表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/270

35.女子高生(おっさん)の合コンデビュー -②


〈カラオケ『DeCo BoCo』〉


作戦が決行される合コン会場へと俺達は足を踏み入れた。いきなりの誤算……タダで思い切り飲み食いしてやろうという思惑は、メンバーが高校生しかいないため経済的に場所がファミレスやカラオケしかないという当たり前の事を失念していたことによりご破算となった。


「飲み物も食べ物も来たねー、じゃあー、まずは自己紹介しよっかー」


 幹事役でもあるミクミクが場を取り仕切る。

 テーブルを挟み、向かい合わせに三人がけのソファーが二つ。自然と男女に分けられる。男3人、女3人だ。

 男性陣は当たり障りのない爽やかな三人といった感じだ。チャラチャラしてるわけでもなく、陰キャといった感じでもない。真面目な印象ではある、と、上から目線で第一印象を評価する。


 ただ、あからさまに三人共……(アシュナ)に釘付けになってる気がする。事前に確認したエナの想い人も、自然と俺の目の前に着席してしまった。


 これはまずい、と思いながら簡潔な自己紹介を終え、俺の手は自然とおしぼりに伸びた。どうやって作戦を遂行するかと考えながら、おしぼりで顔とわきの下を拭く。


「ふぅ~……」

「「「「!!?」」」」


 すると、全員が顔を赤くしながら唖然とこちらを見ていた。


「(さ……さすがアシュナっち、おっさんみたいな動作でドン引きさせる作戦ってわけだね!)」


 ミクミクが小声で耳打ちしてきたが残念ながら違う、これは素である。

 だが、これで好感度はダウンしただろう、と思っていたら……男子高校生達はこともあろうか『そのおしぼり貰っていいかな』などと抜かしやがった。何に使うのか容易に想像できたので勿論、却下する。


「さ、さぁ~気を取り直してっ、質問コーナーとかいっちゃう? 一人一人マイク回すから異性に色々聞いてみよ~、あ、エロいのは禁止すっからね!」


 ミクミクが流れを変え、質問タイムが始まった。これはミクミクの作戦ーー女子力の違いを男性陣に植え付ける。エナのアピールポイントだ。

 俺とミクミクは男性陣が嫌いそうな答えを考えて言う。質問内容はわからないため、アドリブ力が試される。


 Q『趣味は何ですか?』

 エナ→→『えっと……お菓子作りです』

 ミク→→『あー、家でゴロゴロすることかなー』

 俺→→→『釣り』

「「マジで!? 俺らも釣り好きなんだよねー今度一緒に行こうよ!」」 


 Q『好きなタイプは?』

 エナ→→『えっと……優しい人です』

 ミク→→『あー、カネ持ちのイケメンかなー』

 俺→→→『清楚で俺だけを愛してくれる処女の女の子』

「「わかるわー、俺らもアシュナちゃんみたいな清楚な子がタイプ」」


 Q『デートで行ってみたい場所は?』

 エナ→→『えっと……どこでも大丈夫です』

 ミク→→『あー、ブランド店かなー』

 俺→→→『パチンコ』

「「卒業したら行こう!!」」


 全てを(おっさん)で答えてるのに持て囃されっぷりが尋常じゃない。男どもが全力でおっさんに合わせてくる。おかしいだろ、なにこのおっさん待遇の合コン。


 このままではいけない、と思い、俺は部屋からトイレへと一時、撤退した。

                  〈続く〉

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