おまけ.女子高生(おっさん)のバレンタイン〈黄金体験編〉
〈放課後〉
部活へ行こうとすると、チャイムと同時に校内放送が鳴る。
《一年C組波澄アシュナ様、生徒会長【皇めらぎ】様が生徒会室にてチョコを渡す為にお待ちです。婚姻届に判を押す覚悟でお越しください》
「どんな放送!? 職権乱用じゃない!?」
思わず突っ込みをいれる。とりあえず直談判するために急いで生徒会室へ向かった。
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〈生徒会室〉
「──そうですの……アニメの『生徒会役員の野郎共』では私用で様々な放送を流していましたので……アシュナが嫌ならもう止めますわ……」
以前のめらぎならば、こんなふざけた放送などしなかった筈なのにどういう理由か聞いてみたところ……アニメの影響だった。間違いなく、おっさんに責任の一端がある。予想以上にはまってしまっているようだ。
「それより……そこに積まれてる大量のチョコがもしかして……」
「いえ、これは【神美】から預かったものですわ。アシュナに渡してほしいと」
【神ノ宮神美】──以前お世話になった女性警官。遠慮なく俺を触りまくってきたりした……たぶん、女の子が好きな人だ。それにしても山のようにあるが……まさか一人で用意した分なのかこれは。
「私からはこちらを用意しましたわ。こちらへ来てくださいませ」
そう言って、めらぎは本棚の横に設置されたボタンみたいなのを押す。すると、本棚が地震みたいな音を立てて床に収納されていき──その奥に地下室への階段みたいなのが現れた。
「私財を使い、私とアシュナ専用の秘密地下シェルターを造りましたの」
「なにやってるの!? だめでしょそんな事したら!」
「ア……アニメの学園の生徒会長がやっていましたので良いものかと……お……怒らないでくださいませ……」
俺が怒るとめらぎは落ち込んだ様子だった。
色々とやってくれるのは嬉しいけど、アニメに影響受けすぎだし……やっていい事とダメな事はある。間違いなく俺の責任ではあるし、そこらへんはきちんと教えていかなければなるまい。
「はぁ……まぁシェルターならいざという時、なにかに使えるかもしれないけど……でも許可なく学校を魔改造しちゃダメだよ?」
とりあえず落ち込んでしまっためらぎを慰めて、長い階段を降りて地下室へ向かった。
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〈地下シェルター〉
暗証番号入力の重厚な扉を開くと、中はムード満天のラブホテルみたいだった。とりあえず18禁は良くないので後で全て撤去させる約束をめらぎと交わす。
「……それで……そこのバスタブに溶かしたチョコが用意してあるのですが……私の身体の好きなところへ塗って味わってくださいませ……とやりたかったのです。これもアニメでやっていたことなのですが……やはりいけないことでしょうか……?」
悲しげな表情でめらぎはそう言った。俺はため息をつきながら毅然とした態度で言い放った。
「うん、これはオッケーですっ!」
その後──天へと誘われるような黄金体験を存分に堪能した。おっさんにとったて人生初でありながら最高のバレンタインになった。
【チョコ総数262個+六法全書】
《女子高生のバレンタイン編 おわり》
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第3節は9月13日(月曜日)に投稿開始します。