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38.女子高生(おっさん)と陰キャ同士 Ⅲ


「あけましておめでとー」


 年越しの瞬間ーー気の知れた同士が我が家に集まった。小説サークルの陰の者達……ゲームしたり、漫画読んだりする何のイベントも起きないが故に、一年で最もくつろげる時間だ。前世では恒例だった。


「アシュナ殿……お父上に妹君にとても睨まれたでござるが……果たして大丈夫なのであろうか……?」

「大丈夫大丈夫、気にしないで」


 前世との違いはやはり、俺が女の子であるが故に起きる摩擦だろうか。確かに、女の子が四人の男を部屋に招いて年越しするなど、オタサーの姫でもあり得ないだろう。父や妹の心配も最もだ。

 ヒナヒナ達やお嬢様や他大勢からも誘われてはいたんだけど……やはり一番気を安らげられるのはこいつらとの時間というわけでの年越しイベントだった。


「「「………」」」


 そんな俺とは対象的に、皆は集まってからそわそわし続けている。


「みんな、どーしたの?」

「いや……その……アシュナちゃんの格好が……」


 昔のギャルゲ主人公みたいな目を髪で隠しているイオリが赤くなりながら言う。家なのでTシャツにショートパンツという楽な格好だったけど……太もも丸出しは童貞達に刺激が強かったみたいだ。ベッドの上であぐらを掻くと下着と一緒に見えてはいけない部分まで見えてしまいそうだ。

 恥も外聞もなくなったおっさん的には、太ももやおっぱいくらい見せてしまっても構わないのだが……ガチ欲情されても困るので止めておいた。


「素晴らしい美脚だね! 触ってもいいかな!?」


 筋トレバカのユウタがナチュラルセクハラ発言を繰り出す。


「おい!! アシュナちゃんはみんなの共有財産且つ女神として『触れない 崇める 見守る』の不可侵条約を交わしただろ!」


 エロ猿のタケルが訳の分からない事を言いながら俺の肩を抱く。こいつはいざとなれば男でもイケる猿だ、男だった時もやたら触られた。と、いうかいつの間にそんなバカな条約を締結したんだ。


「何してるでござるかタケル殿!!」


 ケンも加わり、狭い部屋ではギャグ漫画のようなバトルが繰り広げられる。やはり、(アシュラ)時代と同じようにはいかないようだ。


 ーー仕方ない、封印していたのだが使う他ないようだ。【女の子ムーブ】を。場を和ませる最終手段。

 封印していた理由はただ一つ、自分が気持ち悪いからだが……こうなってはやむを得ない。


・『おっさんはスキル【あざと可愛い】を使った!』


「みっ……みんなっ、喧嘩はやめてっ…………にゃんっ」

「「「ーーっ!!? かっ……可愛い……はい! やめますっ!」」」


・『効果はバツグンだ!!』


「うっ……おええ」

「だっ……大丈夫でござるかアシュナ殿っ!!?」


・『自分にもダメージを喰らった!!』

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