番外編.女子高生(おっさん)の妹の勘違い〈妹視点〉
「ねぇ……もし、お父さんが『にゃん』って語尾につけてたら……どう思う?」
「え、絶縁するけど」
皆さん、こんにちわ。
私は【波澄マナ】、年頃な中学二年生です……って誰に説明してるんだろ。
私には高校一年生で、美人で可愛い自慢のお姉ちゃんがいます。名前は【波澄アシュナ】。
まるでアニメの世界から来たような、女神様みたいなお姉ちゃんですが……最近は何か様子が変なんです。
今までも男の子っぽくて、尚且つオタクっぽかったお姉ちゃんが夏くらいから更にオジサンみたいになってきています。
「はは……そうだよなー……ぶぇぇっくしゅんっ! あ"ー」
「ちょっ……おじさんみたいだよお姉ちゃん」
それどころか、最近ではオタクみたいな人達を部屋に呼んで年越ししたり、お風呂屋さんで男湯に入りたいって言ったり、下着に手を入れて物憂げに……お……『お……ん……んが欲しい』なんて言ったりしてます。
「……ねぇ、一つ聞いていい? お姉ちゃん」
「ん? どうしたの?」
リビングで二人きりで話していても、なんか変な質問してきたり、ケータイを四六時中いじっていたり、前までとは明らかに違います。
そして、私は疑念を抱きます。
もしかしたら……お姉ちゃんは、私の知らないところでオジサンといけない事をしているのではないか、と。
オジサンっぽくなったのはその影響で、身体を求め合っているから……ふとした瞬間にオジサンが恋しくなってしまう、と考えれば辻褄が合うと。
問い質そうとしたその時ーーお姉ちゃんのケータイが鳴りました。『ちょっとごめん』と言って、お姉ちゃんはリビングを離れます。
いけない、と思いつつ……私も声が聞こえる場所までゆっくりと忍び寄ります。
『…………はい……ヤコウさん……いえ……とんでもないです……はい……じゃあ……来週でお願いしま……』
お姉ちゃんの声が途切れ途切れに届きます、相手は【ヤコウさん】という知らない名前の方のようです。
『……お金……いただいて……ありがとう……います……いえそんな……あはは……ヤコウさんは素敵なおじさまって感じですよ……また……してください』
そこまで聞いて、私はいてもたってもいられなくなって飛び出します。そしてお姉ちゃんを止めるために抱きつきました。
衝撃でケータイは飛んでいき、お姉ちゃんと私は廊下に倒れて重なり合いました。
私は意を決して、服を脱ぎながらお姉ちゃんに言います。
「お姉ちゃんっ!! えっちな事がしたいなら私が相手になるからっ!! だからもうやめてぇっ!!」
「なにがっ!!? なにやってんの!?」
お姉ちゃんがこれ以上汚れてしまうくらいなら、これからは私がその相手になると心に決めました。