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09 戦闘狂

「うっひゃー……まじかよ、全部ぶっ壊れてるじゃない」

 19ビバークからバイク偵察で早朝の平野を走ったレベッカ・クラムは大げさに両手を挙げて見せた。

 目の前にあるのは、おそらくハーキュリーズの残骸。

外郭の板は全てなくなり、肋骨のように細かな柱が立つのみ、すでに飛行機という形が一切ないそれを偵察部隊は見つけていた

「……おいおい、うそだろう。こんな戦闘をするなんて誰も聞いてやせんぜ……」

 15ビバークから共にバイクで走ってきたライリー・アイビスは短く刈り込んだ髪をかきむしった。

 散乱する飛行機のパーツは広範囲に及び、火の残り具合から太陽が出る少し前、薄紫のカーテン頃に爆破されたと推測できた

「とりあえず状況報告用の写真を何枚か撮って、あと何を探せっていうのかな?」

 レベッカは細い目をさらに細めて、黒い煙が地平線をさすらう草むらを見る。

 朝一番の偵察。

涸れ谷に落ちたエウロパの翼、現場は惨憺たるものだった。

 大地を這う冷気、冷たいそれとはまったく違う熱量。

そこかしこの草に飛び、小さく火で穂をゆらす状況に同行した来たライリーは慌てていた。

バイクから飛び降りると、冷静さなど微塵もない声を挙げて残骸へと分け入る

「おーい!! おーい!! アデーレ!! どこにいるのさ!! 可愛いいアデーレやーい!! 返事しておくれよ!!」

 走り寄る湖畔は真っ黒な泥を水面に張ったようになっている。

流れ出たオイルに持ち込んできた機材から出た油、いろいろな物が混ざり自然界にある淡い色をかき消し、鼻を曲げたくなる焦げた匂いが充満している。

 ライリーはひたすら走り、ひっくり返ったストライカー装甲車を見つけていた。

爆破の勢いで何回か転がった車両は、落下で羽をなくし本体だけになった飛行機とは別にタイヤが溶けてホイールだけしかないがさすがに装甲車、側の部分は普通に形を保っていた

「アデーレ!! アデー……」

 必死に恋人を探すライリー、踏み込んだ車の中には、肉団子のように潰れ炭になった人の部品が見えていた。

燃え残った肌の色がアデーレとは違い小麦色だったことで、愛しい人の部品でないのを確認したライリーだが、不安が消えて無くなったわけではない。

 息を飲み腰をかがめて中に踏み入る。

車に積んであった荷物は殆どない、銃弾も爆弾も飛行機の破壊にちょうどよく使われてしまったようだ。

 もう一人目の屍体を見つける。

正規兵がつけるベストが焼け残っていることでため息をこぼす

「……だよな、飛行機ぶっ飛ばして転がった車の中になんか……居て欲しくねーすよ」

 爆破は敵が運び込まれた「資材」の全部を見終わった証拠。

敵が目当てのものを収奪し、以降これに触れるであろう西アメリカ軍を牽制している証拠でもある。

物が徹底的な破壊を受ける前に、当然人は死んでいると考えるのが普通だ。

 車から出たライリーの眼前には複数の屍体が転がっている。

焼けた棒切れのようになった腕や足を調べていく、肌の色や特徴。

唇を這わせ、余すことなく舐めた体、愛してやまない恋人の手足でないことを願いながらも、何度目かの絶望が背筋を駆け抜ける。

 立ち上がり天を仰いで息を吐く、空はうっすらと白い靄を張った曇り模様。

心模様を如実に写す

「いやですぜ、そんなの絶対に……、アデーレ返事して!!」

「はいはいはい!! 私の名前はデザード・ラッセンですよ」

 足元に広がった泥沼の闇から、真っ黒にそめられた影、なのに真っ白にしてガタガタに抜けた歯は満面の笑みを見らせていた

「探しに来てくれるとは嬉しい!! いやー参りましたよー、突然爆破してここまで飛ばされちゃいましたよー」

 数秒の間をおいてライリーは悲鳴をあげていた。

ボーイッシュで刈り上げ頭の容姿、顔も優男風を作っていた彼女の黄色い声に、残骸の中で資材回収をしていたレベッカの目がまん丸に開く

「なんなの!! 敵?!!」

 オイルまみれの黒い塊に思わず銃を向けるほど

「私ですよ!! 熱心すぎる科学者ラッセンですよ!!」

 陽気すぎる声は、悲鳴を出し終えポカンと口を開けたままになっているライリーの両肩を抱く

割れたメガネと歯抜け顔、暴虐の嵐であった戦場あとにただ一人残った生存者、デザード・ラッセンは目覚めの良い朝を迎えてたような笑顔を、呆然としている2人に向けていた。



