あるアイドル令嬢の日常
気分転換で書いた短編です
今日も世話しなく駆けずり回る紅い髪に紫の瞳をした少女の名は冷水千鶴元アイドルで現在はある芸能事務所のマネージャーをしている。彼女が担当しているアイドルは紫の髪に深い朱い色をした瞳で白い肌をした少女で名前を泉葉月という。彼女の所属する芸能事務所は四瑞芸能事務所というのだが名前にしみずと付く人間が多いのはただの偶然で社長である四瑞雙葉は元々は有名なモデルであり四瑞財閥の御令嬢でもあった。社長の雙葉が芸能事務所を作ることになったのは父である四瑞光暁からの指示でもあったのだが雙葉自身も芸能界に興味があり一時期とはいえモデルをしていたこともあり芸能事務所の立ち上げは割とスムーズに事が進んだのだった。
「ところでちっさあなたのスケジュールはどうなってるの?」
「雙葉社長、その呼び方は止めてくださいと言いましたよね!」
「だって、あなたの千鶴って名前呼び難いんだもの!」
「それより私のスケジュールですか?しばらくは葉月の関連業務と新規営業とスカウトくらいですね!時間に空きはありませんよ雙葉社長!」
実はこの2人芸能事務所を立ち上げる前からの知り合いで雙葉が芸能事務所を立ち上げるにあたって冷水千鶴をマネージャーとして向かい入れている。元々冷水千鶴は蒼井千郷という名で芸能活動していたのだが大手と言われている芸能プロダクションに目を付けられてからはほぼ活動が出来なくなっていた頃に当時モデルをしていた雙葉に出会って色々相談する仲になったことで雙葉が冷水千鶴をマネージャーに誘うきかっけになったということなのだが未だに雙葉が昔の愛称で呼ぶ事に千鶴は不満を覚えていた。
泉葉月
紫の髪に深い朱い色をした瞳で白い肌をした少女で本名を如月弥生という。如月財閥の御令嬢であり、如月学園理事長の孫娘でもあるのだが本人たっての希望により名前を変えてアイドル活動をしている。
冷水千鶴
紅い髪に紫色の瞳の少女本来は紫と蒼のオッドアイなのだがカラコンを入れて眼の色変えている。元々は蒼井千郷という名前でアイドルデビューをしていたがある大手芸能プロダクションから圧力をかけられ引退まで追い込まれる直前に今の事務所の社長である四瑞雙葉と出会い芸能事務所を立ち上げるからウチに来ないかと誘われた際マネージャーとしてなら行きますと即答したという。
「おい、聞いたか大手の某芸能プロダクションが不祥事を起こしたらしいぞ!」
「その話って例の噂話か?」
ある朝の出来事だった大手の某芸能プロダクションが不祥事を起こしたとマスメディアにより報道されていたのだ。その大手の某芸能プロダクションというのが冷水千鶴がアイドル活動を止めることになった芸能プロダクションだと四瑞雙葉は気付いたのだが、千鶴はこの報道を見ているのか気になりスマホを取り出して千鶴に連絡を取ろうとしたところに葉月から着信があり雙葉もどうしたのか不安になり電話に出る。
「どうしたの?こんな早い時間に電話をしてくるなんて葉月らしくもない。」
「そうですか?社長、マネージャーの千鶴さんの御実家って蒼井グループでしたよね?今回不祥事を起こした芸能プロダクションが蒼井グループの傘下だとお聞きしたので確認のために直接お電話させていただいのですが、ご存じでしたでしょうか?」
「そこまでは私も聞いていないのだけど?なぜ貴女が蒼井グループのことを知っているのか聞いてもいいかしら?」
「はい、人伝に聞いた話なので確認していないのですが、どうも如月傘下の系列会社と金銭トラブルがあったらしく蒼井グループがイメージダウンを恐れ蒼井グループの傘下から外された時に今までして来たことが公になったと聞いています。」
「そう、さすがは如月と言ったところかしらね。私の方も聞いてはいたけど、そこまで詳しくは聞いて無いわ!」
雙葉は葉月が人伝に聞いたというが実際は如月の諜報員が蒼井グループに入り込んでいるのだろうと推測するも葉月は如月関係者から聞いたわけでは無いというのだ!
