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131.女子高生(おっさん)の修学旅行~③日目『女と男3』~


〈PM14:50 病室〉


 琉宮會のマジメさんの登場により、マイコーことミシェルちゃんは顔を赤くしてうつむいてしまう。

 

 そこでおっさんは素早く察する──ミシェルちゃんの好きな人と言うのは女島真面滅である事を。

 てっきり男になりたいというミシェルちゃんの想い人なんだから女の子と勘違いしていたが……子供の頃の初恋相手なのだから男であってもおかしくはない。


 そして、マジメさんの『奇妙な癖』を知っていた俺はこれまでの情報(ピース)を組み立て、素早く[ある仮説(ストーリー)]を産み出した。


 もしかしたら……ミシェルちゃんは、マジメさんの【女が苦手】な癖のために【男になろう】としているのではないか──と。

 そして、そうだとすると()()()()()()()()()()()()()()()と瞬時に理解した。


「なんで阿修凪とマイコーが一緒にいるんだ?」


 そんな事はお構い無しに、事情を知らないマジメさんは仕切り内に入ってきた。ミシェルちゃんの話から推察するに……たぶん、彼はマイコーを女の子だと思ってもいないのだろう──アレルギーも動悸も起きていない。


「……ハニー? マジメと知り合いなのかい……?」

「い、いやー、知り合いっていうかたまたま知り合ったばかりの関係って言うか!? ね!?」


 偽装とはいえ……婚姻関係を昨日結んだなんてミシェルちゃんが知れば、どろどろした昼ドラみたいなややこしい修羅場が巻き起こると思い、大声で否定する。


「……っ!!? な、なーに言ってんだよ阿修凪! 昨日婚約したばかりじゃねえか忘れたのか!?」

「…………えっ……?」

「んぬふぅっ!!?」


 すると即座に、マジメがド直球に昼ドラ展開にしやがったので思わず鼻から声を出す。

(少しは雰囲気と空気と状況を読めよ、そもそもミシェルちゃんのこの美しい姿を見て男だとてめぇの目は節穴かこのヤクザ野郎!?)と突っ込みたかったが殺されそうなので我慢した。

 マジメさんは何を思ったのかめっちゃ近寄ってきて俺に耳打ちした。


「(阿修凪っ……!! オヤジは隣のベッドにいるんだよ!!)」

「………え゛っ!!?」

「ど……どういう事っ!? マジメっ……君は女性に触れないんじゃなかったの!? そのために俺は男になろうと……あんたに寄り添って生きて行きたいと思ったからっ……」

「……は? マイコー……お前なに女みたいな声出して……」


 不可解な光景を目の当たりにしたミシェルちゃんは声を高らかに荒げ、マジメさんは男だと思っているマイコーの女声に驚き、おっさんはヤクザの元親分がなんで個室じゃない病室でしかも隣にいるんだよとビックリしてゲップみたいな声をあげた。


 場が昼ドラ(カオス)を極めたその時──仕切りの向こう側からドスの効いた『龍が●く』さながらのマジもんの声が病室に低く響いた。


「……話は全部聞かせてもらったぜ…………君が阿修凪ちゃんか……馬鹿野郎が迷惑かけたな………ぉう、マジメ……てめぇの口からどういうわけか説明してみろや……」


 開いた仕切りの奥にいたのは、病気であることを感じさせない覇王色の覇気を身に(まと)わせたモノホンの極道だった。


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