 東アメリカ州郡国は国家という名称を持ってはいるが中身は西と比べ国と呼べるものではなかった。

国家を厄災へと貶めている最大の原因はイエローストーン大爆発を拡散させるガス抜きの作戦の失敗にあった。

一箇所で大規模爆発を起こさせないよう作った隧道は、未だ各所へと溢れ出たマグマと噴煙を流し続け東部各州を年次で痛めつけ続けているからだ。

 ワイオミング州、アイダホ州、モンタナ州、各所に作ったガス抜き隧道により煤煙は広く出口を走り偏西風に乗り東部主要都市に太陽を与えない灰色の世界を作って久しい。

広く青空を覆う粉塵と煙の世界は、コロラド、カンザス、ミズーリ、五大湖より北に人の住める土地を失わせていた。

 首都ワシントンは灰が降るギリギリに位置しており、宇宙時代に向けて作られていたエアロシェルターで町全体を覆っているという有様だ。

 ワシントン以南の都市にはエウロパからの移民と従来からこの地に住むアメリカ人が混在しており、下層階級の労働者をフル回転で動かせる工業都市のせいで環境汚染は深刻だった。

 一握りの上位階級が各々の州を治め、故郷を追い出され荒くれ者となった市民があふれた結果、利己的治世の安寧と不平市民の圧政を課すために私兵として亜人を使ったのが東部国家の始まりだった。

 東アメリカ州郡国とは富裕層にして知性的人類が政治を行い、移民と下層階級の人間が報われることなく働く国。

これら人の区別を徹底するために作られた亜人により成立した格差社会を体現した国家だ。

 瀕死の国を守るという名目でタガの外れた科学が作り出した亜人は、兵士として厳しい環境及び地域に続々と配備され、貧しい人間が逆らわないよう私服を肥やす者たちの私兵として飼われ、溝の深い階層を作った歪な社会の不平不満は太陽をみられる西海岸と迫っていた。

 亜人による侵攻は、過酷な環境に悩まされ健康な人類兵士では突破できなかった壁、灰を絡めた闇雨と日差しを遮る黒煙を打ち破り、長らく越えられなかったコロラド州デンバーを制圧。

引き続きデンバー起点に猛攻を続け物理的障害であったサン・イザベル国立森林公園を蹂躙し、人類国家である西アメリカにおいて最前線にして最重要都市であったソルトレイクを陥落させた。

 ソルトレイクの陥落は西アメリカにとって国家安全保障上許されざる侵攻であり、絶対防衛ラインの崩壊を意味していたが、以降2年、東州郡国の侵攻は思うようには進んでいなかった。



「ヒックス少佐の到着は明日になる……そうだ」

 ミーム・ディグラッセ大尉は簡素に作ったデスクに両足を乗せた姿で受話器を下ろしていた。

藍色の髪は艶を失わが、白銀の狼耳は受話器の向こう側で慌てる人類少佐の、くだらない見栄やメンツがよく聞こえていた。

 深夜から早朝にかけて終わった収奪作戦。

ダグウェイに戻ってすぐ早朝5時にソルトレイク市ユタ大学跡地に作られた東アメリカ軍前線基地へと作戦の終了報告をしていたが、返事が来たのは9時を回ってからだった

「明日とは随分と気長ですね」

 デスク前に広げられた長椅子、イゴレット軍曹と他3人が装備をばらし帰還後の点検をしている

「総司令部に上申してからしかここにはこない、マイトレイヤー2階級特進大佐が道半ばで天に召されたことがよほどに羨ましかったのかもしれんな」

 普段から厳つい顔を顰めたイゴレット軍曹の軽口に、周りを囲む男たちは笑う

「羨ましいのではなく、恐れているのだろう」

悪戯な目と笑う口を見せるミーム大尉に言われなくてもイゴレット軍曹たちもわかっていた。

東アメリカ軍はソルトレイクを越えたところで灰色の世界から青空が少なからずみられる地域に入った。

 ソルトレイクは憧れの赴任地になったのだ。

が、そこより先は踏み入るのが恐ろしい。

 亜人は元々劣悪な環境でも体力気力を維持できるように作られているが、人間はそこまで丈夫じゃない。

ソルトレイクは憧れの土地だが、飛び地なのだ。

後ろには山岳地帯であるツイン・ピークスがあり、間に荒地を挟んだ向こう側に2年前まで前線基地だったデンバーがある。

 互いへの距離は350キロ。

無論間に小規模基地は点在するのだが、空気清浄化ができ人間士官を多数擁し、食料に不足のない基地となるとデンバーまでが人間士官が安心できる土地だ。

 開けた環境であるとはいえ、不意の事態でデンバーへのラインが切れると逃げ場がない。

孤軍奮闘が名誉になるほど軍人が尊ばれない東アメリカ軍において、せっかく切り取った日差しの地は飲めないワインのように鮮やかで、赤き警戒色故に人間士官たちは基地間の移動に対して異常なほどの注意を払っていた。

