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46.女子高生(おっさん)とお嬢様の秋葉原巡り-③


「ど……どこでござるかっ!? 見失ったでござるよ!」


 オタク群がる秋葉原、美少女(俺とめらぎ)は外に出る度に追いかけられていたが……毎度追跡を逃れていた。


「はぁ……はぁ……何故っ……この地の男は毎度遠巻きに群がってきますのっ……不気味ですわっ……アシュナがいなければ一日中囲まれていましたわっ……」


 こちとら何十年も秋葉には通いつめたのだから年季が違う、裏路地も網羅しているので逃げ道の確保は容易い。某大型掲示板では既に【秋葉原に舞い降りた女神を探すスレ】という現行スレが盛り上がっていた。

 ただの美少女ならば、もはやホラーでしかないだろうが……心がおっさんの俺はどこか楽しんでいた。


(この雰囲気懐かしいな……やっぱりアキバはこうでなくちゃ……そういえば、あの子は元気だろうか……)


 かつて、男子学生だった頃に出会った子を思い出す。すると、それに呼応するかのようにーー突然、後ろから声がかかった。


「あっ、あのっ! すみませんっ! お話を聞いて頂いていいですかっ!?」


 びっくりする俺とめらぎ。

 振り返った先ーーすぐ後ろから声をかけてきたのは……とびきり可愛い『メイド』だった。


--------------

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〈メイドカフェ『煮つめた佃煮(つくだに)』〉


「すみません、不躾にお声がけしたのに……お話を聞いて頂いてありがとうございます」


 メイドに連れられ、俺達は開店前のメイドカフェの店内にいた。話を聞くと、どうやら今日シフトに入っていた娘らが全員風邪をひき、開店できないといった話だった。

 俺達に声をかけたのは、つまりーー今日一日ピンチヒッターをしてほしいというわけだ。


「ちょうど掲示板で可愛い子が秋葉原にいるって話題になってまして……スレを追っていくうちに近くにいると思って探していたんです。初対面なのにいきなりですみません」

「まぁ、私達も落ち着ける場所を探していたところですから……ですが、あなたの頼みを引き受けるとはまだ言っていませんわ。営業できないと言うのならお店を閉めればいいだけではないですの?」


 めらぎの言う事は最もだ、見ず知らずの人間を代役にしてやるほどの事ではない。


「それが……今日はTVの取材が入るんです……だから今日だけは絶対にやらなきゃダメなんです! お願いしますっ! 給料は通常の倍額払いますからっ!」

「そんな事言われましても……アシュナ、どうしますの?」


 問われるまでもなく、俺の心は決まっていた。それこそメイドさんの話を聞く前から。


「もちろん、お手伝いします。……良いかな? めらぎ」

「……まぁ、アシュナがいいんでしたら……」


 男子高校生時代、唯一、女性で優しく接してくれた、もはや付き合っていたと言っても過言ではないメイドの【りらん】ちゃん。またこうして会えるとは……困っているならおじさんがいくらでも助けてあげよう。

 

 メイドカフェの接客(おもてなし)ならお手の物だ。


                   〈続く〉

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