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第13話「幼馴染登場!?」

「おはよー、カズ」


「おう、おはよう。お二人さん、昨日は楽しめたか?」


 俺とアリナが教室に入るとカズと挨拶を交わす。


「ありがとうな。お陰様で楽しめたよ」


「そりゃあ、よかった」


 カズが急にはっと何かを思い出したような表情になる。


「どうした?」


「そう言えば、()()()が遠征から帰ってきたらしくて、今日から学校にも登校してくるらしいぞ?」


「マジ?」


「うん」


 俺とカズの会話を聞いていたアリナが話に入ってくる。


「あいつと言うのは、誰のことなんですか?」


 そっか。アリナはまだ会ったことがなかったな。

 アリナにも教えておかないといけないな。


「あー、あいつっていうのは――」


 俺がアリナに伝えようとした途端、俺の名前を叫びながら廊下を走る音が聞こえてくる。そして、その音は次第に俺たちに教室へと近づいてきて……


「翔~! 帰ってきたよ~! 寂しかったでしょ~」


 茶髪のポニーテールの女子生徒が勢いよくドアを開き俺たちの教室に入ってきた。

 彼女はダンス部の部員で、俺の幼馴染の広瀬夏海(ひろせなつみ)だ。


『おい、広瀬さんが帰ってきたぞ!』


『本当か! 学年の美女二人が揃ったぞ!』


 男子生徒たちが何やら盛り上がっている。

 まあ、確かに夏海も可愛いとは思う。元気なところが人気なのだろう。


「夏海、帰ってきたのか」


「うん! 寂しかった? ……って、その美少女、誰?!」


 夏海が俺たちのところにやってくると、アリナの存在に気づいた。


 というか、夏海はやっぱりアリナのことを知らないんだな。この世代の女子からしたらアリナはそれなりに有名だと思うのだが、夏海はそういう事にはあまり興味がないので知らないようだ。


 はあ……。

 付き合っていることくらいは、教えなきゃな。夏海は、俺にとってカズよりも長い付き合いだからな。


「夏海」


「うん?」


「こっちは、桜花アリナ。夏海が遠征に行っている間に俺たちのクラスに転入してきたんだ」


「そうなんだ! 翔はアリナさんと随分仲が良さそうだね」


「アリナと俺は……その……付き合ってるんだ」


「ええええええええええええええええええ?!?!」


 俺がアリナと付き合っていることを伝えると、夏海が目を丸くしながら俺とアリナを交互に見る。

 しばらくの間、驚きを隠せないでいたが夏海は冷静さを取り戻すと素直に俺を祝福してくれた。


「翔、おめでとう! こんなに可愛い子を彼女にするなんて、やるね!」


「ありがとう、夏海。これからは、夏海もアリナと仲良くしてくれると嬉しい」


「もちろんだよ! よろしくね、アリナちゃん!」


 夏海は凄いな。すぐに『ちゃん付け』で呼んでるよ。

 アリナは夏海と握手を交わす。


「こちらこそよろしくお願いします! 夏海さん!」


「うん! よろしくね!」


 夏海がいてくれるのは有難いな。二人はすぐに仲良くなれそうだ。

 ここでは言えないが、後から同棲していることも伝えないとな……って思ったけど、どうせ夏海なら勝手に俺の家に来るだろう。その時にでも教えよう。実を言うと、夏海の家は俺の家の隣だし。


 そんな予想通り、夏海は俺に伝える。


「今日、翔の家に行くね」


「オッケー」


 行ってもいい? ではなく、行くね、と言ってくるところが何とも夏海らしいというかなんというか。


 そんな中、カズがニヤニヤしながら一言、言い放つ。


「翔の家に行ったらビックリするぞ~」


 その一言に夏海は不思議そうに首を傾げる。


「何言ってるの、カズ? 翔の家には何度も行ってるのに驚くことなんてないでしょ」


「いや、行けばわかるさ」


 夏海は「まあ、いいや」とカズの話を聞き流した。

 因みに、夏海も俺と同じくカズと呼んでいる。


「というか、カズもアリナちゃんと仲良いの?」


 あ……夏海、それは聞かないほうが……。カズのためにも。

 まあ、もう遅いんだけど。


 カズは苦笑いしながら答える。


「あー、俺は桜花さんが転入してきた日に告って、玉砕してます。ははは……」


「あー、なるほどね。なんとなく理解したわ」


 え……?

 軽くねっ???

 夏海は自分で聞いておきながら、何の驚きも見せることなくあっさりと対応した。夏海には聞かなければよかったとかっていう申し訳なさは感じていないのか!?


 カズは俺以上に驚いているようだった。

 カズ、ごめんな。俺のせいで、そして俺の幼馴染があっさりと流しちゃって。

 ……ほんとごめん。


「それじゃあ、もうすぐチャイム鳴るし席に戻るね! 今日はみんなで一緒に帰ろうね!」


「おう、じゃあまた後でな」


 夏海はアリナを連れて自分の席に戻って行った。

 偶然にも夏海の席はアリナの隣の席だった。


 俺は、二人が話しながら席につくのを見て、これからは俺、アリナ、カズ、夏海の四人で集まることが多くなるだろうと内心嬉しく感じていた。

 今日も恐らく、俺の家に四人で集まることになるだろう。


 俺は、自然と笑みを浮かべていた。


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