「明日早朝0800時にこちらにつき、0830時には戻るそうだ」

「早漏ですな、独りよがりなプレイをする奴は後戯で必ずお里自慢をする。無駄にダラダラと」

「お前はそうなのか?」

「自分は強靭なる紳士ですよ。我らの尻を狙っている司令部のオスモドキのことです」

 下世話なジョークを飛ばすイゴレット軍曹、笑う一同、唯一つまらなそうに指を回してみせるミーム大尉。

整った爪を持つ指先に絡むタバコの煙が部屋を彷徨う、自分たちに連れてこいとは決して言わない人類士官のメンツというものに呆れていた

「私たちが連れて基地へと「凱旋」はされたくない、だから仕方なく迎えに来る。そしてそそくさと帰る。楽な仕事だな」

「ただで来てもらっては困ります。自分が発注を送っておきました医療品リストに武器弾薬の補給と食料パック、十分な仕事をしたのですからそれに見合う分を確保しないといけません」

 締めるところはがっちり締める。

来るのならば手土産も要求する、厳しい岩のようなごつい顔が繊細に供物を計上する

「上出来だ軍曹、重傷者の移送は明日私が申しでよう」

 半分まで吸ったタバコを指で消す、ナイフのように尖る目線。

イゴレット軍曹は一通り終わった装備を仕舞うと立ち上がり窓の向こうへと視線を向けた。

 ダグウェイ西口ゲートからスタークロードに平行に添で立つ兵舎、奥には駐留軍の簡素ながらも整然と組まれたブロックハウスが並んでいる。

ここは1つのアメリカがあった頃は図書館があり、道路とは反対側に扇状に広がる中庭を持っていた。

今そこには昨日からの作戦で怪我を負った多くの亜人兵が休息を味わっている。

 マイトレイヤー少佐の愚直な行動で25人以上を失い、ミーム大尉の苛烈な作戦でさらに1人を失った。

自分の指揮下以外の兵士が多かったが、たった半日の作戦で30人近いの死者を出したことをミーム大尉は正直に恥じていた。

窓の向こうでは少ない医療品を分け合い傷を癒す仲間を見る

「無駄ではなかったと思いたい……」

「大尉、戦うのは我らの本分です。問題は荷物が見つからなかったことですね」

 見つからなかった荷物。

当然見当たらなかったことは司令部に報告してあるが、実際に荷物の有無はわかっていない

「心配ない、エウロパの翼が本物かどうかさえ司令部は確認していない」

「しかし……「箱」はありました」

 荷物を運んだと思われる箱は確かにあった。

合金製のパッケージに分厚い蓋を持った箱、その中は銃弾を滝のように浴びたミンチ肉が埋まっていた。

 実験素体の回収に来て、更には回収不能を決断した西アメリカ軍の兵士によって徹底的に破壊されていた。

性急すぎた強襲作戦は失敗だったと言わざる得ない、問題は責任のありかだがミームの目に曇りはなかった

「現場に行かない士官様には箱の中身を知る術はない。奇跡でも起こって検証に行きたいと言われても飛行機は落ちて大破、証拠も機械も闇の中だ。逆にあの状況下で捕虜が取れた事の方が奴らも嬉しいはずだ。死に損ないの士官が2人、子供兵が2人に女が2人とバラエティに富むメンツでな」

「士官の尋問は我らではできませんよ」

 金色の目玉が戸口を睨む、街道沿いに作られた粗末な牢屋、中に押し込めた少女兵たちの姿に向かって

「士官などどうだっていい、女たちと話しをしよう。我らにはその方が有用だ」

 司令部からは「士官たちの尋問はこちらで行う、負傷者は治療を施し決して殺さないように」と通達されている。

それが、西アメリカの正規軍人を捕虜にとったという彼らのメンツなのだ

 だが2年の硬直状態を続ける現在の前線を知っているのは中央からきたピカピカの士官ではない、むしろいつも牙剥く顔を突き合わせている年少兵の方が前線の何たるかを良く知っている。

ミーム大尉にとって、この時は箱の問題よりそちらの方が重大だった。

 


「私たちは鶏? 道端の小屋に放置とか見世物みたいじゃないかい」

 ダグウェイの正面ゲートをくぐり道路沿いに並べられた個別の箱、輸送物資を詰め込んでいた箱に有刺鉄線で巻いた簡易的牢屋の中でマッカーシーは遠巻きに自分たちを見ている亜人兵に違和感を感じていた。

