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209.女子高生(おっさん)の最終イベント『文化祭』プログラム③~生徒会挨拶~

いつも応援して頂きありがとうございます。

本作品が【第3回HJ小説大賞前期一次選考】通過することができました、感謝です(*´ω`*)


《~~~~♪》


 午前10時──表側の開会式も終わり、体育館では各学年による合唱のお披露目が行われていた。阿修凪ちゃんは裏の開会式挨拶だったり、神ノ宮さんのセクハラ攻撃から逃げたりで既に精根尽き果てていた。


──『まだ前戯どころか雰囲気作ってる段階なんだから果ててる場合じゃない、本番はこれからだよ』

「んっ……え、えっちな喩え方をみ………耳元で囁くようにしないでっ……でも、そうですよねっ……幸い合唱が終わったから午前中の催しは先生方と生徒会の出し物だけですから……そこで休んでなんとか頑張りますっ……!」


 そういえばプログラム表にはそんな事が書かれていたような……先生方や生徒会の出し物かぁ、おっさんは長らく【めらぎ】や【桜花先生】と接触してないからわからないけど何をやるんだろうか?

 二人の姿を見られるのも残り僅かだし、しっかりと見ておこう。


『──続きまして、生徒会によるえんげ………え? その前に生徒会長による重大な告知発表……ですか?』


 三年生の合唱が終わり、次のプログラムが司会進行役から告げられようとしたその時──めらぎが壇上に一人で現れた。

 観客の誰も予定していなかった事態なのだろう……どよめきが体育館内に反響し、生徒みんなが動揺しながらも固唾を飲んで生徒会長に注目していた。


 しかし当の本人であるめらぎは──涼しげでありながら晴れやかに、憑き物でも祓ったかのような笑顔をして第一声を放った。


『──まずは来賓の皆様方、本日は我が校へとご足労頂きまして誠にありがとうございますですわ。皆様方には直接関わりの無い事かと思われますが……是非ともご清聴頂きたく思います。在校生の皆さん──』


 めらぎはそう言うと、少し溜めを作り、皆の表情を微笑みながら見届けて──静かに言った。


(わたくし)は今年度卒業致します。それにあたり……これまで幾度となく思考を重ね思い悩んできたのですわ──次期生徒会役員候補……そして、生徒達の指標となる存在たりえる次の生徒会長を』


 そう言えば、めらぎは今年卒業するんだった。

 となると確かに次の生徒会発足に伴って生徒会長を選出しなければならないだろう。

 おっさんの前世では確か……テンマが生徒会長に抜擢されたはずだ。


 いや、でも確か選挙期間は来年の冬だったような気がしたんだけど……それにこんな催しの最中に発表するような事でもないし……一体めらぎはなにを言おうとしているのだろうか。


『──先生方とも話し合いを重ね、満場一致の決を頂きましたわ。今期の生徒会役員選挙は中止とさせて頂きます』


 一斉にざわつく館内、戸惑いを隠せない生徒達。

 この発表にはおっさんも驚いた──何故なら()()()()()()()()()()()()()

 前世では普通に選挙が行われていた気がする……いや、なにぶん興味無い事だし、はるか昔の事なので記憶が曖昧だけれども。


『とても迷いましたわ……()()に資質があるかどうかでは勿論ありません。彼女にそのような責務を負わせてしまう事に、ですわ。ですが……やはり彼女がいながら他の誰かに王の席を明け渡すなど私にはできませんわ』


 そして、めらぎが何を言わんとしているかにおっさんは気付いた。気付いてしまった。

 他の生徒達も薄々と……いや、もう理解しているだろう。めっちゃ視線がこっちに集まってるし。


 気付いていないのは、本人だけだ。

 それは彼女の心の中を見透(みとお)せるおっさんだけが知っている。


『──【波澄阿修凪】さん。今この場にて貴女を次期生徒会長に任命致しますわっ!!』


 ハウリングするめらぎの美声と沸き上がる歓声はほぼ同時に体育館内を支配した。

 誰も異議など唱える筈もなく、生徒会長によるこの発表は……これからの催しを更に盛り上げる起爆剤となる福音と化したのだ。


 渦中の彼女以外にとっては……だが。


「」


 言葉を失くす彼女を文章で表現するとまさにこんな感じだろう。三点リーダーではない……まっさらな空白。

 阿修凪ちゃん自身も、真っ白に燃え尽きていた。


『我が校は、女王たる彼女の指揮の下で更なる飛躍を遂げることでしょう……皆さん。その指導者の名を今一度叫び、天下に(とどろ)かせようではありませんこと──さぁ、高らかに!』


 もう止めたげて!

 阿修凪ちゃんのライフはとっくに0(ゼロ)よ!!








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