表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

ログイン二日目<神楽舞>

 昨日ぶりの草原で僕はまたゴブリン相手にやりあってた。

 切れない刀でどうにか切ろうと試行錯誤を重ねるが、やっぱり切れないものは切れないらしい。刺すことはできるけど、それでも骨で止まってしまう。なまくら刀のがまだましだろうね、知ってたけどさ。

 それに何より僕の技術があまりにお粗末なのも問題の一つなんだろうなぁ。こうなればいっそのことシステムアシストに頼るか、──最悪母さんにご教授願おう。あの人間違いなく出来るだろうし。でもあの人に習うと確実に悲惨な目に合うんだろうなぁ。

 まあ、それはそうと今斬り伏せたゴブリンで丁度50匹目だ。図鑑に書いてあるので間違いないだろう。

 もう後50匹倒すと更に詳しい情報が見えるようになるらしいけど、さてはて一体何が見れるんだろうか。

 

《アバターレベルが上がりました》

《現在はアバター2、職業1、サブ1です》


 ……ああ、今のでレベル上がったのか。

 それにしても、図鑑を瞬時に見れるのが当たり前なせいなのか、アナウンスが遅く感じる。

 それとも意図的にアナウンスをワンテンポ遅くしているのだろうか。不思議である。

 まあ、ともかくこれでアバターレベルが上がったのでステータスに何らかの変化が起きたのだろう。

 最も、いちいち見る必要性も感じないし、今回は見る気はしないんだけど。

 そんな事よりもさっさとモンスター狩りを楽しもう。だってほら、レベル上げないと父さんとの約束守れないし。守らないと後が怖いし、……母さん怖いし。

 ともかく最低でもレベル5を目指して頑張りますか。頑張ればいつかいいことあるって。

 例えばそう、──最高級の焼き肉が食べれるとかさ。このゲーム味覚再現出来てるから焼き肉正直言うと楽しみなんだよね。その時父さんの金を使いたいと密かに願っていたりするのは卑しいのかな?

 まあ、それはそうとまたゴブリンが出たのでサクッとやりますか。

 今回は巫術師として戦ってみよう。まずはできる事の確認でもしますか。

 

<侍/抜刀術、納刀術> 

<巫術師/戦舞>

<神楽舞/効果不明>


 ……つまり、どういうことだってばよ。

 え、何? これって踊ると何かが起こるの?

 ……とりあえずスキルを使用すると、踊りのステップと、最低限の振り付けが頭の中に叩き込まれ、次の瞬間、戦闘に引き戻された。──これ、全部自力でやらなきゃいけないらしい。

 と、とりあえずやってみよう。

 足運びが、……こう? 動きはこんな感じ? これやりながら避けるのすっごくきついんだけど?

 運営、何を考えてるんだよ。踊りなんて即興で舞えるものでもないでしょうに。

 まあともかく、ゴブリンからの攻撃を避けながら、何とかその動作を繰り返していく。何度も、何度も、馬鹿みたいに。

 こういうのは地道な努力が物を言うらしい。母さんの教えだけれども、案外これが馬鹿にできないので一応は実践してみるけれども、地道な作業って正直疲れる。努力と言えば聞こえはいいけど、場合によっては徒労に終わる可能性がある作業は特に。

 それからしばらくやったけれども、やっぱり特に何かが起こる訳でもなく、これ以上はひとまずやめてサクッとやろうと、顔を二回殴打して<抜刀術>からの逆袈裟切り、エルボー、足払いからの脳天串刺しで討伐終了。落としたのは子鬼の牙である。ゴミか、いらん。

 

「……まあ、後で情報版でも見ればいいか」


 分からない事はインターネットで調べる。これは現代人の基本スキルである。

 ……でもなんとなくどうにもならなさそうな気がするんだよなぁ。こういう時の感って大抵当たるのがなんとも言えない。悪い予感は大抵当たるってのは古今東西変わりゃしないみたいだね。とりあえず悪い予感は当たるものとして、とそれは調べてから諦めるとしよう。

 今はそれよりも狩りを続けよう。気分は楽しくスポーツ感覚、相手の攻撃をどれだけ回避出来るか、この刀でどれだけ斬る事に近づけられるか。──あ、一回だけシステムアシスト入れてみよう。案外参考になるかもしれないし。



 ✖✖✖✖✖✖



 ──システムアシストを使った感想はただ一つ。

 え、こんなに簡単にゴブリンって切れるものなの?

 いや、まあね。確かに動きが全然違うんだよ。足運びといい、体の動かし方といい、なにこのなめらかな動き。気が付くと体重移動が終わっていたりして正直気持ち悪いほどよく動いている。

 僕が振る音と、システムアシストが振る音の違いがまたすごい。そもそもシステムアシストを使用すると音なんてあってないようなものだ。微かな風切り音だけがなったかと思えばすぐさまゴブリンの体が切れていく。ダメージ量もだいぶ違う。

 多分、システムアシスト前提なんだろうなと思う。それを使用するのが当たり前の難易度設定なんだろう。そうじゃなければ倒せない敵とかも、多分いるんだろうな。

 ただ、これを使い続ける気にはなれない。体が動かそうとすると無理矢理修正されるその気持ち悪さはどうにもぬぐえない。そういうのが苦手の人のためにアシストの有無を切り替えられるようにしてあるんだろうけど、そんなんならそもそもアシストなしでいいと思う。

 まあ、いい参考にはなりそうだ。どんな動作をするべきかを体感できたのは正直大きい。

 次はどんな風に戦うのか、それをシミュレーションできるのはかなり有難い。

 ……ちなみに神楽舞はシステムアシストの有無以前にアシストが存在していなかった。

 抜刀術やら納刀術の場合は多少速度に違いがあったりしたけど、あれだけは本当に何もなかった。

 本当に、いったい何の意味があるんだろうあの不思議な踊りみたいなの。

 ……まあ、それはそうと。


 そろそろ違うモンスターも狩ってみようかな?

 僕としてはゴブリン以外、より正確には格下の人型生物以外と戦いたい。

 国民的アイドルモンスターのスライムさんなんていいません。最悪ゴキでもいいからそういう人型以外をぶった切る事もやってみたい。というかこの周辺本当にゴブリンしかいないんだけどなんで? そういう仕様なのか、僕が極端に運が悪いのか。

 まあ、とりあえずゴブリン以外のモンスター求めてふらり平原血煙の旅とでも洒落込みますか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