129.女子高生(おっさん)の修学旅行~③日目『女と男』~
〈PM12:45 men,s rest room〉
「み……ミシェルちゃん落ち着いて……ここ、トイレだから……」
「ふふ……心配しなくてもいいよ……俺が大事な電話って言った時はみんな奥に立ち入らないように聞かせてるから……それにここは俺の店だからRESTROOMをどんな用途でuseしても咎められる事もないさ……」
なるほど、なら安心……じゃなくて。
思いきり発情した様子のミシェルちゃんは、おっさんにもたれかかるように更にきつく密着してくる。胸を触る手つきや息遣いは優しくも力強い獣のようで……男になりたいと言う彼女の性格を体現しているようだ。
(ダメだダメダメ……俺にはめらぎやヒナヒナやヒマリやヒメやミクやエナやイズミちゃん達が……今日出逢ったばかりの女性とワンナイトラブなんて……)
そこでおっさんはある事に気付く。
ミシェルちゃんは女だけど男になりたくて女性好き……おっさんは女だけど心はアラフォーマダオで女好き……両者への需要が見事に一致していることに。
何処かのマッドサイエンティストにおチ●チンが産える薬を作ってもらって、ミシェルちゃんに飲んでもらってふたなり化してもらえれば法的にも完全に『男と女』。
(………………いや、それなら俺がその薬を飲めば万事解決じゃん、落ち着け俺!)
なんとか猥褻な行為に持ち込もうとする俺と心の中で格闘していると……更にミシェルちゃんの吐息は激しくなる。
その身体はありえない程に熱を帯びていた。
「…………? ミシェルちゃん……もしかして……体調悪い……?」
「……ふふ……確かにハニーの魅力にあてられて……身体は太陽のように燃え盛ってるからいつも通りとは言えないね…………まったく罪つくりな女性だ………」
「……! 熱あるじゃん!! なんで早く言わないの! ウィットに富んだ受け答えしてる場合じゃないでしょ!」
「心配いらないよ……俺は男だから多少の熱くらいなら平気……」
「そんな我慢いらないから! ほら! 服着せるよ! じっとしてて!」
「……oh……女性に服を着せてもらうなんてマミー以来でベイビー時代を思い出すよ……そう……あれは珍しく雪の積もった寒い日でね……」
「アメリカ人って体調悪い時もそんな喋らなきゃいけないの!? 大人しくしてなって! 持病とかあるならかかりつけの病院とか教えてほしいんだけど!」
「………なら、kissしてくれたら治るかもね……おとぎ話の王子様とお姫様のように」
「ぁぁぁああっ! ジョーク文化面倒くせぇぇぇ! もういいや! しっかり捕まってろよ!」
「あっ……」
面倒なやり取りが大嫌いなおっさんは寝不足もあってか、うっかり地を出してミシェルちゃんを強引におぶさったのち──タクシーで近くの病院へと向かった。