201.HI SCHOOL GIRL(OSSAN) of FANTASY Ⅱ
「わぁぁ……凄い……なにこれー!」
広々とした──まるでかつて街でもあったのではないかと推察させるほどに巨大な洞窟の内部は何処か蒼みがかっており、鍾乳洞を想起させた。
「なんで?! 水場もないのになんでこんな幻想的な光が洞窟内に!?」
「土壁に含まれた光を蓄えて半永久に発する鉱石と空気中にある成分との反応によるものですね」
「くぅぅぅ~めっちゃファンタジー!!」
「ふふ……アシュナ………あんなにはしゃいじゃって……やば……なにこれお腹の奥がキュンキュンする……」
「エロ勇者、欲情するのはいいけど阿修凪はぼくのだって忘れないで。誰にも渡さないから」
「あら、蜥蜴風情が言うじゃない……また絶滅の危機に追いやってあげようかしら……」
「やってみろおばさん。蘇った支配竜の根源力、見せてあげる」
「ちょっと!!今はアシュナを目的地に連れていくのが最優先でしょ!!」
なんか三人が揉めているけど、ファンタジー景色に興奮したおっさんの脳には入ってこなかった。
「まったく……騒々しく申し訳ありませんアシュナ様。あとで言い聞かせますので」
一人、常に冷静なトワちゃんは俺の半歩分の距離について回っている。
と、いうかめっちゃ近い。
『パーソナルスペース?なにそれおいしいの?』って感じで彼女の言葉は常に俺の耳元で発せられた。
別に構わないんだけどね、信じられないほどの美人だし興奮するし。
「そういえば……【天幻郷】ってそんなに有名なの?」
「はい、目にした者は少ないらしいのですが……文献によれば『その情景を目にすれば世から争いは失くなるだろう』と記されるほどに夢幻の眺望であると聞き及んでいます。しかし……魔王なる者が現れ、人外の跳梁跋扈する世になってからは唯一路のこの洞窟は最難関危険区域に指定され……誰も近づけないそうです」
世界から争いが失くなるとまで言わしめるほどに幻想的な光景……そこまでのものなら確かに子供の頃とはいえ記憶の片隅に残留し続けるのも納得なのかも。
しかし、今や危険な場所になっているそんなとこに好きなミュージシャンのための『曲づくり』目的で挑もうとするのは世界広しといえどおっさんくらいであろう。
「そ……そんな場所に来て……大丈夫なのみんな……?」
「無論です。アシュナ様とアシュナ様の崇高なる目的のためならばここで散ったとしても悔いはないでしょう」
いや、それだけのために命を散らされるのは流石に偲びないんだけど………異世界に来てまだ一月も経ってないのに裏ボス達の好感度カンストさせるなんて凄いな異世界に跳んだ俺。
「さぁ、進みましょうアシュナ様」
「う……うん」
しかし、イドちゃんのために途中で投げ出すわけにはいかない。
申し訳ないけど行くしかない──作戦名『いのちだいじに、時々えっち』を信条に、おっさん達は洞窟の奥へと進んだ。




