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第14話「まるで新婚夫婦?」

 放課後、俺たち四人は一緒に学校を出た。


「いやぁ二週間ぶりの翔の家、楽しみだなあ」


「お、おう」


 そう。夏海はダンス部の遠征に約二週間の間、行っていたので俺の家に来るのは約二週間ぶりなのだ。夏海はダンス部でも期待の新人と言われるほどの実力らしいので幼馴染としても誇らしく思う。


 俺は家に近づくにつれて心拍数が上がってくる。

 俺は大きく深呼吸をし、覚悟を決める。


 家に着いたら、夏海に同棲していることを言う。というか、家に入ったら恐らく、すぐにバレるんだけど。


 俺たちは喋りながら歩いているうちに家に到着してしまった。

 

「それじゃあ、入る?」


「当り前じゃん。何、変なこと聞いてるの?」


 俺は緊張しすぎて変なことを聞いてしまった。


 ドアを開けると、皆、室内に入っていく。


 夏海は何かを感じ取ったのか、洗面所に直行していった。ちょっと待ってくれよ。せめて、俺が同棲していることを伝えてから動き出してくれないか?

 そう思いながらも俺たちは先行する夏海の後をついていく。


 そして夏海が洗面所のドアを開けると、驚いたように一歩だけ後退った。


「はっ……?!」


 夏海が驚いた理由もすぐに分かった。

 

 洗面所には二つの歯ブラシや以前は置かれていなかった女性が使うような化粧水など色々置かれていたからだろう。


 驚く夏海を見たカズはニヤニヤしながら声をかける。


「な? 驚いただろ?」


「そういう事だったんだね……」


 俺は再び大きく深呼吸をした。


「夏海、もう気付いたとは思うけど改めて言うね。俺とアリナは同棲してるんだ」


「そっかぁ……。びっくりしたけどいいと思うよ!」


 まだ驚きを隠せない様子の夏海だったが、夏海はふと異変に気付いた。

 その疑問を俺に聞いてくる。


「同棲しているのはわかったけど、翔のお父さんとお母さんは?」


「あー、父さんと母さんなら、ロシアに行ったよ。俺の父さんとアリナの父さんが一緒に何か事業することになったんだってさ」


「ええっ?! そこにも繋がりがあったの?!」


「あはは、まあ詳しいことはまた今度話すよ」


「そうだね。とりあえず、リビングにでも行こうか」


 夏海は何度も俺の家に来ていることもあって、完全に俺たちの家の中を把握しており、リビングの場所に直行して行った。

 リビングに着くと、夏海は一気に疲れが来たようでテレビをつけてくつろぎ始めた。


「翔~、お腹空いた~」


「作れってことか?」


「そゆこと~、お願い~」


 いや、わがままかよ。

 まあ、これが夏海って感じがするんだけど。俺たち以外は夏海がこんなわがままだとは思いもしないだろう。学校だと元気で優しい子ってイメージだからな。


 俺は夏海の言われた通り何かを作るためにキッチンに向かった。

 途中で後ろを振り返ってみると、アリナもついてきていた。


「私も手伝いますっ」


「休んでてもいいんだよ?」


「いえ、どんな時でも翔くんと一緒にいたいので」


「そ、そっか」


 アリナ言葉に俺は思わずキュンとしてしまう。アリナは狙って発言したわけではないと思うけど、それでも俺はアリナが自然と発した言葉に照れてしまう。

 キッチンに着くと、俺とアリナは何を作るか話し合う。


「何を作ろうか」


「そうですね、やはり定番のカレーライスにしますか?」


「そうだね。アリナはカレーライス作るの得意だし、そうしようか」


「はいっ!」


 俺とアリナは作業を分担して一緒にカレーライスを作り始めた。

 俺は野菜などを切り、アリナはお米を炊いてくれるようだ。


「アリナ、早炊きでお願いしてもいい?」


「早炊きはどのボタンを押せばいいんですか?」


「ああ、そう言えば教えてなかったね。このボタンを押せば早炊きできるよ」


「ありがとうございます!」


「わからないことが何でも聞いてね」


 野菜を切り終え、アリナも自分の作業を終えたので、二人でカレールーをお湯を入れた少し底が深くなっているフライパンに入れた。


「翔くん、今ですよ」


「おっ、今か。チョコレートはこのくらいでいい?」


「そうですね、もう少し少なくてもいいかもしれないです」


「このくらい?」


「そう! そのくらいです! さすが翔くんです!」


「いや、アリナが教えるの上手なんだよ」


 俺たちはすべての作業を終え、後は出来上がるのを待つだけになった。

 料理をしていた俺とアリナを見たカズと夏海がこっちを見ながら何やら話しているようだ。

 何を話しているのだろう?


「あの二人、仲良過ぎね」


「たしかに付き合っているのはわかるけど、ラブラブだよなぁ」


「料理をしている姿がまるで新婚夫婦みたいだったよ」


「あの二人がいる空間はいつも糖度が高いよ」


 


米が炊き上がり、カレーの準備もできると、俺たちは皿に盛り付けて二人でリビングのテーブルの上に並べた。

並べ終えると、俺たち四人は手を合わせて「いただきます」を言って、カレーライスを食べ始めた。


「夏海、カズ、美味しいか?」


「うん! おいしいよ! これが二人の愛が詰まった味かな?」


 夏海が俺をからかうように味の感想を述べた。

 カズの方は味の感想を言うことはないものの、コクリと静かに頷いていた。


 まあ、夏海がからかってきたのはともかく、美味しかったようで良かった。これもアリナが教えてくれた隠し味のチョコレートのお陰かな?



 二人とも幸せそうな顔で食べてくれているようで良かったよ。


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