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30歳の異世界秘密基地  作者: 康成
4/10

第3話 ポータブル露天風呂①

ピッピピピというスマホからなるアラーム音で目が覚めた。


 時刻は、6時。


 昨日のアルコールが若干残り、だるい気もするが、

 澄んだ空気、小鳥?だろうかの囀り、滝からはマイナスイオン(この世界にあるのかどうかは分からないが)が大量に発生している、清涼感溢れる朝に自然と体もおきだす。


 「フッシュー」


 冷たい川の水で、顔が引き締まり、目がさめる。思わず声が出てしまった。

 ジャージのすそで顔を拭ったあと、空いた缶ビールや、鮎の食べ残しなどをスーパーの袋に詰めていく。


 「放置して、虫がわいても嫌だしね」


 焚き火は、もう消えてるようだった。念のため、缶ビールで水を掬いかけて、完全に火を消しておく。

 寝たばこなど消したと思っていても消えてなく火事になったりするから危ないのだ。まぁ、寝焚き火をしている時点でいえた事ではないが。


 一通り片付けおわり、ゲート{転移/異世界門}を開き、自宅へと転移する。

 

 ビニール袋を居間のテーブルに置き、ジャージをぽいぽいと脱ぎ捨て、シャワーを浴びる。


 捻れば出てくるお湯のシャワー。異世界のようなアウトドアな感じもいいがやはり文明の恩恵もこういったときはありがたいと思う。

 数秒とかからず、異世界と現実世界を行き来できる能力は本当にすばらしい。


シャワーを浴び終え、昨日コンビ二で買ったパンをほおばりながら、TVを点ける。

夏休みが近いからだろう。関東近郊で行けるキャンプ場特集をやっているようだ。


「まぁ、社会人に夏休みとか関係ないけどね。電車がすくくらい。まぁもうそれも関係ないけどね」


ズッズズズと、お茶を一口含む。

実にのんびりとした朝だ。


時刻は、7:10


いつもなら既に電車に乗っている時間であり、こんな時間に家にいたら、駅まで汗だくで走っているところだ。


しかし、ゲート{転移/異世界門}を手に入れた今や!電車に乗る必要もなければ、出社時間なんてものの数秒だ。


ギリキリまでゆっくりしていられる。

悪魔?男は、ギフトと呼んでいたが、まさに最高の宝物だ!

神に感謝! 名前、分からないけど。



「ここでは、体験コーナーとして、キャンプ場ならではのお風呂を子供たちが楽しんでおります。湯加減はどうですか?」

ボーイスカウトの格好をしたアナウンサーが子供たちへとインタビューしている。

子供たちは、お湯をバシャバシャと叩きながら、気持ちいいです!などと答えている。


「これは・・・!」


その光景に、TVを釘付けになった。


・・・・・・・


・・・


誤解のないように言っておくと、決して幼女やショタの体(裸ということは、なく水着を着ていた)に釘付けになったわけではないと、言っておこう。


釘付けになっていたのは、子供たちが入っているお風呂、―――ドラム缶風呂だ。


缶の下から薪で湯を炊く、五右衛門風呂のドラム缶版のお風呂。


このキャンプ場では安全性のため、固定されていたが、ドラム缶を持ち運びが出来る分、どこでもお風呂に出来る。


晴天の日、滝を眺めながら河原で入るもよし


木々の隙間から、星空を眺めながら森で入るもよし


まさに、ポータブル露天風呂、ドラム缶風呂!!!


「おっおおおお、なんかテンションがあがってきた、これは秘密基地に導入すべきものだ!」


まずは、ドラム缶を手に入れるところから、そもそもどこで買える物か分からないし。

早速、ゴーグル先生で検索をする。



キーワード:ドラム缶 購入


検索したところ、結構意外なところが購入候補だった。


それは、ガソリンスタンド。


軽油などが入っていたドラム缶などを、相場観として大体5~7千円ほど売ってくれるらしい(タダでくれる場合もあり)

ただこの場合だと、風呂として使うには軽油の油を完全に落とさないといけないため、結構掃除が大変みたいだ、他はジュース缶などが入っていた中古ドラム缶をネットオークション等でも売ってるらしく、試しに検索するとちょいちょい出てきた。


あとは新品の場合なら、業者から買うか、ホームセンターにもあるところにはあるとのことだった。


「帰りにホムセン寄って帰るか」


まぁ。寄るといっても、ゲート{転移/異世界門}で一瞬だけどな。


時刻は、8:25


「頃合かな」


PCの電源を落とし、ゲート{転移/異世界門}をくぐり出社した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


時刻は、17:30


時計が定時を告げた瞬間、タイムカードを切る。


いつもなら、タイムカードを押したここから、本番だ!


