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107.女子高生(おっさん)の困惑~新たな出会い④~【養護教諭】


〈下駄箱〉


「あっあっあっあのののっ……! ししし少々よよよろしいでしょうかっ……!?」

「え?」


 放課後、帰ろうとすると壊れたロボットみたいな噛みまくりな裏声に呼び止められた。振り返るとそこにはおっさんの大好物である──後輩であり新一年生である瑞々(みずみず)しいもぎたて果実のような女子高生達がいた。


「わっ……私達っ……アシュナ様に憧れてこの高校に入学した一年なんですがっ! 宜しくお願いしますっお時間取らせてしまって申し訳ありませんっ!」

「あっあのっ……【絶対女神アシュナ様信仰教】の入信手続き会場の生徒会第一教室というのは一体どこにあるのでしょうかっ!?」

「なにその宗教団体!? 初耳なんだけど!?」


 kwsk聞くと、どうやらこの高校に存在しているらしいアシュナファンクラブの名前のようで……アシュナを信奉している者に勧誘の手紙が届くんだとか。彼女らはお眼鏡に叶ったようだが教室の場所がわからずに迷っていたところ俺がいたので勇気を振り絞って声をかけてきたようだ。


 ファンクラブがあること自体は噂程度で知ってたけど、これまでそのメンバーらしき人とは出会わなかったため気にしていなかったら……なんか怪しい宗教団体にまで発展するほど人員が増加していたようだ。

 とりあえず注意するために彼女らを生徒会第一教室にまで案内する。


----------


〈生徒会第一教室〉


「──もぅ……貴女達ダメじゃない……この団体はアシュナちゃんを【見守る 讃える 崇める 愛でる】が絶対的四原則と記載した筈よ? 当人に声をかけ、あまつさえ案内までさせるなんていけない娘達ね……」

「「「ごめんなさい……」」」


 教室に入ると、まさかの意外な人物がいた。てっきり生徒会室という事からめらぎが取り仕切っているのかと思いきや……そこには今年度から保健室の先生に赴任した【養護教諭 桃彩(ももいろ)桜花(くらは)】先生がいた。リアル何でここに先生が!?である。

 漫画でしかありえないと思っていた大人の女性で色気満載の保健室の先生。前世では登場しなかった人物のため、恐らくアシュナの存在が何処かから引き寄せたのだろう。


「あ~あ、バレちゃった……ふふ……こうしてゆっくり面と向かって話すのは初めてねアシュナちゃん」

「クラハ先生……先生が発起人なんですか?」

「いいえ、私はあくまで今年に入信した新参者よ。立ち上げたのは現生徒会長で名誉会長のめらぎちゃんと校長先生みたいだけど……アシュナちゃんへの想いを熱く語ったらなんか指導者に抜擢されちゃった」


 と、思ったらやっぱりばっちりめらぎと校長が関わっていた。人の預り知らない所でなにやっちゃってくれてんのと後でお仕置きしようと誓った。


 すると、クラハ先生は一年生の女の子達に絡みつき……唇を指でなぞったり、鎖骨を撫でたりYシャツをはだけさせたりとなんかえっちな事をし始めた。

 一体何が始まるんです?!と……呆然としながらもじっくりと瞳に焼き付けるという矛盾する行動を取らざるを得なかった。


「あっ……やっ……」

「貴女達には罰が必要ね……憧れのアシュナちゃんの目の前であられもない姿を晒す……っていうのはどうかしら?」


 いいぞもっとやれ、という思いとは裏腹に、俺のせいで後輩達が貞操の危機に見舞われるというピンチを黙って見ていられるほどにおっさんは腐っていなかったために立ち上がる。


「もっとやって! いやっやるなら私にっ! あ、いや見てるのも捨て難いけどっ……やっぱ私に代わりに罰をくださいっ!」

「あら……ふふ、美しい自己犠牲というわけ……うふふ、やはり貴女は素晴らしいわ……実は私アシュナちゃんを滅茶苦茶にしてみたいと秘かに思ってたのよね……はからずも念願が叶う日が来たというわけね……うふふ」


 後輩達が羨望の眼差しで俺を見る中──この学校を守りたいと言わんばかりに、後輩の盾となるアシュナの姿は誰の目から見ても美しかった。

 その内面以外は。

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