荒れ果てた大地。
魔界の大地はひたすらに荒野が続いていた。
草木一本も見えないそんな景色に疑問も湧く。魔族であっても食事は必要な筈だし新鮮な野菜も好きな筈。少なくともクロムはそういう娘だった。
もともとがこんな過酷な環境なのだとしたら……。暮らしていくのも大変だろうと思うし表の世界に移住してくる気持ちもわかるけど。
しばらく進むと廃墟があった。かつて人が住んで居たであろう、そんな瓦礫の街。
「流石にここにはもう生き残りは居ないか」
「まああれだけ蹂躙したんだししょうがない。なに、あいつらはゴキブリ並みにタフなんだ。きっと別の場所で繁殖していやがるさ」
「魔族の持つ魔石は質が良いものが多いからな。今回も期待したんだが」
通りすがりに兵士たちがそう話すのが聞こえる。
ああ、胸の奥が苦しい。
ドス黒い感情が湧いてくるのを思いっきり抑え込み、なんとか冷静さを保つ。
そうか。そうやって蹂躙してきたのか。
思えばこの魔界に入って最初に遭遇した魔獣にしても、あれらにこちらを攻撃する意図があったわけでは無かった。
只々そこに居た、そんな場所に出くわしただけ。
結局一方的に攻撃して殲滅したのだ。
たぶん。この100年の間同じような事を繰り返してきたのだろう。
枯れた森があった。ううん。違う。燃え尽きた荒れ果てた森、だ。
黒炭になった木。干上がった泉の跡。ここで大規模な戦闘が、特に炎系の大魔法が使われた形跡が見て取れる。
荒れ果てた荒野。気象の悪化やそういう元からの自然の影響が無いとは言わない。たぶん、もともとの魔界は表の人間界に比べて過酷な土地だったのだろう。たぶん。
でも。
それでもここで暮らしていた人々がいた筈なのだ。
それを、こうも。
こうも蹂躙し破壊してここまでの廃墟に変える暴挙。
あたしは、あたしは……、
許せなかった。
☆☆☆
何度かの魔獣との遭遇、何度かの戦闘を経て、隊列は目的地に到着したようだった。
魔族の集落? 砦? そんなように見える建物がそこにある。
でも。
あの中には人の気配、魔力の気配は一つしかない。
とても大きな魔力。まさか、と、そうも思ったけど。
「ふむ。斥候に確認させたがあそこはもはやも抜けの空、だな。大量に魔族が集まっているという情報だったが」
「我々におそれをなして逃げ出したのでしょう。どうします? 周囲を捜索させましょうか?」
「スカーレット様。中心にとても大きな魔力を感じます。もしや、魔王でしょうか?」
「ああ、それなら好都合だ。逃げられないよう周囲に結界を張って先制の極大魔法をぶち込むぞ!」
「ええ。このラクリエットにお任せください。極大の爆裂魔法を放ってみせますわ」
「まあ魔王がそう簡単にくたばるとも思えぬ。が、砦に篭られるのも厄介だ。爆裂魔法で引き摺り出してやろう」




