔物に鑑定を掛ける。まだ生きている。しぶとい。

 レインを触りながら、全滅するのを待った。


 15分くらい死亡するのに時間が掛かった。結構厄介な魔物だったのかもしれない。全部窒息してしまったが。

 アイテムボックスにペタンゴンを全部しまい、探知を広範囲で掛ける。もっと奥に生き物がいるから、開拓村を作るだけなら、ペタンゴンの居た範囲位を安全にしたらいいだけだから、もう大丈夫。

 巣穴を土魔法で埋める。地表がひっこんでちょっとしたくぼ地になってしまったが、仕方ない。


 レインと一緒に村に飛んで帰る。レインはこの旅で大分、飛行が上手くなった。カーマインの屋敷に帰れば子供達の良い遊び相手になるだろう。初めの頃はピクピク脚を動かして可愛いかった。今でもたまに動くみたいだが。

 飛んでいるというか、体が走っていると勘違いするんだろう。


 村に帰って来て、集会所についた。サーニャが出迎えてくれる。小腹が空いたから、みんなで果物を食べよう。




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