「千草姐さん珍しくこちらへお顔を出されてますがどうかしたんですか?」
「その姐さん呼びは止めろと言ったよな!ところでウチのバカ兄貴はどこにいる?」
千草と呼ばれた少女は蒼井グループの筆頭株主にして元アイドルの蒼井千郷こと蒼井千草である。アイドルデビューするときに本名の一字を変えて活動をしていたのだが、兄にバレて活動が出来なくなるほど追い詰められた経歴の持ち主である。千草がバカ兄貴と呼んでいるのは実の兄である蒼井将のことなのだが、千草は兄の将が裏で何か手を回していたのではと思い兄を問い詰めるために実家に戻って来ている。
「バカ兄貴とは酷いじゃないか千草、それで僕に何の用なんだい?」
「バカだからバカ兄貴で十分よ、そんなことよりよりにもよって如月財閥と金銭トラブルなんて起こしてくれてどうするつもりなの?蒼井グループを潰したいのかなバカ兄貴?」
兄将からは如月財閥とは揉める気はなかったがグループの傘下企業が如月系列の企業に対し不当な水増し請求をして懐に入れていたらしいと話を聞いて該当企業に出向いて事実確認をしたところ出るわ出るわでその場で処分を下したというのだが千草はなぜ私に一報入れなかったのかと兄に怒りをぶつけていた。その頃四瑞財閥では、なぜ蒼井グループの不祥事を事前に情報収集出来なかったのかと四瑞光暁は呆れかえっていた。
「夏葵お嬢様、今日はどういった御用向きでこちらにお戻りになられたのでしょうか?」
「そんなことより如月系列の詳細を教えなさい!どうせ私の知らない所で動いているのでしょう?」
「それなんですが、何と言いますかさすが如月というべきでしょうか。如月系列の会社に潜入、侵入、ハッキングを試みましたがすべて失敗しました。どうも如月では独自に開発したOSとセキュリティーを使ているらしく外部からの侵入や潜入を受け付けない仕様のようで何も分からず仕舞いでございます。」
珍しく実家に戻って来たところをメイドに見つかった夏葵は如月関連の情報報告をメイドに促しその報告を受けた夏葵は苦い顔をしながらなぜ如月財閥は、なぜそこまでしてセキュリティ対策を強化しているのかわからないと思いながら如月対策を考えるのだった。
その頃蒼井グループの傘下から外された企業はというと既にどこの企業からも信頼を失い倒産への道を進み始めていたはずなのだが海外の大手企業がこの会社を買収して役員を総入れ替えしたと報道されるのだが、倭国ではすでにどこにも相手にされなくなっており経営が出来なくなっていた。倭国においてグループ企業の傘下を外れるというのは、それだけで信頼を失い今まで積み上げて来た実績は泡と消えることを意味している。倭国において絶対に敵に回してはいけない企業が存在しており、四瑞財閥系列・如月財閥系列・蒼井グループ・????の4つである。
「ん?誰だろうこんな時間にメールなんて非常識なことして来るの?・・・・はぁ~?」
これから寝ようとしたところでプルと携帯端末が震えて画面を見た葉月(弥生)はため息を付きながら送られて来たメールの発信先が実家であることを知りメールを読むとそこにはこう書かれていた、(神域のお役目はちゃんと果たしているのだろうな)と如月弥生はアイドル泉葉月でもあり如月家の巫女でもあるため1年に何回か神域に赴きお役目を果たすことが義務付けられており、このお役目に支障が出るようならば実家に連れ戻すと祖父から言われいる。
「(あのクソ爺私の事なんだと思ってんのよ!ちゃんとお役目は果たしてるっていうのに・・・)」
なぜ、如月財閥の総帥である弥生の祖父が今このタイミングで弥生のお役目に対して口出しして来たかというと如月系列の企業と蒼井グループの元傘下企業との金銭トラブルを耳にしたからなのだが弥生にとっては完全なとばっちりである。翌日葉月として事務所に顔を出したところ社長が呼んでいるとマネージャーである冷水千鶴に言われて社長室を訪れたのだが社長である四瑞雙葉からしばらく休業しろと言われる。
「あっ!そうそう葉月にはしばらく休業してもらうことになりそうだから覚悟だけはしておいてね!」
「社長、それって今回のトラブルに関係してることですか?」
「四瑞芸能事務所としても辛いんだけど、さすがに千鶴と葉月を同じ現場に入れるのは躊躇われるのよ。冷水千鶴が元アイドル蒼井千郷で蒼井グループの御令嬢というのは分からなくても蒼井グループと何か関係あるんじゃないかと勘繰られかねないものなのよ!」
「そうですか、私が休業するとして休業中の事務所としての対応をお聞かせいただけるのですよね?」
葉月は社長である四瑞雙葉から葉月の実家の系列企業と千鶴の実家の元グループ企業の騒ぎを大きくしたくないため葉月には休業してもらうことになりそうだから覚悟しておいてと言われ葉月は休業中の事務所の対応を聞こうとした時に社長室の扉をノックする音が聞こえて来る。雙葉は今大事な話中なのだけどどういった用件かしらとノックの聞こえた方に問うと秘書はお話し中すいません四瑞夏葵様からお電話が入っておりますがいかがいたしましょうと言われて雙葉は電話を回してくれと秘書に言いため息を吐きながら電話に出る。電話に出る前に葉月には黙っているように指示を出していた。
「あら?夏葵が私のところに電話をかけてくるなんてどういった用件なのかしら?(どうせ、如月財閥の情報が欲しいだけだと思うけど油断出来ないわね)」
「あら?お姉さま妹がなんの用も無くお電話したらいけませんの?(さすがわお姉さま、もうこちらの意図を気付くとは)」
傍から見れば仲のいいの姉妹の通話だが、この時期、このタイミングで電話をかけてくれば蒼井グループと如月系列企業の騒動関係だと誰しもわかる。だからこそ秘書は敢えて社長に確認しに来たのだから。この事務所の秘書は普段社長が会談中には電話を通すことがなく独自の判断で断って良いとされているのだが、今回は社長の身内ということもあり何か緊急の用事の可能性もあったため会談中にも関わらず声をかけに来たのである。
特に連載候補とかではないので気楽に読んでいただければ幸いです。
気が向いたら続編の短編書くかも?