おまけ.女子高生(おっさん)と打ち上げ
「──かんぱ~いっ!!」
無事に曲づくりを終えた俺と【アオク】のメンバーは内緒の打ち上げパーリーを決行した。
なんかシャトーブリアンとか出てくる個室の高級隠れ家的名店では伝説のバンドメンバー(異世界の住人)と女子高生という奇妙な組み合わせが怪しい宴を繰り広げる。
アオクの皆は流石プロというべきか……歌詞を見せてから曲の制作及びレコーディング、よくわからんがデジタルリマスティングなるものまでを翌日には終了させ、発売が迫る楽曲【虹】はいとも簡単に陽の目を見る準備段階まで出来上がった。
「アシュナちゃんのおかげやで、曲のイメージも記憶を取り戻したからすぐに湧いたしな」
と、いうわけでこれで【アオク】関連クエストは全て完了させたわけで……これでお別れかと思うと寂しかった──そんな気持ちをみんなも抱いてくれていたのだろうか、どちらからともなく打ち上げが自然と行われたのだ。
おっさん、打ち上げとか大嫌いだけど……それが可愛い女の子や【アオク】と共にだったら話はまったくの別である。
しかもそのうちガララワニの肉とか出てきそうな料理の滅茶苦茶美味しいお店……おっさん雑食で腹に入れば何でもいい人だけどこれには胃袋もびっくり。
「へぇ、勇者はまだちゃんと存在してたんや。もしかしたら俺の家系かもなぁ」
「その魔女……【フィナレスシア】は俺の娘やで。そうかー、まだ生きてたかぁ……」
「僕の産まれ変わりの竜娘か……」
そして何故、内緒の打ち上げなのかと言うと……こんな空想話としか思えない会話が繰り広げられているからだ。
CD制作に関わってくれたレコーディングスタジオのスタッフとかアオクのマネージャーとかには申し訳ないが……聞かせられないので五人だけの禁断の会合なのである。
アオクのメンバーは、酒もすすんだのか異世界談義に華を咲かせた。
おっさんが異世界で関わった面々とアオクのメンバーはなんと縁があったようで……トワちゃんらが俺のもとに集ってくれたのも単なる偶然ではないのかもしれない。
「私の娘も元気にしてるかなぁ……」
「……えっ!? イドちゃんも子供いたの??」
「うん、もう3000歳くらいになってると思うけど【トワイライト】って言って真面目で凛々しい顔つきで……」
「待って!! 聞きたくなかった事実が暴露されてるから!! 色々待って!!」
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「──しっかし、俺らも大概やけど……アシュナちゃんも波乱な人生歩んでるなー。中身が男でしかもおっさんって……まぁそんなん気にならんほど可愛らしいからええけど……色々大変やったやろ」
衝撃の裏設定話(イドちゃんが既婚者だったり、その娘がトワちゃんだったり、どっちも歳いってたり)を終えてまったりとしたムードの中……話の矛先はいつの間にか自然に俺へと向けられていた。
元ファンタジー住人でもあるメンバー達は、アシュナの中身がタイムリープしてきたおっさんという事実も難なく受け入れてくれて──俺も気が緩んだのか色々な事を語った。
「そうですね……本当に色々あったけど……楽しいことの方が多かったから。やりたかった事はほとんどやれたし、あとは阿修凪ちゃんに任せます」
「……そっか。じゃあ文化祭は悔いの無いフィナーレを飾らなきゃだね。私達も力になるからいつでも言ってね」
「はい! ありがとうございます!」
バンドの演目で現役プロの協力が得られるとはなんて心強い──文化祭はより磐石な成功の道へと近づいただろう。
「………あれ? そういえば……MVがどうとかダンスがどうとかって話はどうなったんですか?」
「あ、忘れてた……実はね。オファーをかけた時からアシュナちゃんをモデルに曲をつくろうと思ってて……そのMVの構想段階でアシュナちゃん自信に踊ってもらう予定だったんだ」
あの【アオク】がおっさんモデルの曲を!?
そんなんファンなら卒倒ものやん! ダンスは嫌だけどそういう事なら是非やってみたい!!
「曲はもうできてるんだ、タイトルは【阿修羅ちゃん】──阿修羅くんの魂を宿したアシュナちゃんってことで……」
「ごめんなさいっ!! それ色々とまずいんで一旦保留で!【ido】ちゃんが歌うと尚更まずい! 名前似てるし!」
とりあえずダンス諸々、一旦保留になった。




