魔王復活の儀
「これより魔王様復活の儀を開始する」
周りの魔物たちが威勢のいい声で盛り上げた。
「幹部たちよ前へ」
マーラはこの日に備え幹部たちも復活させていた。これで魔王軍完全復活というわけだ。
「私イブリース、サターン様の仰せのままに」
「私パズズ、サターン様の仰せのままに」
「私ラーヴァナ、サターン様の仰せのままに」
「私ダエーワ、サターン様の仰せのままに」
「ブブブ・・ブブブブブブ(私ベルゼブブ、サターン様の仰せのままに)」
次々と幹部たちが前に出てきて片膝をついて挨拶をした。
イブリースは角が生えており長髪で肌の色が白い、羽が生えており見た目は天使のようなイケメンだ。腰に刀を差している。
パズズは去ると人間の顔を合わせたような顔をしている。モヒカンのように毛が生えており悪魔のような羽が生えている。
ラーヴァナは顔が三つありどれも表情が違う。手が九本ありあまたの種類の武器を腰に差している。
ダエーワは鬼だ。腰に巻きものをしているだけの裸同然の格好だ。棍棒を背中に差している。
そして最後は虫だ。おそらくベルゼブブだろうと思った。虫だ。
「これより魔王様に今後の方針を語っていただく。心して聞け」
(え?なんも聞いてないんだけどぉぉぉ)
「よろしくお願いいたします」
(落ち着け・・・落ち着け)
「この世界を支配する」
これは俺が今日考え出した答えだ。元人間の俺はやはり人間を滅ぼすことはできない。しかし、魔族に不信感を抱かれては大変なことになってしまうため俺は人間たちを配下として支配することにした。
「ウォォォォォォォォォ!」
周りの魔物が興奮している。魔王の世界征服の話を聞いてテンション上がったのだろう。
「うるさいぞ貴様ら、無礼であろう。消し炭になりたいのか」
マーラが叫んだ。
「それではサターン様今スグに人間を滅ぼす策を練りましょう」
(それはだめだ、早く止めないと)
「ま、待て、マーラよ」
「申し訳ございません。何かご不満がございましたか?」
「私は人間を支配する」
(コミュ障の弊害がぁぁぁ止めたはいいがこれじゃさっきと同じこと言っているじゃないか。訂正を・・・)
「そういうことですねサターン様。私勘違いをしておりました。出過ぎた真似をお許しくださいませ」
「ゆ、許そう。代弁してくれ」
「承知いたしました。皆よ聞け、魔王様の世界征服は人間を滅ぼすといことではない」
「どういうことですか?サターン様」
幹部の五人が一斉に反応した。
「話を最後まで聞け。魔王様の人間を支配する発言。それは人間をも魔王軍の配下として労働させ利用する。それすなわち魔王様の独裁国家を形成することだ」
「ウオォォォォォォォ」
魔物の歓声の声が聞こえた。
(な、なんとかなった~マーラが有能で助かったぜ)
「申し訳ございませんサターン様。最後まで聞かず出過ぎたまねを」
「ゆ、許そう」
「ありがとうございます」
「まずは何をしましょうか?サターン様」
「そ、そうだな」
(魔王らしいことにしたほうがいいよな)
「一番大きな都市の王女をさらう」
「王女を人質に人間たちの動きを制御しようということですね」
「そうだ」
「承知いたしました。これよりメトロポリスの王女を人質として確保する。誰が行きましょうか?サターン様」
「私が行く。他は手を出すな」
「サターン様が出向くまでもありません。私ダエーワが参ります」
「黙れダエーワ。だから貴様は馬鹿だといわれるのだ。サターン様の目的が分からんのか」
「あ?側近だからって調子乗るなよマーラ」
「騒々しい、沈まれ」
熱くなっていた二人が一気に静まった。
「申し訳ございません」
マーラとダエーワの二人が言った。
(やった今日練習したかいあったぞ。とりあえずマーラに説明してもらおう・・・俺は喋れないしな)
「マーラよ説明してやれ」
「ハッ!王女をさらうことは幹部であれば誰だってできる。しかし、魔王様自身が出向くことにより魔王が復活したことを人間に伝え恐怖を植え付けることができる。そうですよね、サターン様」
(手荒な真似をしたくなかっただけだけど・・・まぁいいか)
「さすがだなマーラ」
「もったいなきお言葉。それではこれにて魔王様復活の儀を閉会する。魔王様の付き添いは私が勤める。その他のものは待機だ。備えだけは怠るなよ。では、散」