 ここに着いた時からそうだった。

亜人兵たちは戦勝に喜び、負傷者を運ぶ作業にしばらくは没頭していた。

 同じようにここへと運ばれたピラ少佐とロバート中尉は兵舎の中でもひときわ大きい旧ダグウェイ庁舎へと担ぎ込まれていた。

 騒がしい環境、溢れる亜人兵たちの中、残された生贄である女たちの処遇はまだ何も決まっていなかった

「こんなに男がいるのに寄ってこないってどうなのよ。私いい体してる思うけどねぇ、乱暴されたいわけじゃないけど、遠巻きに見られるだけって気持ち悪いわ。この視姦とも違う状態をなんていっていいのかしら、ひょっとして亜人ってホモなの」

 声高だった、少しの挑発は間違いなく込められている声に、となりで猫のようになるくなって寝ていたルツは言う

「聞いてみたらいいじゃん、お前らホモなのーって」

『ホーモ、ホーモ?』

 ルツとリアムは一緒になって鳥かごのように三角錐に作られた牢屋に入っていた。

リアムは頭から焼け焦げたキャンバスシートをかぶされ、顔にはこってりと血を塗ってある。

デッキからすくい上げたオイルと血、ゴミの混ざった顔は火に焼かれ爛れたように見える

『ルイーツ、ルイーツ、ホーモなの?』

「私は普通だよ、アウラリアは静かにしてて……、野郎が寄ってこないのならその方がいいよー、マッカーシーも静かにしていようよー」

「わかってるわよ、あんた傷は治ったの?」

 様子や出方を伺う言動を理解しながらもうずくまったままのルツが気になるマッカーシー。

止血は出来ても傷がふさがるとは思えない

「ルツ、怪我は?」

「大丈夫だよー、ちょっと寝てればなんとかなるよー」

『なんとかなるよー、なんとすねー』

 割座でぺちゃんと座りルツの言葉をオウム返しするリアムは、側から見れば明らかに「気を狂わせてしまった子供」に見える。

この調子でいてくれれば、男に手を出されるのは後回しになるとルツは考えていたし、横並びの牢屋に放り込まれているメアリー博士にリアムの処置については従うように言い聞かせてもある

