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113.女子高生(おっさん)の修学旅行~①日目『謎の幼女』~


〈PM17:00~宿泊施設到着〉


 那覇市内で文化的なスポットを見学したのち──俺達は初日に泊まるリゾートホテルへとたどり着いた。  


 初日の見学コースは教育的な記念公園や資料館などだったが……申し訳ない事にホテルでの入浴や百合時間などに想いを馳せていたおっさんの記憶からは瞬時に抜け落ち……ホテル到着時にはなに一つ覚えていなかった。


「ヤバくね?! めっちゃ綺麗なホテルじゃん!」

「ね! ヤバいよね!」

「はいはい騒がないの。18時からはクラス毎に別れてお風呂だからねー、部屋割りに従って移動したら待機してなさい」


 リゾートみたいなホテルを目の当たりにして騒ぐクラスの女子達を養護教諭のクラハ先生が(たしな)めて指示を出す。おっさんはホテルなどどうでも良く、興味があるのは一つだった。


「クラハ先生も一緒にお風呂入るんですか!? 是非一緒に!」

「あら、嬉しいわアシュナちゃん。ふふ、じゃあ私も御一緒させてもらおうかしら」

「やったー!」

「アンタ一人だけ感動するポイントがおかしくない?」

「ぅひひ、ヤソラちゃんも良ければ一緒にどう?」

「一緒にどうも何も同じクラスなんだから入浴時間は嫌でも一緒でしょ、馬鹿言ってないでさっさと部屋行くわよ」


 世話役を買って出たおかげか……だいぶ態度が柔らかくなったヤソラちゃんだが、未だツンデレを引き出すには至らずにツンツンしていた。

 とりあえず桃源郷(おふろ)の時間まで精神を集中させていようと意気込んで部屋に向かおうとすると……ロビーの片隅から視線を感じた。


 視線の先には小さな女の子がいた。ハーフかと思わせるほど真っ白な肌の可愛い玉のような子供……年齢は幼稚園くらいだろうか。


(……一人でいるけど迷子かな……でも誰も気にしてないし……それよりなんで俺をガン見してるんだろ……)


『ようやく会えたのじゃ』


 読唇術を使えるわけもない俺でも、女の子の口がそう動いて……ニヤリと笑ったのははっきりとわかった。


「! ヤソラちゃんっ、ちょっと待って!」


 ──驚嘆して動揺した俺は部屋へ向かうヤソラちゃんの制服をいつの間にか掴んでいた。


「んぐぇっ! な、なにすんのよ!?」

「あれ! あの子……っ!!」


 女の子を指差す──しかし、少し視線をずらした間に、女の子はまるで煙のように消えていた。

 幽霊か、はたまたおっさんの物語を大きく動かすキーパーソン的な精霊か……そんな考えが浮かばないでもなかったが、それよりも先に『感動』がおっさんの心を大きく突き動かした。


「痛いってば! なんなのよ!」

「女の子がいたんだよ! リアル『のじゃロリ』だよ! 初めて見た!」

「アンタ沖縄に何しに来たのよ!? さっきから関係ない部分ではしゃぎすぎ!」


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