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女体化は魔王討伐のあとで

 フィリップ・サルヴァトーレの人生は極めて順調なものであった。彼は王国の由緒ある貴族の家に生まれた。彼は王国の騎士団長であった父親の指導を受けながらすくすく育ち、王立騎士学校に入学。首席で卒業すると騎士団に入り王女の護衛を任された。しかしここで彼の人生を一変させる出来事がおこる。魔王襲来である。王国に突如現れた魔王は王に対して呪いをかけた。それは加齢臭をさらに臭くするという呪いだった。王は激怒した。そして王はフィリップを呼び出すと魔王を討つように命じた。そしてここから壮大な魔王退治の旅がはじまった……わけではない。フィリップは魔王のもとへ向かった。実に徒歩三十分。そこにはプレハブの魔王城があった。

 フィリップは魔王城の扉を開けた。

「魔王!覚悟しろ!」

「ふっ、ようやくきたか」

 プレハブの真ん中に置かれたちゃぶ台でほうじ茶を飲んでた魔王がゆっくりと立ち上がった。顔にはプリキュ○のお面。

「しかしお前の苦労もすべて無駄になる。お前はわが魔力に屈するのだ」

 不敵に微笑む魔王。しかし身長が140㎝くらい。黒いマントで体を覆ってるのだがサイズが大きいのか裾を引きずっている。

「俺は負けない!」

 そしてしばし魔王とフィリップの戦いが行われた。なんだかんだ魔法と剣が交錯しあう凄い戦いだったのだが、書くのがめんどくさいので割愛。プリーズ、脳内補完。

 結果的にはフィリップが見事に魔王を追い詰めた。

「さあ、そのふざけたお面をとれ!」

「なんだと!これはな、シャイニールミ○スのお面だぞ!」

 だから筆者の先ほどの描写も厳密には間違ってるが原則無視。

「いいからとれ!」

 そういってフィリップは強引にお面をはぎ取った。

 すると、なんということでしょう。魔王はとてつもない美少女だったではありませんか。(加藤み○り風に読むとたいへんよろしい)

 これにはフィリップも普通に驚いた。なぜなら魔王の声は普通に男の声だったからだ。フィリップは魔王がかぶっていたお面を確認した。するとお面には何やら小型の機械がついていた。

「なるほど、お面型変声機か……」

 ちなみに筆者は蝶ネクタイ型よりマスク型の方が好きだ。

 そしてフィリップは困ったように魔王を見た。フィリップはここで魔王を殺すつもりだった。しかし、彼は騎士である。彼には女性を殺すことなどできなかった。

 しかしここで彼はふと考えた。

(こいつは魔王だ。まさか俺が騎士だから女性をそう簡単には殺さないだろうと考えて女性に変身してるんじゃないだろうか?)

 深読みである。普通に深読みである。

 そして彼は何を思ったのか魔王の股に手を入れた。

「ないか……」

「ッッ変態!!!!」

 魔王が全力ではなった蹴りをよけるフィリップ。

別に彼は変態的な思考で股に手をいれたわけではない。彼は確かめたかったのだ。魔王に男性器がついてるかどうかを。

 当然これは無意味である。魔王が性器までもを変えてる恐れがあるし、ついてたとしても魔王がふたなりかもしれない。しかしフィリップはそこまで頭が回らなかったのだ。

 仕方ないのでフィリップは魔王をとりあえず生け捕りにすることにした。縄でぐるぐるに縛って(別に彼はSMプレイをしたかったのではない)引きずって持って帰った。お持ち帰りした。テイクアウトである。

 さて、魔王からしてみればこんなことをされて悔しくないわけがない。普通に侮辱である。股に触られたし。何らかの形でこいつに復讐してやろうと考えていた。

 なので早速縄抜けを試みるが、うまく縛られていてぬけられない。これは別にフィリップが日頃から縛り慣れているというわけではない。彼はいたってノーマルな嗜好の持ち主である。