『野郎はいやー、だねー』

「そうイヤイヤでいいの」

 メアリーはルツの提案にふわふわの乗っているリアム以上に狼狽し憔悴仕切っていた。

アウトドアとは程遠い研究一筋だった彼女にとって外のさむい空気や淀んだ景色を見るのはショックだったらしく、ここまで来る間で何度も気を失っていた。

そのたびにここから先を生きるための方法をマッカーシーとルツが叩き込んみ、聞く野蛮の新鮮さに意識を遠のかせるの繰り返しで今に至り、自分を立たせるので手一杯。

 リアムの事はルツに頼らざる得ない状況だったが、時間とともにあれこれと自分の考えを話しだしていた

「あのあの、私ね思うのですよ。話し合えばもっとちゃんとした扱いをしてくださるのではないかと、きっと一緒に朝食を食べたいと思うのですよ」

 どこの主婦だ。

それさえしらないルツは返事もしない、マッカーシーは呆れた顔で指をゆらす

「あーあー、先生さん、ここは戦地で今敵基地なの、歓迎されてないのよ。別の意味ではウエルカムだけど」

「ウエルカムなら歓迎でしょう、だからねっねっ、話し合いをしましょって誘いをねっ」

 何度か話したマッカーシーはメアリー博士とのズレを補正する術を考えていた。

彼女の口から出る世界観がマッカーシーたちが生きてきた世界とは別のものすぎたからだ

「あー先生、本物(正規兵)には敵も知りたい事があるから簡単には殺さない、これはわかるよね」

「だから話し合いをしているのでしょう、私たちも参加したら部屋に入れると思うのよ。ここ寒くってそれに顔も洗いたいし髪も、できればシャワーを借りたいわ……」

 ここは戦場、今敵地。

何度もそういっいるのに、スポーツクラブに通うの主婦の立ち話のようなノリ。

「あーもー、それはさ所謂、女には別のウエルカムがあるのよ」

「歓迎されてるのに入れてもらえないなんて……ひどい話しと思うのよ、誰も来てくれないなんてねぇ……」

「ええ歓迎して挿れてくれるわよ、こっぴどく。いろんな男が入れ替わり立ち代り競うようにね」

「ほらほら、やっぱり本当は大歓迎なのね」

「男にとって嬉しい捕虜だからね」

「レディーファーストは紳士の正しい対応よ」

 ズレズレの会話に頭が首から外れそうなマッカーシーは満を持して言った

「先生さんよ、戦場で捕まった女は性奴隷で男の玩具なの」

 それまで艶やかサロンの立ち話会だった場が凍る、メアリーは首を否定と横に何度もふった

「そんなの人権に反するわ……倫理委員会に……」

「人権って何? 何ライチ? 美味しいの?」

 さすがのメアリー博士も次に突っ込みを入れる余裕はなかった。

真顔のマッカーシー、道路を挟んだ反対側に溢れる亜人兵。

 普通の成人男性よりもひと回りは大きい彼らの体、傷を治すために脱いだ上半身の肉付きはボディビルダーの群れを見るような光景だ。

こんな男たちに押さえつけられたら体は保たない、凍えた背筋の氷が割れて崩れるように鉄格子にもたれかかったまま崩れ落ちた

「……リアムのためなら、私もそれは覚悟しないといけないという事ですよね……」

 涙声が俯いたまま言うがマッカーシーは同情などしなかった

「あー結果論から言えば穴さえありゃ男はなんだっていいのよ。でもって若いの好きだからリアムちゃんは頭に袋でもかぶせてやるんじゃない」

「リアムはあんなに汚れをつけて、火傷という事で顔なんか見られないように……」

「言ったでしょ、関係ないのよ。そこに穴があればいいのよ」

 顔なんか関係ない。

戦場でのレイプに年齢や容姿は関係ない。

綺麗事ではないのだ、人権蹂躙のもっとも卑劣な戦法であり相手を精神を破壊する低コストな方法にして、男たちによる憂さ晴らしなのだ

「そんな事は絶対に刺せない、アウラリアは私が守るから」

 ショッキングな会話に言葉を失しなったメアリー、場の空気を凍らせていたマッカーシーに言い返したのはルツだった。

丸くなっていた姿勢からリアムを抱きかかえるようにくっ付き髪を撫でる

「変な心配をさせるより、逃げる方法を考えるのが大事だよ」

 きつく尖った目はとんでもない事を口走っていた

「いざとなったらマッカーシーが脱いでくれるから、それで相手の隙をつくることだってできるでしょ」

 言われてびっくりのマッカーシー、点になった目が本気の目である赤い光を帯び始めているルツを見る

「……あんたねー……目はしまっておきなよ、見つかると順番狂うわよ」

 赤い目、光る目は亜人特有のものだ、見つかってどうなるかはわからないが、よくないのではというマッカーシーの配慮の前でルツの言葉は無遠慮だった

「最初はマッカーシーでいいでしょどうせ処女の部分なんて残ってないんだし、アウラリアを助けられるのならそのぐらい安いってもんでしょ」

 処女の部分。

夜業兵までやったマッカーシーにそんな部分は残っていない。

上から下まで確かに処女ではないが、体の事を「安い」と言われるのは、それもよりにもよって仲間に言われるのは心外である。

 機嫌を斜めにシンクした頭で空を睨むと言い返す

「あんただって残ってる部分少ないでしょ、その子の身代わりで全部散らせたいってことなの?」

「いいよ、そうなっても。そうなってもアウラリアを守れるのなら全然いいよ」

 何か変わった感じ、ルツの思い込みにも似た発言にマッカーシーはメアリー博士の方を見ていた。

違和感がそうさせたのだ。

ルツが他者の為に身をひさぐという違和感に

「ねぇ先生さん、なんなのこの子は、超能力者なの?」

 メアリー博士の目は明らかに泳いでいた、何かを隠すように

「言ってくれないと助けられないかも、じゃないとその子を売って私が逃げるかもよ」

 ルツには聞こえないようにマッカーシーは駆け引きをしていた

「名前は、リアム・アウロラよ。アウロラというのはローマ神話の曙の女神という意味で……」

「そういう事を聞いているんじゃないのだけど、その名前も気になるわね。なんでルツの名前をそれも本名を知っていたのか? あと彼女の名前はアウラリアじゃないの?」

 不可思議で不気味だった事。

どこかで名乗ったのか? ルツは自己紹介をここに来るまで一度もしていない。

同じく博士は彼女の事をリアムと呼んでいるのに、ルツはアウラリアと呼ぶ。

些細な事だが、不気味だった

「隠している事を言って、じゃないと助けない」

「助けを乞うのは同じ囚人にではなく私にであろう」

 張り詰めた糸であるメアリーとマッカーシーの会話を割ったのは屈強な男を2人連れたミーム・ディグラッセ大尉だった。



 その女は黄昏時の瞳と藍色を絡めた黒髪を持ち髪の中に尖る耳は白銀の色を光らせていた。

何より彼女の姿に驚いたのは、少女兵と呼ばれるルツたちと変わらない少女であったこと、しかし語る口調は毅然とし黄色の混ざらない大人の声であり、一兵士ではなく上位階級であることに

