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ログイン二日目<ギルド>

 さて、本日も退屈な授業が終わりました。

 最も勉強はまじめにやってるんだけどね、どうにも頭を使うのは苦手なんだよなぁ。

 運動は母の影響でそれなりに出来るんだけど、でもスポーツに活かせるかって言われると微妙だし。

 筋肉そのものはどうしても同年代の男子と比べると低いからなぁ、女子に勝っても陰口言われるからめんどくさいし。──どっかに心清らかで友達に慣れそうな女の子とか、脳筋でもいいから真っ直ぐな野郎とかいないかなぁ。まあ、同年代に期待なんてするだけ無駄か。

 

 そんな事よりも本日もゲームをするとしよう。

 ──父さんにも言われたし、しょうがないけど人に話しかけるとしましょうか。

 あーあ、めんどくさいなぁ。



 ☓☓☓☓☓



 エイプリルさんに借りたベッドの上で僕は目覚めた。

 寝起き特有のぼんやりとした感覚はない。当然だ、僕は寝ていたのではなく、今、夢の様な仮想現実に遊びに来ただけなんだから。──低血圧だから意識がはっきりするまでに結構な時間が必要な僕としてはそういうところが再現されていないのは本当にありがたい。

 

「おや、坊はようやくお目覚めか」

「すみません、長い間寝床を借りてしまって」

「まあ、娘夫婦が出てってからは使ってなかったからね、気にする必要はないよ──ああ、それとこれは報酬だよ」


 渡されたのは小さなコインのようなものだった。

 お金だろうか、と思ったが先日売買で見た際の物とは彫ってあるモノが違う。

 大きな鳥が描かれたソレは綺麗な銀色で、なんとも心惹かれるものだった。

 まあ、それはそれとして。


「報酬は100Gのはず」

「そのとおりだけどね、それだけじゃ少ないだろうに──ありゃ、元々複数人でやってもらう予定の依頼だったんだからね」


 受付の説明不足だろうねと頭を振るエイプリルさんがなんとも可哀想な子を見るような視線を向けてきた。ぼそりと友達いないんだねとか言うのはやめていただきたい。そもそも僕は友達がいないんじゃない、一人でいるのが好きなだけです。


「まあ、次来る機会があった時は友人でも連れて来なさい」

「……はい」


 何故だろうか。

 勝ち負けなんて一切関係ないはずなのに、この奇妙な敗北感は。

 ──友達なんていらないのになぁ。



 ◆   ◆


【クエスト】エイプリル宅の草むしり/CLEAR

「達成報酬」100G+古代の鳳凰印銀貨

「評価」ギルド+5/街+10


 ◆   ◆



 ──さて。

 こうして初のクエストは無事終了したんだけど、問題はここからだと思う。

 父さんに言われたので、しょうがなく、……本当にしょうがなく同じクエストをしてくれる人を探そうと思います。ああ、もう本当に憂鬱だ。一人のほうが気楽なのに。

 それにしても、どうやってクエスト仲間を探せっていうんだろうか。

 ……この時間帯なら父さんもログインしている可能性もあるからメールでも送ってみようかな?


[To.父さん]

[Sub/へるぷ]

[本文/仲間探しなう、やり方わかんない]


 ──送信っと。

 ……相変わらず早いなぁ。


[From.父さん]

[Sub/RE:へるぷ]

[本文/ちゃんとやってて偉いよΣb( `・ω・´)グッ

 まずはギルドにある提示版の中に仲間募集中のやつがないか探してみよう。

 最初の町には初心者さんが多いから翡翠ちゃんみたいにソロでやっていて限界を感じたから仲間探し中の子とかいる可能性も高いからすぐ見つかるかもね。──あ、でもマナーが悪い子もいる事から気をつけてね? 最近の子は情報版の知識だけで人を小馬鹿にするようなのも多いから(´・ω・`)ガッカリ…

 それに今では少ないけど初心者狩りをする為にパーティ募集してる輩もいる可能性があるから気をつけてね。そういうのがやるのが好きな莫迦もいるからカーッ(゜Д゜≡゜д゜)、ペッ]


 成る程、提示版に仲間募集中のクエストがあるかもしれないのか。それならまず早速その場所に言ってみよう。……人混みの中を進むことになるが、まあしょうがない。

 掻き分けるように出来るほど筋力が強くないので、僕は隙間に体を入れては、周囲の人の動きに任せて前進していく。こういう時は、無理に力を入れるよりもそのまま流された方が早いのだ。もちろん、流されながらも進む方向は調整しなければならないけれど。

 そうして、たどり着いた先には確かに色々なクエストが貼られている。

 モンスター討伐、素材採取、街のお手伝いに、売店の店員。中には誰かを倒してくれなんて依頼まである始末。──こうして見ると、僕がやった庭の草むしりって結構楽な仕事なんじゃないだろうか?

 その中で、プレイヤーの募集を掛けている物を探してみる。

 数こそ結構あれど、しかし僕が入れそうなものはない。どれもレベルや職業、性別縛りなどでどれも無理そうだ。特にレベル制限はほとんど引っかかってる。最低5レベルって酷くね。僕まだ1レベル何だけど。

 それにしても、どうにもこう、回復系統の技能を持つ職業──聖職者、巫術師が妙に人気である。もっとも巫術師は職業レベルが5を超えない限り回復系の技能は覚えないらしいけど、……ああ、だから5レベル以下お断りなのか。なるほどなるほど。


「……まあ、いいかな」


 募集がないなら仕方ない。

 父さんへの言い訳にも十分なるし、適当にソロで遊びますか。

 にしても、──侍って人気無いのね。




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