200.HI SCHOOL GIRL(OSSAN) of FANTASY
「──アシュナ様、到着しました」
世界一の剣聖と名高い騎士【トワイライト・アレクサンドロス・バルバティア(略称トワちゃん)】が血に濡れた大剣を払い、馬車内にいる俺に呼び掛けた。
「うふふ……残念、折角私の胸枕を堪能していたのにねぇ……」
「いい加減にして、【終焉魔女 フィナレスシア】。いくら魔王すらも凌駕する魔法使いと呼ばれていようがもう我慢ならないわ、アシュナに馴れ馴れしく近寄らないで。【最強勇者 アリシア・クルセイダー】の名のもとに成敗してあげる」
「……二人とも鬱陶しい……阿修凪はぼくが守る……【支配竜の輪廻再来 エンドレス】……参る」
なんかとんでもない肩書きを持った美女達が、おっさん女子高生の所在を巡って争い始める中──渦中の俺は妖艶且つどスケベな格好をした魔女のおっぱいを枕を堪能し、ばちくそ可愛い勇者様の脇を堪能し、裸同然の竜っ子の太ももを堪能する。
つい最近まで女子高生だった俺がどうして、いつの間にこんな裏ボス集団と行動を共にするようになったのか──勿論、これは夢(VR)の中のお話なのだが……その謎についてはいくら考察しても解明できない。
キヨちゃんから『望む未来に辿りついた世界線の俺』を見つけたと一報が入り、いざ跳んでみたらこんな事になっていたからだ。
どういう状況か尋ねてみたところ──アシュナはこのファンタジーにて【唯一無二女神】として崇められ、目的地への同行者を募ったところ……最強勇者、終焉魔女、絶対竜娘、剣聖騎士という考えうる限りの最高軍事力が集結してしまったそうな。全員女性なのは恐らく俺の嗜好だろう。
通ってきた道は魔物の亡骸が積み重なっており、戦争跡みたいになっていた。
「アシュナ様、次の指令をなんなりと御用命を」
「ぁあんアシュナちゃん、私に任せれば世界だって取ってあげるわよぉ……私にしなさい、ね?」
「アシュナ、こんな堕落魔女に耳を貸さないで。旅が終わったらあたしと一緒に平和な世界を創ろう?」
「ダメ、阿修凪はぼくの」
そして全員から溺愛されている、なにファンタジー世界満喫してるの別世界の俺。
「あ……あの、とりあえず案内してもらえるかなトワちゃん……」
「かしこまりました、アシュナ様から聞いた話をまとめて総合したところ……そのエルフが子供の頃に見た景色とはこの洞窟を抜けた先にある【天幻郷】かと思われます。行きましょう」
どうでもいい事だけど、さすがに真顔で中二病単語単語連発されるとちょっと恥ずかしかった。




