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138.女子高生(おっさん)と美容室


「ね……ねぇ、めらぎ……東京の美容室って本当にマイシャンプー持ってかなくていいのかな……?」

「わ……わかりませんわ……わたくしはいつも専属の美容師に整えてもらっていますもの……ですが、アシュナのお友達がそう言うのであれば間違いないのでは?」

「そうだけど……ヒナヒナ達も地元の美容室らしいし場所によってルールが変わるのかも……都会だし」

「……あり得ますわね、ネットで調べてみましょう」

「嘘つきの巣窟(すくつ)のvipだけはやめてね?」



〈東京 青山〉


 休日──遂に翌週に迎えた小説発売に伴い、編集長から『一度、サロンとブティックに顔を出してあげて頂戴』と頼まれたので東京へとやって来た。そういえば契約の時に無料で利用できるサロンやらを紹介されたが……いかんせん遠いし、なによりおっさん全然美容に興味ないので一度も行ってなかった。さすがに悪いので小説発表の機に利用してみることにしたのだ。


 その話をめらぎにしたら『修学旅行だったのでアシュナ成分が足りない、ご一緒しますわ』と強く言うので同行してもらったわけである。


「コクウさんは美容室のルール知らない?」

「すみません……俺も髪は自分で切っているので美容室には行った事が……」

「そういうアシュナも一度も行った事がないんですの?」

「うん、地元の床屋しかないよ(前世の話だけど)」

「……同年代の女子が床屋と言っているのを初めて聞きましたわ……」

「お嬢、あの店です」


 オシャンティな店の立ち並ぶ通りに、更に王室御用達みたいな綺麗な建物がコクウさんの指す場所に存在していた。赤青白のくるくるもなく、一見するとまるで宝石店。

 一層の覚悟を持って挑まねばならないようだ、はっきり言ってスターボックスよりも怖い。美容室のルールなんて誰も教えてくれてないし、カリスマ美容師なんて陽キャの権化みたいなやつだし(※偏見です)、きっと陰キャの客に『仕事なにしてるんスか~w彼女とかいるんスか~ww』とか悪意を持って聞いてくる奴等の集団だし(※そんな事ありません)関わりたくない。


 そんな思いで入店を尻込みしていると、ガラス越しに見られたのか……店員らしき人が扉からこちらを隠れ覗いていた。


「あ……あの…………ア、アシュナさんですょね……?」

「え……あ……はい……」

「ぉぉぉ会いで……光栄でです……わ……私が……のまえ編集長……紹介……預りました専属……師の………【初音(はつね)……】です……どぅぞょろしく……」

「え……ごめんなさい……なんて?」

「そ……そそぅ……ょね……わ私……かが……あなた様……なリア…………………………………………………………ね」


 出てきたのはめっちゃ親近感を覚えるけども何を言ってるのか全く聞き取れない……確実に同属性の美容師だった。


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