「人間は同じ人間と決して相容れない不可思議な生き物だ。戦地にて人間を観察した私の率直な感想だが、お前たちはどう思う?」

 横並びの牢屋の前に椅子を置いた女に対してルツは瞬時に湧き上がる嫌悪を見せていた。

背丈は自分と大差ない彼女が、獰猛な男たちを控えさせている姿に嫌悪を覚えたから

「動物らしい意見だねー」

 言葉に出るほどに、ミーム・ディグラッセ大尉をルツは敵とみなしていた

同じぐらい小声の嫌味にミーム大尉もイラついていた

「クソ人間、自分の立場が分かっていないようだな。私の前では媚びへつらえ、それが長生きの秘訣だぞ」

 手にはルツの装備であるハンドガン、ベレッタ。

座った椅子には馬を打つ鞭。

開拓時代の名残のようなアンティークな椅子に、近代戦闘に身を包んだ少女大尉は目の前に寝転がったままであるルツに向かって発砲した。

会話を楽しむ柔らかな態度の中に、しっかりと尖った牙を見せつけて

「スライドが甘くなっている、西の銃は作りが安いな。前線で戦う娼婦にはお似合いだが」

 弾はルツとリアムのいる牢を掠めていた

グリップを綺麗な石を飾っていたそれを手の中でくるくると回す 

「いろいろと不安に思っているようだが、淑女諸氏安心してくれ、私の部下は女を犯す事で憂さ晴らしをするような無粋な輩はいない。たとえ君達が娼婦であっても女としての尊厳を守ってやろう、貴様らが私に礼を尽くす限りでな」

 目の前に座ったミーム大尉、ルツは自分とあまり変わらない歳に見える彼女を下手から見ていた。

リアムを守るように背中の側に隠して

「さてそういった所で質問に答えてもらおう。西アメリカ軍はあそこで何を探していた?」

 乗馬用の鞭を片手に、並んだ牢を通しで指す

「誰が教えてくれる? おまえはどうだ? 名前は?」

 威圧的な存在として前に座るミーム大尉、前祝いの威嚇射撃に怯えたのはメアリー博士だけだったが、マッカーシーは注意深く返事した

「誰も知らないわ、私たちの任務は道案内だけなのだから。名前は言った方がいいの?」

「数字で呼ばれたくないなら」

「私はマッカーシーよ、別に数字でもよかったけど」

 顎を上げた生意気スタイルのミームにはマッカーシー冷静だった。

苛立ちを奥底に潜めた顔は、駆り出された兵らしい答えをはじき出し相手を探っていた

 気の短い女だと、注意の目をルツに見せて

「よろしいマッカーシー、別の質問をしよう。西軍は昨今ウェスト・ウェンドバーに兵を集めているか?」

「それこそ知らないわ、基地に行けるのは3ヶ月に一度よ。兵隊を見に行くわけでもない」

 そっけない返事に、ミームの顔は不敵だった

「チープだな、祖国への忠誠心で死ぬるのか? おまえたちを娼婦として扱う軍部に恩義もなかろう。仲間の為に命を張るなどあり得ない事だろう、知っいる事を話せば逃がしてやる」

