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41.女子高生(おっさん)と陽キャ男子たち Ⅱ-3


〈ピピーッ〉


 ホイッスルが鳴り、試合が開始される。

 ピッチ上ではゴールキーパーを除いた男3女1で編成された両チームがところ狭しと動き回る。

 とりあえず何をしたらいいのかわからないおっさんは適当に動くフリをしながら、心の中で(ボールが来ませんように)と……体育の授業で無理矢理サッカーをやらされた前世の時と同じ心境になっていた。


「姐さんっ、頼んますっ!」

「えっ……ぇえっ!?」


 いるだけでいいって言ってたのに早速ボールが回される。もう、陽キャのその場のノリだけで言ったことは信用しないと誓いながら、あたふたしながらもなんとか足元にボールをキープする。ゴールに近い位置だ。

 すると、俺とマッチアップ? している相手はなにもせずに俺の様子を観察していた。


「……え? あの……」

「(いいよ、シュート打って。ほら、ここ)」


 イケメンがボソッと、俺だけに聞こえるくらいの声量で言った。目線は脇の空いているスペースを指している。とりあえず、言われた通りに打ってみる。


「えいっ!」


 俺が蹴ったボールは、止められない速さじゃないのにあっさりゴールネットを揺らした。ゴールキーパーは一切反応しなかった。


〈ピピーッ ゴールッ!〉


「「「よっしゃー先制!! さすが姐さんっ!」」」

「えっ、う……うん……」

「すごいね、いいシュートだったよ。ところで試合終わったら連絡先交換しようよ」


 イケメンは俺に色目を使って手加減していたようだ、するとゴールキーパーが走ってこちらにやってきた。


「おい! 抜け駆けすんな! 俺ともしてよアシュナちゃん」


 手抜きへの抗議かと思いきや、ゴールキーパーも連絡先聞いてきた。臆することもなく聞いてくるのはさすが陽キャだな、と思った。相手チームのやつらはここぞとばかりに集まり輪を作る。ていうか、真面目に試合しろよ。


「うぐぐ……ちょっと! なにやってんの真面目にやってよ!!」


 一人だけ、俺の存在を面白く思っていないキラちゃんが抗議する。ずっと不機嫌な様子だ、きっとお姫様扱いの対象を取って代わられたことによるものだろう。

 俺としては、イケメン達なんかよりもキラちゃんと仲良くなりたいものなのだが。


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その後ーー俺に忖度しまくった試合は終盤を迎える。現在のスコアは【54-0】と、なんかもうバスケの試合みたくなっていた。


「はぁ……はぁ……はぁ……」


 誰一人として本気でやってはおらず涼しい顔をしている中でキラちゃんだけは汗だくになり息を切らせていた 。イケメンを翻弄しようと手を尽くしていたが、効果は出ずに逆に翻弄されていた。


「なる……ほどね……【天性の男たらし】ってわけ……無垢な美少女を演じることで……男を手玉に取るキャラってわけだ……」


 キラちゃんは俺を敵視するあまりになんか勘違いをしている。


「いいわ……試合にはもう勝てないけど……ここからはどっちが多く男を魅了できるかーー勝負よ!」


 謎の勝負が始まる、どいつもこいつもフットサルしろよ。

                   〈続く〉


 

 

 

 

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