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122.女子高生(おっさん)の修学旅行~③日目『ルーツ』~


〈PM23:42 ホテル前〉


「お嬢……zzz……それで……行きたい場所というのは……zzz」

「うん、昼型なのに起こしてごめんね。さすがに夜中に外をうろうろするのは危ないから……」

『アシュナ嬢、場所を特定した。指示するから昼のSPに従って動いて』

「うん、わかった」


 消灯時間後、俺は【とある場所】へと向かうために二人のSPを伴い(カザカちゃんは無線機にて案内役)こっそりとホテルを抜け出していた。


「お嬢、何故……今時刻にそのような場所に?」

「う、うん……えーっと…………前から行ってみたかったんだけど今時の女子高生が行く場所じゃないかなーって……だからグループ行動に組み込むの申し訳なくて……」

「成程、だから遠慮してこの時間に一人で訪れようというわけですね。承りました、では後ろに乗ってください」


 コクウさんが運転するバイクの後部に股がり、潮香る風を引き裂きながら……俺達は暗い夜の帳を駆け巡った。バイクに乗るのは初めてだったので、恐怖から思わず細身だが岩のような硬い体に後ろからしがみつく……レザー服越しでも伝わるコクウさんの心臓の音が印象的だった。


(行ってどうなるわけでもないけど……もしかしたらなにか解るかもしれない……いや、わかってもどうすることもないんだけど……何か気になる)


 三代目の親分から聞いた──【娚人(にゃんちゅ)】伝説のルーツであり発祥の地ともされ、地図上から姿を消した(いわ)く付きとされる【転生九萬宮】という神社へ……言い知れぬ不安を抱えながら向かった。


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〈AM0:56 【転生九萬宮】〉


『アシュナ嬢、場所的にはそこを指している』


 カザカちゃんの指示とコクウさんの爆走によりたどり着いたその場所は、言ってみればただの砂浜だった。辺りは山と岩壁に囲まれ、人の気配どころか誰かが最近訪れたであろう形跡も無い。

 当然だ、プライベートビーチにはもってこいかもしれないけれど……道も、店も、住み処も……果ては電気すらなにもない。月灯りだけが光源の世界……幻想的ではあるけれど、ここに住むのは無人島で暮らすのと同義だった。


「鳥居とかもなにも無いね……」

「……恐らくですが、海面上昇や様々な理由で姿を消してもう残っていないかと……」

『昼のSPの言う通り。どれだけ調べてもその辺りにあったという記録しか残されていない』

「……そっか」


 落胆か、はたまた安堵なのか自分でも知りようのない感情が胸を刺す。ともかく、何もないんじゃしょうがない……そう自分を諌めて帰ろうとするその心を──何処かで聞いた声が引き留めた。


「待っておったぞ、波澄アシュナ」


 暗闇の中から声と共に現れたのは……初日のホテルで見かけた【のじゃロリ】だった。






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