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36.女子高生(おっさん)の合コンデビュー -③


 便座に座り、ミクミクへメールで相談しようとするとミクミクから電話がかかってきた。


『あ、アシュナっち? ヤバいよエナが帰るとか言ってるし……このままじゃ作戦台無しだよ~』

「ちょっ……電話して大丈夫なの!? 男性陣に聞かれちゃうよ!?」

『あー、大丈夫大丈夫。男どももみんなトイレ行ったから、これからどうする?』


 どうするも何も、これはもうおっさんの手には負えない。あとはエナが勇気を振り絞って相手に好きを伝えない限り。恋愛経験0のおっさんにできるアドバイスなどこれくらいしかない。


 すると、トイレ入口の扉が開く音がした。誰かが入ってきたようだ……聞き覚えのある男の声だ。


(………ん? 男?! なんでこっちのトイレに………)


「あっ……!?」

『ど……どうしたの!? アシュナっち』

「間違えて男子トイレ入っちゃった……いつものクセで……」

『なにやってんの!? いつもそんな事してんの!?』


 ミクミクに『変態女子』と誤解されそうだが、今はそれどころじゃない。通話は切らずに声だけを押し殺す、もし警察を呼ばれたら証人と証拠の通話が必要だから。


 入ってきたのはこともあろうか、渦中の合コン相手の高校生達だった。どうやら合コン都市伝説の(おっさんにとって)トイレでお持ち帰りしたい女子を選ぶ相談のようだ。


「なぁ……お前ら誰狙い?」

「アシュナちゃんに決まってんだろ、性格はなんか変だけど……そこもまた魅力的でマジになりそう俺」

「だよなー、なによりあの顔と身体……ヤれたらすげぇ自慢できるしな」

「ギャルもいいけど……アシュナちゃんの前では(かす)むよな」

「もう一人は?」

「ないない、貧相だしヤってもつまらなそーじゃん」

「確かに、つーかあいつ、お前に惚れてんじゃね? 目線ずっとお前だったけど」

「アシュナちゃんがダメだった時の保険にしとくかなー、セフレとして」

「「ははは!」」


 気付いた時には、俺は個室を飛び出していた。小便をしていた三人の野郎どものアレを覗くようにーー間に割って入り、壁を叩きつけ睨んだ。


「「!?!?!? アシュナちゃんっ!?!? なんで男子トイレにっ!?!?」」

「いいから黙って聞いとけ……性欲猿ども……お前らのその小さいチ⚫コを物差しにして女の子を計ってんじゃねぇぞ……恋する女の子の尊さと可愛さをその短小サイズで計り知れるようになってから出直してこい……私はお前らみたいな猿には興味ないけどな」

 

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その後、猿達を置いて、俺達は帰路に着いた。通話状態にしていたせいで、猿達の会話は二人にも聞こえてしまっていたようで……無言のままに夜道を歩く。

 なにもかもを、俺のせいで台無しにしてしまったのを引き擦っているとーーそれを見透かしたようにエナは笑いながら口を開いた。


「……あはは、アシュナちゃんってやることなすこと破天荒過ぎだよ。……ありがと、アシュナちゃんのおかげで目が覚めた。あんな男を一瞬でも好きになってた馬鹿な自分から」


 単なる慰めかと思いきや……続くエナの言葉でそうではないと知る。


「……あーあ、誰かいい人いないかなー。もう男の子はこりごりだから女の子が良いんだけとなー、アシュナちゃんみたいな女の子だったら最高なんだけどなー……」


 エナは頬を染めてちらちらとこちらを見る。ミクが俺に耳打ちした。


「ごめんねアシュナっち……エナはちょっと回りくどくて面倒くさい子だけど……よろしくね」


 なにが宜しくなのかわからないが、俺の周りに確実に女の子同士に目覚めた女子が増え続けていることだけはよくわかった。

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