225.女子高生(おっさん)の最終イベント『文化祭』プログラム⑪~異変2~
「──あの、アシュナちゃん……音……できれば聞かないでほしいな……」
「……え? なんで?」
「は……恥ずかしいもん………」
トイレに入ると、壁越しにヒマリがそんな事を言ってきた。
これまでも連れションくらい何度もしてたのに……もしかして今まで五感を研ぎ澄まして聴いていたのがバレたのだろうか?
それとも未だかつてない太いものでも捻り出すつもりなのだろうか?
もしかして急に性的興奮を覚えたのでトイレで発散させるつもりだろうか?
正解がどれでもとても興奮しますね、手伝おうか?──と口に出すのを押さえ、『わかった』とだけ返事をして聴覚を倍にしながら自分も用を足す。
先程から周囲の様子が明らかになにかおかしい。
みんなが何か俺によそよそしいし……微妙な距離感が産まれている気がする。
知らない間になにかしてしまったのだろうか──とやきもきしていると、個室のドアが開いた。
閉め忘れたおっさんが悪いのだが……当たり前のように俺のトイレ風景を堂々と視界に入れた人物は、興奮した様子で後ろ手にて錠をする。
「………おじさん……」
おじさん呼びに、俺の混乱度合いは更に増幅する。
この世界にて俺をおじさんと呼ぶのは阿修凪ちゃんのみだ──当然だ、俺の本当の正体を知ってるのは彼女とアオアクアの四人、そして母さんのみなのだから。
脱いだ下着を手に持ちながら、もじもじして個室に侵入してきたヒマリが俺をおじさんと呼ぶ筈がないのだから。
「……ごめんなさい、いけない子でごめんなさい……でもぉ……我慢できなくて……」
スカートから覗く、適度な肉感溢れる太ももを光沢させながら──ヒマリはそう呟いた。
「な、なにがでしょうか? おしっこが我慢できなかったのでしょうか?」
サ●ヤ人なみの突然の急襲に、一切備えていなかった俺は動揺して敬語になってしまっていた──突然メスの顔になった女子高生が目の前に現れる事態を考慮すれば致し方ないだろう。
「ち……違うよぉ~………わ……わたしがおじさんを好きなのは……知ってるよね……?……だから……おじさんにおしっこの音聞かれそうな状況になってわたし………………」
そう言ってヒマリさんは俺の太ももの上に跨がり、首に手を回しながらキスをしてきた。
これまでもヒマリさんとはそーゆー情事にふけった事はあったが……あくまで彼女は受け身で、主導権は俺にあった。
しかし、今のヒマリさんは何かが違う。
自分から舌を絡め、俺の手を握っては自分のスカートの中へ誘導し、彼女の手もまたアシュナの身体を刺激し始めたのだ。
いや、マジで一体なにが起こってるんです!?




