山猫亭。
お昼になったので一旦外に出て昼食を頂くことにした。実は頼めばタビィが軽食くらいなら用意してくれるんだけどそれもちょっと味気ないしね。
目の前の食堂、山猫チェーンの山猫亭で美味しいご飯をたべようかってアルルさまが仰ったので、はうあうあたし転生してからこういうお店でご飯食べるの初めてかもとちょっとウキウキしてアルルさまについて行った。
当然クロムもアルルさまのお付きの人も一緒。
セバスも珍しく一緒に席に着いた。
「こういったお店ではこの方があなた様方を守りやすいですしね」
と、セバス。チリンと呼び鈴を鳴らしお店の人を呼ぶ。
あたしたちが案内された席は窓際ではなく一番奥のテーブル席。猫足が可愛いロココっぽい意匠の白い木のテーブルにこれまた白いテーブルクロスが掛かってる。縁にはしっかりとレースで彩られキラキラと輝く宝石のかけらがあしらわれている。
ちょっと広めにスペースがとってあるけどもしかして?
「予約してましたからね。お店側でも配慮してくれたのでしょう」
そうにっこりと微笑むアルルさまのお顔は少しだけ得意げに見えた。
オーダーをとりに来たウエイトレスにメニューを見ながら注文する。お肉のセットや麺料理、なんとオムライスまであったよ嬉しい。
あたしはきのこがいっぱいなあんかけオムライスを注文。クロムもあたしと同じのにしてたけどこういうのも嬉しい。離宮ではいつもご飯は一人で食べててクロムやセバスと一緒にテーブルにつく機会なんて無かったしね。
美味しいご飯を食べ終わったところで。
「暫くこの国に来られないかもしれません……」
そう悲しそうな色をしてアルルさまが言った。
はう!
逡巡しているような色と悲しい色、そんな色が移り変わる。
誠実なのは変わらないけれどなんだか迷っているような、そんなお顔で。
「魔王討伐戦、次の出兵では私も出ることになったのです。ですから……」
ああ。そっか。
だから……。
「だから魔王討伐戦争について書かれた御本をお調べになっていらっしゃったのですか?」
「まあ、そういうことです……。戦争の大体の様子がわからないわけでは無いのですよ。うちの国にもちゃんと報告があがって来ますからね。しかし、根本的な所でこの戦争の意義、意味が私にはわからないのです……。ですから……」
「こんな戦争、何故続いているのでしょう……。何故終わらないのでしょうか……?」
戦争は、嫌だ。
巻き込まれて理不尽に命を奪われるのは嫌。それが他人であっても、知人であっても、そしてそれがたとえ魔族であったとしても。
浅はかな考えかも知れない。もしかしたら前世の平和な世界の記憶がそう思わせるのかもしれない。でも。ダメ。
「元々は一つの予言がきっかけでした。『魔の世界に魔王が現れ、そして表の世界をも滅ぼすだろう』と語った稀代の大預言者、カサンドラ・ジラーフ。かの者の予言に全ての国は恐怖し、そして魔界に攻め入ったのです」
アルルさまはそう遠くを眺めるような目をして語った。




