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55.女子高生(おっさん)と転校生


 『そいつ』は突然、やって来た。

 いや──突然という言い方は語弊がある、『そいつ』がやって来ることは前世で知っていた。ただ……前世では一切の接点がなかったし、興味もなかったので完全に忘れていたというのが正しいだろう。


 まさか、この世界線ではこんな事になるなんて……。いや、その言い方にも語弊がある。まさか、こんな奴だったなんてというのが正しいだろう。


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〈2-A組 教室〉


「えー、以前知らせたが……今日からこの学年に新たに一人加わる事になった【鳳凰(ほうおう)天馬(てんま)】君だ」

「よろしく、天馬だ。好きに呼んでくれていい」


 女子から悲鳴が上がる、勿論、いい意味での悲鳴だ。まごうことなきイケメン──クラスの中どころか芸能界に入ってもトップクラスになれるのではないかという程のイケメン。

 女性のようなサラサラの髪、高身長、整いすぎている顔立ち、長い脚、ツルツルの肌……果たして同じ生物なのかも疑わしい。

 更にこいつはめちゃくちゃな金持ち、めらぎすら比べ物にならないくらいの家柄。興味ないから覚えてないけど日本屈指の財閥の御曹司でその跡取りだとかなんだとか。


 当然、前世では別クラスだったし一切の接点も無かったし……向こうは俺の存在すら知らなかっただろう。俺の方も『イケメンで金持ちで女子からモテまくってて死ね』くらいの感想くらいしかなかった。だからどんな奴かは全く知らないけど……噂によると女子からの告白を全て断っていたらしい。どんな可愛い女子からも、だ。

 これも更に噂になるけど……誰もが知る芸能界の大女優やアイドルからも熱烈なアプローチを受けていたにも関わらず、一切見向きもしなかったとか。

 だから実は『男が好き』なんじゃないかとか言われてたりもしたらしい……が、その真実を知る者はいない。


「俺は女が嫌いだ、仲良くするつもりはない。ここに来たのは父に言われてこの学園にいる『ある女』を伴侶とするに値するか判断するためだった──」


 鳳凰は自己紹介もさながらに、突然そんな事を堂々と言った。


「──三年で現生徒会長の『皇めらぎ』だ」


 この発言には俺も固唾を飲む。

 ついに恋のライバルが出現してしまった、しかも超絶イケメン。これが人気漫画だったら大炎上してオタクの暴動が起きて不買騒動や単行本を切り刻む奴が出てくる愚挙だ。

 たとえ寝とられに発展しなくてもイケメンがいるというだけで許しがたいもの──俺の心はそんな風にざわついた。


 ……が、やっぱり忘れていた。

 俺は今、冴えない男主人公ではなく、めらぎをも凌駕する美少女であることを次に鳳凰が発した言葉で気づいた。


「……だが、もうそんな事はどうでもいい。全てを捨ててでも……俺の伴侶にすべき相応しい女性を自ら見つけたからだ。【波澄アシュナ】……俺と結婚してほしい」


 一気にざわつく室内。

 鳳凰に敵対の表情を見せる陰キャ男子達。

 呆気にとられる陽キャ男子達。

 黄色い歓声をあげる陽キャ女子達。

 ガッカリしたり戸惑いを見せる一部の女子達。


 ドン引きする俺。



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