 魔法でも使えばいいとも思えるが、残念ながら先ほどの戦いで彼女は魔力をほとんど使い果たしていた。縄を魔法で抜けれたとしてもそのあと戦うのは不可能であろう。

 彼女がそんなことを考えているうちにいつの間にかフィリップと魔王は宮殿についてしまっていた。フィリップは魔王をどうするか国王に聞こうと考えたのである。

 フィリップは国王の前に魔王を引っ張り出すとこういった。

「国王、魔王をとらえてまいりました。殺してこようと考えていたのですが、魔王が女であったため騎士である私には殺せません。どうすればよいでしょうか?」

「そいつが魔王か?」

「はい」

「……許す」

「えっ?」

「魔王を許してやる」

 フィリップは国王の思わぬ言葉に呆然とした。魔王も驚いている。

「ただし、三つ条件がある。一つ目はわしにかけた加齢臭が臭くなる呪いを解け」

 魔王は何やら呪文を唱えた。

「呪いは解いた」

「うむ、二つ目はフィリップの家に住め」

「ちょ、ちょっと待ってください、王!」

「監視が必要だろう。お前が適任だ。そして三つ目は週に一回私のところへ来い、以上だ」

 そういうと、国王は自分の居室へ戻って行ってしまった。

 フィリップは仕方なく魔王を家に連れ帰ることにした。王の命令には逆らえない。

 魔王も自分の股を触ってきた変態と一緒に住むことには大変不服であったが(当たり前だ)、しかしやっぱり命は惜しい。

 フィリップは魔王を引っ張って家に着いた。フィリップの家は豪邸である。ここに姉と妹と三人で暮らしている。両親は町から離れたところの別荘で暮らしている。

「縄をほどけ」

「断る」

「逃げ出しはせん。縄をほどけ」

「信用できない。メイドになったら解いてやる」

「縄を解いてくださいませ、ご主人様?」

 魔王、メイド化。プライドはないのか?

「わかった、解いてやる」

 騎士団長、メイドには勝てない。ちょろすぎる。

「ところでトイレはどこにある?」

「教えてやる義理はない」

「教えてくださいませ、ご主人様?」

「右の廊下をまっすぐ行ったところだ」

 騎士団長、メイドに二連敗。

(それにしても……)

 トイレに向かった魔王を見ながらフィリップは考える。

(魔王とはいえ可愛いな。黒髪ショートヘアがナイスだし、胸がまな板なのも最高だ。そして棒読みでしゃべるメイド風なセリフもいい!)

 普通に変態である。

 トイレから出てきた魔王にフィリップは提案する。

「俺には姉と妹がいる。当然お前を紹介しなければいけない。そこで、お前メイドやらないか?」

「なんで!?」

「いや、その方が自然に紹介できるし。服なら心配はいらない。俺の部屋にメイド服はたくさんある」

「普通に国王に頼まれたっていえばいいんじゃない!?」

 まったくもってその通りである。あと何のためにメイド服がたくさんあるのだろうか?

「まぁ、それならいいが。ただ気をつけろ。今日俺の姉と妹はイラついている」

「なんでだ?」

「女の子の日だからだ」

 最悪である。

「あんなものが毎月あるなんて女は大変だな。絶対なりたくない」

 その時魔王の目が光った。

「ふ、ついにお前への復讐方法を思いついた」

「あ?何を言う?」

 魔王が何やら呪文を唱える。

 すると、フィリップは胸を押さえて苦しみ始めた。

「く、くそ。メイドのまねで油断してしまった。しかし美少女に殺されるならわが人生に一片の悔いなし!」

 少しは後悔しろ。

 十分ほどたったのち。フィリップは目を覚ました。

「何、まだ生きてる?いや、ここは天国か?しかし周りはうちと同じだ」

 フィリップは心臓を確認しようと自分の胸に触る。

 むにゅ。

 そこには男ならば考えられない感触があった。

「大成功だな」

 目の前に立っていた魔王が笑う。

 魔王の瞳に映っていたのは一人の美少女だった。

 フィリップはあわてて股間に手をやる。

「な、ない!俺のエクスカリバーがない!」

 厨二乙。

「お前が女になりたくないといってたからな。女にしてやった」

 魔王は笑い出した。しかし突然笑いが止まる。

 フィリップの胸を見て自分の胸を見る。

「ま、負けた……」

魔王の胸=まな板。フィリップ(女版)=巨乳。

「なんで、こんなことに!」

 二人の悲鳴が館中響き渡ったのであった。


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