表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

245/270

222.女子高生(おっさん)の最終イベント『文化祭』プログラム⑩~ミスコン②~


『──そして師匠が言ってくれたんです。「事務所の言いなりになんてならなくていい、キミのありのままを出すことがファンの人達のためになる」って。そうしたら世界が拓けて……それからアシュナさんはあたしの心の師なんです!!』


 登場した【綺羅星】ちゃんはおっさんとの出会いをありのままに語る──いや、だいぶ盛ってるけどね話。俺そんな事言った覚えないし。


 満を持してスタートしたミスコン会場となった校庭では観客の野郎どもが食い入るような目つきで彼女の水着姿だけに全集中していた。

 つかみとしては上々すぎる結果で……人波は更に増していく。今にも校庭は埋まってしまいそうだ。


『師匠、あの時あなたと出会ってなかったら……たぶんAV堕ちしてたかもしれません。本当に師匠と出会えてよかった──これからもずっと……あたしを導いてください!』


 AV堕ちした世界線──それはそれで大層な需要爆発だし、AVに悪いところなんて一つもないんだよ? なんてステージ上で諭すわけにもいかないので、俺は師匠面して彼女に微笑んだ。


 壇上に設けられた審査員席にておっさんも彼女との出会いに思いを馳せる。

 いつの間にか自己PRは俺との想い出バナシになっていたが、男達は話なんか聞いてないだろうし、女性達もなんか感動している様子なので良いのだろう。


『【吉良】さんありがとうございました!! さぁ、続きまして隣市の名門校……お嬢様学校である君不去高等学院から──その大人しそうな風貌からは想像もつかないほどの武道の達人【小泉いずみ】ちゃんだ!!』


 次に現れたのも見知った下着……いや、顔だった。

 もしかして全員おっさんに(ゆかり)のある人物で、これは今までの思い出を振り返る時間なのだろうか。


『──私と御姉様の出会いは、通学の電車内でした。満員電車の中で御姉様と中年男性が密着していたのを目撃した私は──』


 そうそう、そんな事もあったなぁ。

 彼女はその正義感から痴漢されてる(勘違いだったけど)俺を救おうとしてくれたんだ。

 そこで出版社勤務のヤコウさんとも出会った……改めて思い返してみると、きっかけがほんの些細な出来事でもそれがとても大事な出会いになっていくもんなんだなぁ。


『──女性の身ありながら、男性の事情や立場をも(おもんばか)るその精神……優しさ。その衝撃は今でもこの身を焦がします。私は御姉様から真実の精神を学びました──しかし、いまなお道半ばの身です。これからも御姉様と共に歩み、ご指導頂きたく思う所存です』


 大げさだし固すぎだよ。

 ただ中身が中年だから痴漢冤罪の恐怖も理解るってだけだったのに……しかし確かに彼女は未だに男に対して歩み寄る精神が欠けすぎてるし……これはこれからもきっちりと指導(えっち)していかなくてはな……うひひ。


 ………これから?

 危ない危ない、そう言えば俺にこれからはないんだった。

 もう、元の世界に戻れるかも危ういのに……仮に戻れたとしても、もう彼女達と出会えるかもわからない。


 そうだ、きっかけは些細でも──いや、だからこそその小さな出会いを拾うのは本当に難しい。

 無数に広がりすぎて探しても探しても見つからない……だからこそ、出逢えた出会いは大切に(はぐく)んでいかなきゃいけない。

 わかりきった面して、諦めた素振りをして、達観したように格好つけて……かなぐり捨てるべきじゃない。



 もう二度と出逢えない──その思いは、誰にも知られる事なく……俺の心に小さな(ほころ)びを生じさせる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