12.女子高生(おっさん)の書く小説
ある日、妹とケンに習って作ったホームページにコメントがついた。
【素晴らしい物語を拝見させて頂きました。続きが気になります。創作頑張ってください。HN『ロリコン』】
昔懐かしいカウンターつきの自作したHPに俺は執筆中の小説を投稿していた。コメントはそれを指しているのだろう。
だが、PCに慣れていないこともあって執筆には時間を要していて未だに1万文字も書けてはいなかった。脳内では完結済みなのに。
「なんか急にカウンターが増加してる……? 投稿したわけでもないのに……なんで?」
原因はすぐに判明した。
サイトリンクしていた妹のHPにより、このHPの主が妹のサイトに載っていた写真の姉【波澄アシュナ】のものだと告知されていたからだ。
「………本当に純粋に小説を読んでくれたのか……?」
美少女女子高生が書く小説、話題性でいうなら抜群の効果ではありそうだが……果たしてそれは本当に小説家たりえるのだろうか、と自問自答する。
だが、今までの俺とは違う。
利用できるものはなんでも利用する、と決めた。
悲しい哉、日本というお国柄は話題になったものが売れるという側面があることも事実。
「……………顔写真だけでも載せてみるか……本当に面白ければ読者は後からついてくるはずだ」
その日、カウンターは振りきれた。
嬉しさと切なさともどかしさと複雑さと心強さと10倍界王拳が同時に来たような感覚に陥ったけど、それでもやっぱり嬉しかった。