 逃す。

意外な言葉だった。

東軍は捕虜を取っても逃がしたことなど皆無だ、前線で働いていたルツにもマッカーシーにも耳を疑うようなセリフで互いが思わす顔を合わせてしまっていた

「良い反応だな、クソ人間という括りで言えば男は最悪のクズだから即殺すが、女は少しましだ。私は女に寛大だ、質問にこたえれば逃がしてやる」

「後ろから撃つタイプだなー、その言い方は」

 転がっていたルツは体を起こし片膝の姿勢で即答していた。

今まで捕まった前線の少女兵は聞いただけても50人以上いる。

彼女が寛大であるなら、彼女に捕まった者の何人か帰っても不思議じゃない、言われるまでもなく国家に対する忠誠心などないのだから。

なのにそういう兵士にあったことがないという真実

「嘘は言わない私はここから釈放をする、外に出て帰らないのは君達の意思だろう」

「なるほどね、基地は安全だけど外は危険。出ちまったヤツがどうなっても知ったことではないという話か」

「当然だろう、そのままこのあたりに住み着いているのかもしれないしな」

 その答えの方が真実味があった。

前線で戦うより、ひっそりここで暮らす。ありそうな話だとマッカーシーは頷いた。

「にしても私たちからあげられる情報は何もないわ、それはどこに行っても変わらない、使い捨ての効く兵士だから。だから逃がしてよ、連れて行く価値はないわ」

 うまく切り替えした。

マッカーシーは利用価値がないなら基地から逃がしてもいいでしょうと、少しばかりぼかした物言いだったが、はっきりと頼んでいた

「賢しいな、年長者はこう言っているがそっちの女、おまえはどうだ?」

「ちょっと私年長者じゃないわよ」

 会話を恐れうつむいたままで表情の見えないメアリー博士より、若い。

思わず突っ込みを入れるマッカーシーをに度目の銃声が止める。

賢い答えを出したマッカーシーを用済みと見るミームの目に声は途切れ一歩引く

「黙っていろ順番だ。そして答えろ生きるために情報と……名前を」

 次の相手に指名されたルツは座ったままだった

「何も知らないよ、私はルツ、これでいい?」

「ならばその後ろのヤツ」

 不遜なルツを見下した目は銃口と共にルツの背に隠れたリアムを狙っていた

火傷の顔を見せて、名乗れ」

『私、私、私のこと聞いてるの、ねえ聞いてるの?』

 ルツの後ろでフラフラと頭を動かすリアム、スッポリとかぶったキャンバスのフードのした、血とオイルで汚れた顔は無邪気な返事をするが立ち上がるのを遮ったのはルツだった

「この子はアデーレ、もう頭も壊れちやってるかわいそうな子だよ」

 瞬間的に立ち上がっていた。

近寄って顔を見られるわけにはいかないという思い一つで口は滑らかに罵倒と告げていた

「あのなー動物、生意気に人間と口聞くなよ、拳銃持って脅しながら何が逃がしてやるだよ」

 リアムを狙う銃口に、少しずつ顔色を固くするミームを指で差し返して

「おまえらのせいでこんなことになってるのに、火傷した顔を見せて名前を言えとかデリカシーなさすぎだよ、あと人間ならまず自分が名乗れよ礼儀正しくさ」 

 大胆な庇い方は得策じゃない。

そう考えるマッカーシーの危惧はすぐに具現化していた。

1分前の穏やかな語りはなく、急に棘を見せた声は嘲りを惜しまず吐き出していた

「お前らクソ人間は互いを嗜虐したがる生命体だ。進化に取り残された下らない種である事に耳をふさぐためにあれやこれやと言い訳をする。愛とか、恋とか、優しさだの悲しみだのと、自分の精神を制御できない哀れな生き物のくせに、何かを守れるふりをするな? 自分の為に話せばいい、それが人間という怠惰の種らしい行動だ」

 銃を捨て立ち上がった苛立ちの化身、ミーム大尉は振るう鞭で牢屋を打つ。

「順番に殺してもいいんだぞ、つまらない感情を私に見せる必要はない。ありのままの欲に従い泣いて叫んで許しを乞うて吐き出せ、そうすれば楽に殺してやる」

 流し目の狂気はルツを睨んで近ずいていく

「そうだ火傷で死にそうなヤツは殺そう、情報もないなら尚更に必要ない。その顔じゃ生きるのも辛かろうしな楽に死なせてやりたいと考えるのが人間らしさじゃないのか? どうなんだ?」

