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8 エリーサ困る

 エリーサはとっても困っていた。

 ドグラス・カッセル追放に対する抗議が次々に来ているのだ。


「エリーサ様、昨日はグライド伯、ポリナ伯、カルミル子爵、マティアス技長からドグラス・カッセル追放に対する抗議文書が届きました」


 侍女ソニアが恒例になってしまった報告を始める。


「ううっ、ま、またなの~」


「今日もいっぱい来ると思いますよ。それと、スコーネ連合国が非難声明を出しています」


「ひ、非難声明!? 何それ、怖い感じだけど」


「国として正式にドグラスさんの追放を非難するという事です。つまり、滅茶苦茶怒ってます」


「ふぇっ。あの、スコーネ連合国ってなに?」


「東側で国境を接する隣国です」


「隣国ってヴェステル王国の事じゃないの?」


「それは西側ですね。他にもフィーナ王国はイセリナ共和国、ボルド王国、ユングマン王国と国境を接してますよ」


「あぅーどうして外国まで」


「人類領域を長きに渡り守護してきたレブロ辺境伯への今回の仕打ちは魔族を利するものであり、人類国家として到底容認できない、だそうです。凄い強い言葉ですね、外交でこんな言い回し見たことないです」


 楽しそうに親指を立てる侍女ソニア。部屋にはトリスタもいるが、彼女はマイペースにベットメイクをしている。


「ふぇ〜ん。大臣は病気だし、どうしようぅ」


「で、エリーサ様、残念ながらまだ続きます」


「これ以上何!?」


「ユングマン王国から関税引き下げの要求が来ています」


「あ、抗議じゃないんだ。良かった」


 ちょっとホッとした顔をするエリーサだが、ソニアから返ってきたのは苦笑い。


「えっと、良くないですよ。外交部門の役人の見立てでは拒絶は難しいそうですし」


「あの、関税ってなに?」


「輸入品にかける税金です。ユングマン王国からは主に穀物が輸入されてます。あ、穀物っていうのは小麦とかのことで、パンなどの材料ですよ」


「穀物は分かるよぉ。そうすると、どうなるの?」


「国庫に入る税収が減ります。お金がなくなる訳ですね。そうなると予算が減ります。うちの国の役人達、さっそく自分の部署の予算を守ろうと内輪で争い始めてます。そんな動きだけは早いですね」


「とにかく皆が困るんだね。どうして急にそんなことに」


「これもドグラスさんを追放した影響です。『統合魔術』の脅威が消えた上に、カッセル家と王家との関係が内戦手前まで悪化しています。カッセル家は『統合魔術』を抜きで考えてもフィーナ諸侯の中で最大の武力を有していますから、フィーナの軍事的な脅威は大幅に減じています。なのでユングマンが強気に出てきたんですよ。って、すみません難しい話し過ぎましたね」


 エリーサは半べそで頭の上に『?』マークを並べていた。


「あぅ……どうしよう。どうしよう……」


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― 新着の感想 ―
[気になる点] そんなに抗議が来るほど重要な立地なら周辺国は前王が亡くなった時点で併合に動かなかったのだろうか? 頼みの綱の大臣があの程度の小物なら多少の餌で懐柔出来るだろうし、このgdgdっぷりなら…
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