1.プロローグ
ある日、俺の人生は巻き戻った。
何を言っているかわからないかもしれないが、俺だってよくわからん。
とにかく、波乱も起承もなく終わりに差し掛かっていた俺のつまらない人生は、ある日【高校生活】まで一気に巻き戻ったんだ。
しかもーー美少女になるっていう最大のオマケつき。
名前も【波澄あしゅら】から【波澄あしゅな】となり、周りの皆はそれを気にしていない様子だ。
家族も、高校時代につるんでた陰の者たちも、学校のカースト上位の陽キャたちも。
どうやら……俺が元々男だった事を知っているのは俺だけらしい。
家族や友人に話を聞いてみると……俺は美少女として生を受け、高校時代までは男だった俺と同じような道を辿って来たらしい。
無口でオタク、ゲームや漫画が大好きである程度成績優秀。
だけど人と目を合わせて喋るのが苦手で、好きなものの話題じゃないと興味無し。この頃は絶賛中二病を患っていた事もあって周囲全てを敵視していた。
そして、自分だけの物語を創るのが大好きで小説をいつも書いていた。
【男】だった俺は高校時代ーーそれでイジメられていた、DQN集団に。
そして、勉強も就職も何もかも上手くいかず……フリーターやニートを繰り返し、気がつけばつまらないサラリーマンになって30後半になってしまった。
当然独身、今でも小説家への夢を諦めきれずに毎日書いているけど箸にも棒にもかからなかった。
それが今やーー【クールで物憂げなオタク系超絶美少女】として持て囃されて人生わからないもんだ、そしてチョロいもんだ。
とにかくーーこうして手にした第二の人生、今度こそ俺……いや、私はvery easyな人生を送ってやる。