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88.女子高生(おっさん)の苦手なもの


〈2-A 教室〉


「アシュナさんお願いっ! 今度野球部の試合の応援でチアリーディング部に力を貸してくれないかなっ!?」

「嫌です」


 基本的に、おっさんはええ格好しいなので女の子の頼みは断ることができない。

 だが、たとえ一億円貰っても、たとええっちな報酬があったとしても絶対やりたくない事は人間ならば誰しもあるだろう。

 この時期、もうじき梅雨が始まるから外は雨天の割合が多くなり……湿気でイライラしがちなのもあるのかもしれない。


 今、目の前にはチアリーディング部の可愛い女子高生総勢7名がわざわざ教室にまで押し寄せてきていた。一人一人がとても美しく、可愛いらしい──これが『みんな一緒にベッドインしてくれないか』なんて頼みなら音速で『YES』と答えていただろう。

 しかし、今回ばかりは食い気味にはっきり『NO』を突きつけた。


「アシュナ、絶対にダンス関係だけはやらないからね~。運動神経とか男子なみなのに」

「アシュナちゃんが踊ってるの見てみたいんだけどなー」


 ヒナヒナとヒマリが、果たしてどちらへのフォローなのかわからない言葉を投げ掛けてきた。

 他クラスや他学年や他部活からの(アシュナ)への助っ人要請や頼みごとはこれが初めてではないのでこんな光景にも慣れっこなのだろう。

 美術部から『美の女神としてのスケッチモデルになって』だの演劇部の頼みで『女神の役をやってほしい』だのクラスに押し掛けられることはしょっちゅうだ。

 まぁ、これらは全て男からの頼みだったので難なく断ったが。


「ダンス、だめ。絶対、嫌」

「なんかキャラ変わってちゃってるし……ごめんね? チアのみんな、アシュナはこうなると頑固だから無理だと思うよ」

「そこをなんとかっ! 野球部の彼を絶対甲子園に行かせてあげたいんだよー! アシュナさんが応援してくれれば皆いつも以上にパワー出ると思うんだ!」

「あー、野球部にカレシいるんだ~」


 尚更、余計、死んでもごめんだ。

 なんでDQN糞坊主達(※偏見)との恋をおっさんが応援しなければならないのか。坊主が可愛い彼女とビーチにいるネットの写真を見て嫉妬に駆られたことのあるおっさんへの嫌がらせか?


 すると、ヒナヒナが絶妙な俺へのフォローをしてくれた。


「あ、でもさー……カレシ君がアシュナのチア姿とか見て気が向いちゃうとか心配はないの?」

「…………あ」


 チア部のリーダーらしき少女は、それを失念していたようで……なんとかおっさんのチア助っ人の話は白紙となり、みんな教室から退散した。


「……ありがとうヒナ……」

「いいよー、それよりなんでダンスは絶対やらないの?」

「ぎっくり腰になるのが怖いから」

「………おじさんの言い訳じゃないんだから……」



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