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121.女子高生(おっさん)の修学旅行~②日目『予想外のイベント3』


「──と、いうわけだ。夜のSP……お嬢が不本意ながらも仕方なく、慈愛の心で仕方なく、暴力団の我が儘に付き合うことになった。厳戒態勢にて臨め」

『zzz……了解……街の監視カメラを使って徹底的にマスコミと不審者を排除する……』

「ごめんねカザカちゃん……夜行型なのに起こしちゃって……」

『気にしなくていい。なにかあったら連絡してzzz』


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〈PM14:05 国際通り〉


 昼食と、ヤクザ達との話し合いを終えて……おっさん達は再び修学旅行のイベントへと戻った。

 最後の予定だった国際通りでのショッピングをするため……異国情緒を醸し出すヤシの木が立ち並んだ大通りを練り歩く。本島では見られないであろう──ハワイをイメージさせる光景に、関東圏しか行った事のないおっさんもほんの少しテンションが上がる。


「お嬢、琉宮會と鳳凰家……そして、県警との連携により国際通り封鎖完了しました」


 惜しむらくは、普段通りの街並みを歩きたかったという事だけであろうか。

 通りはまるでゾンビに侵食されたかのように人が一切おらず、静寂に包まれている。人がいなく広々しているからか道路で筋トレに励み出した『偽400億の男』の存在だけが、これが未だ修学旅行の最中だという事実を思い出させてくれた。


「悪ぃな、阿修凪の修学旅行の邪魔はしねえからよ」


 こうなった経緯を一から説明すると──極道の妻の振りをすると決めたはいいものの、小説家デビュー及びメディア露出を目前に控えているのでヤクザの親分との接触はマイナスイメージになるとコクウに猛反発を食らい……編集長に電話相談したら、『じゃあ誰の目にも触れさせなければいいんじゃない』という事になり……『じゃあ国際通り封鎖しよう』となったわけである。

 三代目も『修学旅行を台無しにしたら面目立たねぇ』という事で……『ツーショット写真を撮ってくれればそれでいい』ということで俺達に同行する流れになったのだ。

 もう正直、情報量が多すぎておっさんのキャパシティを超えているので……考えるのを止めてみんなに平謝りした。


「ごめんねみんな……せっかくの修学旅行を……」

「な~に言ってんのアシュナっち、国際通り貸し切りなんて一生体験できない事させてもらってんじゃんか!」

「そうだよアシュナちゃん」

「ものは考えようだよね~、まぁ僕はアシュナちゃんといられれば何だっていいよ~」

「……なにかあったらあたしに言いなさい。べ……別にあんたのせいじゃないんだから気にしなくていいわよ」


 ミクもエナもアリス君もヤソラも、微笑んでフォローしてくれた。なんていい子達なのだろうか。


「済まねぇな……お、ここなんかいいんじゃねえか。阿修凪、い……一緒にしゃ……写真撮ってくれ」

「あ、はい」


 ゴーストタウンのショッピングを楽しみながら、要所要所で三代目との写真を撮って回る。

 おっさんにだけはアレルギーが出ないと言っても、初めて女性と触れあうとだけあって三代目はこじらせまくった童貞のようにどもりまくり、ツーショット写真なのに1メートルくらい離れていた。

 そんな挙動に、既に童貞を卒業したおっさんは(※していません)精神的に優位に立つ事ができた。


「ほら、それじゃあ不自然ですって……もっとこう、肩を引き寄せる感じで……」

「ば、馬鹿野郎! こんなに近づいたらお前が妊娠しちまうだろうが!」

「はいはい、じゃあ撮りましょうね」


 まさかそんな初心(うぶ)な台詞をヤクザの親分……しかも男から聞く事になるとは思わなかった。


「ところでマジメさん、一つ聞きたい事があるんですけど……」

「な、なんだ?」

「さっき言ってた【伝説】のこと──」


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〈PM20:10 ホテル 大浴場〉


「──って事があって……」

「なにしてんのアシュナ!? もはや修学旅行で起こるイベントじゃないよ?! ダイジェストにしていい話でもないし!!」


 二日目の行程を終わらせ、時刻は夜。

 無事ホテルに戻った俺は再び楽園(おふろ)タイムとなり、あったことをヒナヒナ達に語っていた。


「それで……大丈夫だったの?」

「まぁ写真は撮ったし……あとはオヤジさんを納得させられるかだけど……修学旅行中は邪魔しないからって」

「あはは~、アシュナちゃん濃すぎるよ~」

「濃すぎ……!? ちゃんと薄くサラサラになるようにしてるけど……」

「下の毛の話じゃないの! 話の内容が! ……まぁ、いつものアシュナみたいだし……平気そうだね。じゃあ明日はそれに負けないくらい濃い1日にしよう!」

「さんせ~い」

「うん!」

「じゃあ寝る前にアシュナちゃんのお部屋に集まって明日のけーかく皆で話そ~よ~」

「おおー」


 そして、二日目の消灯時間を迎える。

 おっさんはそっと部屋を抜け出し、とある場所へ向かった。





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