230.???なセカイ③
「ちょっと待って、マジで碇シ●ジ君の気分だから一から説明義務を求めます」
「普段は恐ろしいほどに察しがいいのに。だから、新しい転生先として、アシュラ君は【娚人】として生を受けた世界に行ってもらうってこと。出来立てほやほやの世界だから0歳からのスタートになるけど」
「いや、何でそんな事になったのかを説明してほしいんだけど……」
「ニライカナイで、貴方と波澄阿修凪が交配した結果──子供が出来たの」
その言葉は、今まで生きてきた中で一番の衝撃を俺にもたらした。
コンプライアンス違反、不道徳、非人道、条例違反、犯罪者……様々な言葉が頭をぐるぐると廻ったが、それらよりもまず──真っ先にすべき対応は誠意と謝罪だった。
「申し訳ありませんでした、だけど、軽い気持ちでしたことではありません。責任は全て俺が負います、子供も必ずきちんと育てます」
「落ち着いて。それは私にじゃなくて波澄阿修凪とご両親に言う台詞だから。それに色々とややこしい事になってるのよ」
「………と、言いますと?」
「神々の領域でのヒトの交配、受精。交わった二人が同一個体であること。母体に同一精神が宿っていること。世界線の違うヒトの交わり……それらを引き起こした原因が元々ヒトでありながら神になったバカ旦那と私──と列挙するのも嫌になるほどにやらかしてしまった事が多くてね。神々は頭を抱えているわ」
「……………こんなこと言える身分じゃないけど、それ……ほとんど貴方達のせいですよね?」
「ええ、冴えない中年のくせに美少女女子高生と性交したあげくに妊娠させた貴方にもその一端はあるけどね」
「マジでごめんなさい」
「だから審議の結果──貴方にこの生命の責任を負ってもらう形となりました」
「どういうこと……?」
「貴方が、この宿った生命になるの。生命とは言ってもまだ魂を選別して容れる前の完全な殻の状態……貴方の精神をそこに容れます。つまり、貴方がその子供になるのです」
「受精卵からの転生!? しかも自分の種の!? そんなのなろう小説にもねぇよ!?」
「大丈夫、神の領域には時間の概念は存在しないので成長を待つ必要はありません。すぐにでも誕生できます」
いや、そういう問題じゃないんだけど。
というかそうなったら俺は阿修凪ちゃんの子供として転生することになるんだが…………まぁ有りっちゃ有り、いや、有りよりの無しだ。
阿修凪ちゃんをシングルマザーにするわけにはいかないし、俺は赤ん坊よりも恋人でありたい。
「話を聞いてました? 波澄阿修凪の子供になるわけではありません──そんな事をしたらこの世界線は数日ともちません」
「なんで?!」
「波澄阿修凪の影響力を考えてください。妊娠が公になった時点で第四次世界大戦が勃発します」
「それほど!?」
「だから、波澄阿修凪の胎内から生命の源は取り出し私の胎内にて育てます。そしてここニライカナイにて【娚人】の能力を引き継いだ【神の子】として再誕するのです」
なんかとんでもない壮大な話になってきた。
まさか自分が胎児として、それも人妻の神様のお腹の中で育つとか……新しい性癖が育ちそうだ。
「けど……それじゃあ転生先は『この世界』ではなくなるんでしょ? 色々してもらってこんな事言うのも図々しいけど……俺は今のこの世界に残りたいんですが……」
「心配ありません。貴方は神に近しい存在になります──まぁ、百聞は一見に如かず。もうこの状況も長々と鬱陶しいですし、さっさと文化祭終わらせて最終回迎えてください」
「なんのメタ発言!? さっきからちょいちょい距離のある敬語になってますけど……もしかして飽きたからさっさと済まそうとしてません!? 不安になるからダメ神ムーブやめてくれない!!?」
「うるさい、さっさとお入りなさい」
ちょっとおっさんを興奮させることを言いながらダメ神は強制的に──物理的に俺の顔を掴んで自分の腹に押し当てた。
こんな転生のさせ方があるだろうか──なろう界隈でも見た事がな
「そのモノローグが長いからこんなグダグタになるのです、いいからさっさとお逝きなさい」
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