《明日へ》&《sunset》
《明日へ》
さあ
明日へ
歩いていこう。
走らなくていいんだ。
ゆっくりでいいから
一歩ずつ
一歩ずつ
進んでいくんだ。
怖がらないで
明日の輝きを
道標とし
前を向いて。
君の人生は
君のもの。
誰のためでもなく
世界に
一人しかいない
君という
人間のために。
人間は
醜い
とかいうけれど
美しさの中に
醜さがある。
醜さの中に
美しさがある。
それと同じで
明日への
不安の中に
明日への
希望が。
今日という
過去の中に
明日という
未来が。
さあ
進もう。
でも
もし
怖かったら
僕が
傍にいるから。
そして
手を握って
一緒に
歩いていくよ。
(明日という君への、僕からのメッセージ)
《sunset》
或る日の夕方のことでした。
太陽が
月に
支配者の座を譲り
闇が
広がっていきます。
星たちも
きらり
きらり
と姿を現しました。
月が言いました。
『今日は新しい仲間が来るんだ』
星たちは顔を見合わせました。
きらり
きらり。
光りながら
お喋りしていました。
すると
新しい星がやってきたのです。
『やあ、君が新しい仲間なんだね』
新しい星は頷きました。
『さあ、今日も明るく闇を照らそう。』
月がそう言うと
星たちはまた
きらり
きらり
と
軽やかなステップで
踊りはじめました。
暫くたち
ある星が尋ねました。
『ねえ君。この言葉の意味、分かるかい?』
新入りは首を傾げます。
『愛してるよっていう言葉なんだ。』
その瞬間
新入りは
より一層
明るく
強く輝いたのです。
『知っている。』
その答えに
星たち
ましてや月も
くるくると
踊ります。
『何なんだい?』
新入りは答えました。
『信じることだよ。そして…』
言葉は途切れてしまいました。
月も
星たちも
とても知りたかったのですが
新入りが黙って
きらり
と踊ったので
聞くのを止めてしまいました。
もうそろそろ
太陽の時間です。
眠りにつく前に
新入りが言いました。
『愛してる…それは伝えることだよ』
オレが人だったときは
そういう意味だった。
そう付け足して
静かに
目を閉じました。
その頬に流れる一滴の涙は
朝焼けで
赤く
ほんのわずかだけ
光り
落ちていきました。
(あの人との思い出が己を人にするようだ。)
新入りの星はもう愛することができない―伝えられない―から涙を流したのです。