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《恋の駆け引き》&《moonlight》
《恋の駆け引き》
暑い
暑い
暑い
とにかく暑い。
頭がおかしくなっちまうんじゃねえか。
夏はもう過去となり
終わったはずなのに。
なんでだ?
しかし
突然閃く
オレの頭。
暑い
のではなくて
熱い
のだ。
背中に感じる
彼奴の視線が
オレを
熱くするのだ。
もう
秋なのに。
気付くのが遅かったか
それとも
まだ間に合うか?
さぁ
オレのハートで
彼奴の心を
焦がしてやろう。
その熱で
こっちがやられる前に。
(気付かない夏と気付かされる秋。)
《moonlight》
それは
或る夜のことでした。
雲一つなく
美しい月が
夜を支配していました。
少年は
その滑らかな肌に
涙を
滴らせ
真っ暗な闇を
見つめていました。
少年は
何か呟き
目を閉じて
ただ
ただ
涙を流しました。
その呟きは
闇に
溶けていきました。
そして
少年は
帰っていきました。
少しの静寂の後
星たちが
顔を出しました。
星たちは
小声で
少年の言った
美しい言葉を
真似していました。
意味は
分かりませんでしたが
心の奥が
優しく
包まれたのです。
もうすぐ
夜が
終わります。
最後に
月が
言いました。
星たちも
言いました。
『愛してるよ』
月と星たちは
眠りにつきました。