134.女子高生(おっさん)の修学旅行~③日目『女と男6』~
〈PM17:00~18:00 【米軍基地】〉
──そこからは最早、怒涛の展開速度だった。
あっという間に人員は確保され、両者ともが協力し合って直ぐに作業開始の手筈が整った。
バタバタとみんなが慌ただしく動く中……ひとり手持ち無沙汰だったのでできる事はないかと聞いたところ、ヤクザも軍人も『見ていてくれればオーケー』と良い笑顔で答えた。
(それだけでいいの……?)と戸惑ったが、みんな阿修凪にいいところを見せようとちらちらこちらを見ながら懸命に動いているので、効果はあるらしい。
作戦会議室みたいなところでは、頭の良さそうな人らが集まって海底にあるとされる祠の位置の割り出し予測やらなんやらを行っていた。そこでは『お茶汲みを是非お願いしたい!』と言われたのでお茶を淹れた。するとそれを飲んだ全員が、精力剤でも飲んだかのように元気になった。
そんなこんなで夜19時には準備万端になったのだが、みんなに『修学旅行中なんだからホテルに戻って青春してな。あとは俺達に任せろ!』と言われたのでヤクザ達に送ってもらった。
おっさん何もしてないんだけど本当にこんな楽してて良いの……? と当惑しながらも楽園時間になったのでお言葉に甘えて青春することにする。
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〈PM19:30 ホテル 大浴場〉
「──てな事がありまして……えへへ……」
「あらあら、大変だったのね……疲れたでしょう……今度は先生が洗ってあげるわね」
「先生……今の話の中にアシュナの疲れる部分が一つもありませんけど」
これまでのあらすじをクラハ先生とヤソラに語りながら、おっさんは先生の大人な背中を洗う。
おっさんの背中はヤソラが洗ってくれていた。俗に言う洗いっこだ。
「じゃあ今度はヤソラを洗ってあげる」
「──っ……ァッ……ァタシはぃぃからっ……!」
「ヤソラちゃんは何故ずっとタオルを巻いているのかしら……? 浴場ではマナー違反よ?」
「だ……だってアシュナはおと……ぅぅ……わ……わかりました……」
そう言って、ゆっくりと彼女はタオルをはらりと外した。真っ赤になり、唇をきゅっと結んで涙目になりながら。
そう言えば俺の中身が男バレしてから(厳密には違うけど)初めての一緒の入浴……きっと彼女の中で男に裸を見せるのに抵抗があるのだろう。
そんな葛藤する様子を見るだけでご飯三杯はイケた。
「けど……せっかくの修学旅行でみんなとゆっくり遊んでられなくて残念ね」
「………」
そう──予想外のイベントが巻き起こったために殆どがそれらに費やされてヒナヒナ達やミク達と思う存分に遊べたとは言い難い。おっさんは風呂や部屋でのイベントしか興味なかったので別にそれでも良いのだが……みんなには悪い事をした。
(せっかく楽しみにしてくれてたのに……ごめん)
そんな多少の心残りと罪悪感を抱いていても、バタバタしていた修学旅行の終わりの時間は……『神の社』が見つかったという吉報と同時にやって来た。