ドンッ!


といった感じなのだが、今日は違う。


1年に、数日ある何も無い日という奴だ。


部署のみなもそそくさと片付けをしながら、ちょっと早いし飲みにでもいく~?などと話している。


いつもなら仕事(サービス残業)をしている時間に、急に空いた時間が出来る人間シャチクは、

何をしていいか分からないのだろう。


いままでの俺もそうだった。せいぜいゲームする時間が増えるくらいだ。


しかし、今の俺にはやることがある!


そう秘密基地を充実させること!

今はポータブル露天風呂、ドラム缶風呂だ!


「お先に失礼しま~す」


と断りをいれ、そっそくさと部署を立ち去り、トイレからゲート{転移/異世界門}にて、


異世界→ホームセンターへと転移した。


--------------------------------------------------


1Fのインフォメーションにて、ドラム缶を売っているか確認し、

外と隣接している工芸コーナー近くに置いてあるらしく、歩いて向かうことにした。


「ドラム缶・・・ドラム缶・・・おっ、あった」


ドラム缶が棚にいくつか並べてなり、


鋼製、スチール製、ポリプロピレン製など色々と材質があるみたいだ。


近くに店員がいないかキョロキョロしてみると、


園芸コーナーに併設される形で、修理専門の工場コウバのようなものがあり、

そこで作業着を見たおっさんがタバコをふかしていたので、声をかけてみた。


「あの~、すみません」

「ああ?・・・おっなんだいにぃちゃん、修理かなんか。中に受付あるからそこで頼んでね」


何かの油だろうか、少し薄汚れた作業着を着た、いかにも町工場の職人といった厳つい感じの、

年のころは、40歳ぐらいのおじさんだった。


稲毛課長ハゲのせいで、この年代にはあまり好きでないのだけど、


「いえ、修理ではなく、あそこに置いてあるドラム缶が欲しいんですけど・・・おいく」

「にぃーちゃん、ドラム缶なんて買うの? そんな買ってどうするの?」


理由なんて、なんでもいいだろう。いくらなんだよ?


とは、口には出来ず、


「いや~ちょっとドラム缶風呂に入りたいななんて・・・TV見まして・・・・・・」


などと、おっかなびっくり言ってみると、


「ドラム缶?! キャンプかなんか? いいね~俺も昔やったよ。こっちきな色々教えてあげるよ」


とぶっきらぼうな感じから、打って変わり、にこやかになった。


それは、俺の心象の変化かもしれないが。



それから、おじさんに色々とドラム缶風呂について、レクチャーされた。



POINT1 材質は、ステンレス製


直火で湯を沸かすため、当然ながら熱に強い材質を選ぶ必要があること。


そして、水を入れるためサビに強くないといけない。


そのため、長く使うならステンレス製が一番いいそうだ


新品6万円という価格に絶望感を覚えたが、じいさんが買い取ってきた中古品を譲ってもらえることになり、

1万5千円ですんだ。


結構するなと思ったが、ステンレス製は非常に高くこれでも安いほうらしい。

信用して買うことにした。


POINT2 排水口があるのがベスト


ドラム缶風呂に入った後、水を捨てるのが大変なのだとか。


ドラム缶1つで200リットルぐらいだと考えると確かに大変だ。


最近では、排水口つきのドラム缶風呂専用ドラム缶などというものも売られているそうだ!


しかし、売っているところは少ないなので、


基本はDIYで皆、作るらしい。


気分がよくなったのか、じいさんがこの場でやってくれるとのことだったのでお願いすることにした。


電動のこぎりで穴をあけ、それから耐熱性のバルブ付きコック(水道の蛇口みたいな奴)をとりつけ、コーキング処理というゴムみたいなノリを水漏れ対策に取り付け部分につける。


余談だけど、コーキングガンというのが、ガスボンベを装着し、トリガーを引いて、発射するというもので、サブマシンガンぽくってちょっとかっこよかったりした。


そんなこんなで、ドラム缶を風呂仕様に改良してもらい、

会計を済ませつつ、直火で沸かすときの注意点など色々アドバイスをもらいドラム缶と自宅へと配送してもらうことにした。


ゲート{転移/異世界門}で持ち帰ることも考えたが、ドラム缶を持ったままだと目立つと考えたためだ。


家が近いこともあり、ドラム缶は明日届くとのことだった。


うん、明日が楽しみだ。


気分よく帰路につき、結構高くついたなと思いつつレシートを見ると、作業費3,000円と表示されていた・・・・・・まぁ、ご愛嬌としておこう。






毎日更新したいところですが、平日はなかなか難しいですね。

そんななか、何人か、ブクマしていただけているようでありがとうございます。

大変励みになります。



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