プロローグ ①
多田 育慈30歳独身のサラリーマンだ。
今日も軽くサービス残業を3時間ほどこなし、岐路の電車に乗っている。
遅めの帰宅の利点は帰宅ラッシュに撒きこまれなく、座って帰れることだろう。
電車内には、飲み会の帰りだろうが、上司っぽいヒトが、明らかな新人に、期待しているよ。ぜひ、わが社を変えるような人材になるに違いない。などと声をかけている。
アルコールの影響だろうか。満更でもない様子ではいっ!と元気よく答える新人に、多田は昔の自分をみているような感慨をいだいた。
地元の工業高校を卒業後、地元の工場で働いている。
多田も最初は野望に燃えていた。
知識を増やし、世界を変えるような発明を!
自分のアイデアでどんどん会社に影響を与えていこう!
という、会社に、社会に対する希望を持っていた時代。
しかし、現実はそんなに甘くはなかった。
営業に、開発、デバック処理に、客先からのクレーム、日々の仕事に追われる毎日、
またアイデアを持っていても、会社は組織だ、上を通すある程度のコネがなければ、改革するどころか疎まれたり、握りつぶされたりすることなどザラだ。
そんな日々が十年も続けば、いつしか、当初いただいていた野望や願望は消えてなり、
仕事も生活も作業のようなものになっていた。
朝おきて、歯を磨いて顔を洗って会社にいき、仕事して上司や客先に頭を下げて、
飯を食って、風呂に入って、眠り朝を迎える。
そんな日々が少なくても、後30年以上続くのか、
そんな思いを抱きながら、いつの間に着いたいたアパートの部屋の鍵をあげ、ドアノブをまわす。
左手にキッチン、置くには6畳一間の1DKの布団が敷き放しになっている部屋が、
―-―-―-―-あるはずだった。
上下左右も分からなくなるような真っ白い空間、
思わず「へっ」という素っ頓狂な声がでてします。
そんな空間に突如として、マイクで拡声した声が響く
「おっけぃいいいいいいいいいいいいい。今回の神隠し人は、きっみぃだぁあああああああああああああ、さぁ目の前のろぉおおおおおおおおるぅううううをまわして、わぁたぁーしたちぃいいい、神々の能力を授けよう。さぁああああああ、何が出るかな?さぁ、レッツゴォ!」
特に何も起こらない。無味乾燥の日々が続くそう思われた多田 育慈のつまらないと思う人生は、この瞬間に一変した。
初作品、初投稿になります。
拙い文章ですが、よろしくお願いします。




