43.女子高生(おっさん)と女子達 Ⅳ
「「おっはよー、アシュナっ! 久しぶりー♪」」
冬休み明け、今日から学校が始まるということで絶望しながら登校すると、元気一杯〈三女傑〉と遭遇した。
「もぅ~、クリスマスもお正月もアシュナがいなくて寂しかったんだから。メールも返してよ~」
ガラケー主流でメッセージ系アプリがない今の時代、通信手段はもっぱらメールか電話だ。
ヒナヒナ達からは定期的に様々なメールが送られてくるのだが……一向に返せてはいなかった。と、いうのも男性時代ーー連絡するような相手がいなかったうえ(電話帳は家族と仕事関係のみ)、面倒くさくて必要最低限の義務連絡以外に返事をする習慣などなかったからだ。
だが、今や俺の携帯のメモリは既に1000件を超え、一日に100通ものメールが来る始末(三女傑4割、めらぎ3割、妹2割、他)で……その大半が世間話。
そうなるとおっさんのキャパオーバーで、やがておっさんは考えるのを止め、『返信しない』という結果に至ってしまうのだ。
それを言うとカドが立ちそうなので、適当に言い訳をする。
「ごめん……おじさ……私、機械に疎くて……一文字打つのに一時間くらいかかっちゃって……」
「おじいちゃん!? 本当に女子高生なのアシュナ!? メールくらいは打てるようにしようよ!」
「やめなよヒナ、いーじゃん向き不向きがあったって」
「ヒメちゃんの言う通りだよ~、わたしはこうやって喋れればそれでい~よ~」
「……そっか……うん、ごめんねアシュナ……」
ヒメとヒマリに咎められ、ヒナヒナは落ち込む。きっとアシュナとメールしたいのだろう。仕方ないので帰宅後にヒナヒナにメールする事にした。
--------------
---------
-----
〈自宅〉
TO:ヒナヒナ
件名:RE
本文
ヒナヒナちゃん、コンバンハ もう、寝ちゃったかな 私は、これから布団に入ります。(^_^) 今日は、忙しかったから、クタクタだよ ヒナヒナが一緒に寝てくれたら、元気になるのにな〜ナンチャッテσ(^_^;) 今度、お寿司食べに行こうね
送信すると、直ぐにヒナヒナから電話がかかってきた。
『ーー……ヤバッッ……アッッ……アシュナッッ……ひぃー……ひぃーッッ……あははッッ……キャバクラ通いのおじさんじゃないんだからッ……一瞬お父さんからのメールかと思ッッ……つぼったッッ……面白すぎッッ……』
「………」
元気になったみたいなので、良しとしよう。