 リアムを指した鞭の先をルツが押し返した

「アウ、アデーレをやらせない……いや……見捨てないのが人間だ!! 草でも食べて反省しろよ動物!!」

 鞭を持った手が止まった。

ルツとリアムの入った牢の前で、首がもげるほど横に傾げたミームの怒りは確定だった

「何度も言うな……私が動物だと……」

「動物じゃないっていうならここを開けろよ、人の真似して虐めるな」

 格子越しの2人、同じぐらいの身長ルツは息が触れるほどの位置で言い返していた。

「言われたくなかったらここを開けろよ犬野郎、生意気に服なんか着てるんじゃないよ!!」

 格子を押してみせるルツにミームは背中を向けた。

部下たちには顔が見える、彼女が怒りが頂点へと昇華したことを

「私は犬ではない……」

 白銀の耳がピリピリと噴火前の微震のように動く

「基地に帰ったら素っ裸で歩いてるってきてたのにガッカリだよ」

 煽る、次の瞬間ルツの牢獄は扉は破壊されていた。

暴風の音が耳をかすめるように、簡易的にだが強固に作られていた格子の扉をミームの腕が引っ張りあげ吹き飛ばしていた

「クソ人間、哀れなる滅亡の種に品格を求めるのは無駄のようだ」

 信じられない力だった。

ルツと大差ない体格、子供のような彼女の力は人の持つものとは明らかに違っていた。

脅威に身をすくめたメアリー、視線が固まってしまったマッカーシー。

ルツは前に出ていた、ここまできたら衝突は避けられないとどうせなら一撃食らわさないと気もすまない

「おそろしー、でもメスなんだあんた。だったら服脱いで尻尾立ててケツ穴とプッシィー見せびらかして歩きなよ。犬って盛ると際限なくやるんでしょ……やれよ雌犬腰を触れ」

 ガチン。

石のぶつかる音は鈍く腹を打つ。

言葉尻の呼吸を断ち切る一撃がルツの腹部を殴打していた。

右から襲い掛かったフックはルツの体を横っ飛びに飛ばし、道端の石のように何回も転がしていた。

 土と小石に揉まれ身体中を傷だらけにしたルツは転がりながら血反吐と黄色い胃液を垂れ流し、明らかに肋骨を折られた嗚咽が女とは思えない音を響かせていた。

側溝を流れるヘドロを吐くような色を前にミームは拳を握りなおしていた

「脆いな、骨が何本か折れた音だ」

 わかっていてやった。

へし折って、それを見せつける。

怯えた捕虜は穴の空いたキャッシュディスペンサーのように情報を吐き出す。

そのための贄にちょうど良かったという笑みに、まさかの反撃がぶち当たっていた

「大尉!!」

 イゴレットが立ち上がっている。

ミームの視界が一回転する殴打は、ルツの拳だった。

口からも鼻からも血を吹いた顔面の中に、意思のある強い瞳が鉄のような拳をぶつけていた

「キャンキャンっていいなよ……雌犬……」

「わからんやつだな」

 一回転、だが倒れないミーム。

軸足で威力を殺し回転を終えた体で首を鳴らす

「わからせてやろう、クソ人間の底辺よおまえの立場というものを」

 金色に光る目に、本気である事は誰の目にも明らかだった

「ルツ!! だめだよ!!」

 有刺鉄線で作られた格子を思わず押すマッカーシーの前、フラフラの体勢だったルツは顔面フィットのパンチを食らっていた。

遠慮など微塵もない鉄拳は、鼻っ柱と前歯を見事にへし折っていた。

吹き飛ぶタンポポの綿毛のように真っ赤な雫と前歯3つが空を舞う

「ルツ、友達とおそろいの顔にしてやろう。それが人間らしい友情というものだろう。顔面をぶち壊してやるよ」

 勢いが違う、殴れば軽い体が飛ぶ。

同じ体格なのに、筋肉を十分に駆使するミームの安定した重量にルツは完全に負けていた。

立ち位置での左ジャブも、信じられない破壊力でルツの右ほほを砕いていた。

顔の右側の形を崩したルツは言葉にならない罵倒を血反吐と共に吹いて気力だけで立ち上がる

「ルツ!! もう立つな!! 殺されちまうよ!!」

「うるひゃい!! 犬やろう!!」

 挑発にしても反撃の手立てもないのは命取りにしかならない、必死のマッカーシーだが流れた血で視界を、殴打で聴力を失っているルツに届きようもなかった。

 立っている事が奇跡な状態のルツへトドメの一撃は強烈すぎた。

きたえられた軍人であるミームの腕は強い、広背筋の膨らみがわかる背中をしっかりと引きつけ放つ一撃は棒立ちになっていたルツの顎を真下から見事に打ち抜いていた

「ソルトレイクまで保つといいな。……汚らわしい」

 縦回転で体を浮かし、そのまま地面に体を打ち付け痙攣を見せるるつの体をミームは容赦なく蹴っ飛ばした

「それと私は犬じゃない、私の名前はミーム・ディグラッセ。この部隊を仕切る大尉にして戦闘に長ける狼である。覚えておけ!!」

 無理だろう。

意識をつなげる神経もズタズタに切られたルツに、届きもしない言葉を吐き捨てミームの拳に残っていたルツの歯、それを払い捨てた。

 ルツは下顎を上あごに縫い付けるように圧縮された顔のまま倒れていた。

眼球が飛び出してしまうのではないかという衝撃、脳天を五寸釘で撃ち抜かれる痛みで意識はとっくに飛び、仰向けに倒れた姿はハンマーで耕したように顔面破壊をされ原型を残していなかった

 圧巻して惨状である目の前の出来事にマッカーシーはうなだれ目を閉じ、メアリー博士はショックで気を失っていた

「クソ人間、殺さない私の温情に感謝しろ。潰れた顔面を隠して人間に可愛がってもらうがいいさ、穴さえあれば使ってくれる、人間は人間を蹂躙する事が大好きらしいからな」

 ミーム大尉の気は晴れたのか尋問はそこで終わった。

男たちは治療する事もなくルツを牢屋に放り込み、リアムは飛び散ったルツの歯を探していた

『はーはーはーはー、はー、貴女の歯ーはどちらですかー』と、這いずり回り不憫な女の子の姿を周りによく知らしめていた。







06話から08話を小規模な改定しました。

よろしければあわせて読んでみてください。

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